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「STALINGRAD -VERDUN ON THE VOLGA-」(LAST STAND GAMES)をVASSAL対戦する(1)

緊急事態宣言下、オンサイトではなくVASSALを用い、ネット対戦を実施しました。
完全リアルタイムではなく、相互にログファイルのやりとりを行うメール対戦形式です。

「STALINGRAD -VERDUN ON THE VOLGA-」のゲーム紹介は次の記事。

また前2回のAARは次のところで紹介しています。

 

Dさんがドイツ軍、当方はソ連軍を担当します。本ゲームの対戦は都合3戦目になります。

 

第1ターン

ドイツ軍の火蓋は中央部への攻撃に始まりました。ソ連軍の薄い防衛線はドイツ軍の強力な攻撃にひとたまりもなく殲滅されていきます。

このゲームの恐ろしいところは攻撃側がその戦闘結果に関わらず(戦闘結果が攻撃側勝利であったとしても)、「先導ユニット」は必ず1ステップロスするというルールにあります。

このペナルティにより、ドイツ軍は戦闘を重ねれば重ねるほど、勝ち続けていたとしても消耗していくことになります。さらにはこのステップロスを被るというペナルティは、通常攻撃の後に特定の条件下で実施されるオーバーランにも適用され、通常攻撃とは別にステップロスを被ることになります。
通常の師団は4個ユニットから構成されることが多いのですが、通常攻撃+オーバーランの攻撃のコンボを実施するだけで2ユニットがステップロス。これが2回続けばその師団を構成する全ユニットがステップロス状態となり、師団スタックは攻撃力を半減させ、いわばスタック全体で衝力を失うことに陥ってしまいます。
さらにドイツ軍はソ連軍に比べて戦力の補充能力が半分~4分の1しかないことから、失った衝力を回復できない、というのが前々回の対戦時のドイツ軍に発生した状況でした。

前回対戦時には、師団単位での攻撃のローテーションを行うことで特定の師団だけが攻撃力を失うことを避けた点、また「戦力の譲渡」というアクションの一種とドイツ軍に認められる「解放ゾーンにおける戦力補充」のルールを組み合わせることにより、補充力の弱さをカバーすることで、ドイツ軍の継戦能力の弱さをカバーし、前線部隊のスタックは戦力を維持し続けることに成功しました。

今回はこうした”戦訓”に則り、ドイツ軍は慎重に部隊まわしを試みているようです。

ソ連軍は開始直後、マップ全体に薄く部隊が展開した状態なので、市街地方面に集結していくのですが、この集結についてもあまり早すぎると、郊外エリアを早期にドイツ軍に明け渡すことになってしまい、もとより機動力があるドイツ軍を自由に移動させる余地を与えることになってしまい、いわばドイツ軍装甲部隊の独擅場になってしまいます。
このためソ連軍はドイツ軍を適度に拘束しつつ遅滞行動を行っていく必要があるのです。まぁその代償として個々のユニットの損害がはねがっていくのは仕方ないでしょう。

 

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第1ターン第4インパルスの終了時の状況です。
ドイツ軍は第24装甲師団から中央部にいる、第71、第295、第389歩兵師団を揃って前進させてきています。ソ連軍の防衛線を強くえぐってくるのはこの後です。

 

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第1ターン第8インパルス終了時の状況です。
中央部でドイツ軍は大きく突出し、ボルガ河畔に到達しています。
ソ連軍の一部のユニットが補給切れ状態に陥っています。

第6インパルスにドイツ軍は兵站チェックのダイスで「補給不足」状態のダイスを出してしまうのですが、第1ターンの特別ルールにより「補給不足」状態への陥落は回避されます。続く第7インパルスにて、「昼」の終了=「夜」の到来を告げるダイスを出したのですが、ここはアドバンテージを用いて「昼」延長を行います。もっとも直後の第8インパルスで再度「昼」終了の結果となったため、次のインパルスから「夜」となったのでした。

エリアインパルスシステムのキモのひとつですが、ひとつのターンの中で両プレイヤーが行動(移動や戦闘など)を行うインパルスと呼ばれるサブターンが設けられています。
このインパルスが何回続くのかは決まってなく、毎インパルスに振られるダイスによりインパルスの終了などが決まるという点があります。
本ゲームの場合は、ドイツ軍が毎インパルス時に振る「兵站チェック」と呼ばれるダイスの目により、

  • 兵站チェックの結果 >その時のインパルス数 : 次のインパルスにそのまま進む
  • 兵站チェックの結果 = その時のインパルス数: ドイツ軍は「補給不足」となり、次のターンより攻勢活動が行えなくなる
  • 兵站チェックの結果 < その時のインパルス数: 次のインパルスより「夜」になる(すでに「夜」だった場合、ターンが終了する)

 

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第1ターン第13インパルス終了時(第1ターン終了時)の状況。

第9インパルスから「夜」となったのですが、戦線はあまり動いていません。ソ連軍は強力な増援部隊である第1親衛狙撃師団がボルガ河を渡河してきます(渡河チェックが必要です)。

本来はこうした打撃部隊は集中運用するべきなのでしょうが、余裕がないソ連軍は戦線の弱点となっているエリアに分散して配置します。ドイツ軍の突出によって露呈した戦線の弱点を塞ぎ、部隊の整理と一部陣地構築を行います。
ドイツ軍は進撃を止め、「戦力の譲渡」によりステップロスした戦力を、予備部隊のステップをあてがうことで穴埋めを繰り返します。

写真の上側と右側のマップ外にいくつかのドイツ軍ユニットが配置されていますが、これらは作戦予備として後置されている装甲部隊などです。第2ターン、彼らが重要な役割を果たしていくことになります。

(つづく)

 

 

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