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「THE LAST HUNDRED YARDS」(GMT)を対戦する【2戦目】(1/2)

「THE LAST HUNDRED YARDS」(GMT)(以降、LHY)を対戦しました。前回対戦はちょうど2年前だったのですが、その間、シリーズ第2作(西部戦線 空挺部隊)、第3作(ソロモン戦域)、シナリオ集がリリースされ、さらに第4作として東部戦線ものが発売予定ラインナップにあがっているという人気シリーズになりました。

アドバンスド・スコードリーダー(以降、ASL)をはじめ多くの古典的戦術級ゲームでは野球のイニングのように攻守立場を変えてターンを進めていく「I Go You Go」方式をとっています。その後の戦術級ゲームでは新しい要素としてイニシアティブやカードドリブン、コマンド統制と様々な概念がシステムに取り込まれていますが、本作はさながらリアクションシステムというようなシステムになっています。

詳しくはシステムを紹介した過去記事を参照してください。各ターンでイニシアティブをとった側のプレイヤーが自由にアクションを行うことができるのに対し、非イニシアティブプレイヤー側は、自分のユニットの視界内で敵ユニットが移動や戦闘を行うのを視認できた時のみ、リアクションとしてアクションを行うことができるというシステムです。イニシアティブを取った側と取っていない側の手続きが非対象であることが特徴と言えます。

 

 

相手の行動を確認できなかったユニットはアクションを行うことができないということになります。
アクションを視認できなかったユニットについても指揮官ユニットとスタックしている場合や車両ユニットの場合は限定リアクションとしてアクションを実行することはできるのですが、イニシアティブプレイヤーのアクションに比べると、非イニシアティブプレイヤーのリアクションは移動力や内容が限定されるのです。

イニシアティブを取るか取られるかというのは、そのターンの活動内容を左右する重要な要素なのですが、これがまたあっさり、10面ダイス1個振りによって決まります。前ターンのイニシアティブプレイヤーは修正値が+1つくのですが、それでもイニシアティブの決定はかなりランダムに決まると言ってよいでしょう。

前回プレイ時はその特異なシステムのため、システム紹介にとどまってAARを十分に書くことはできませんでした。今回は少しは進歩したでしょうか・・。

 

 

 

第1戦

シリーズ3作目のシナリオを対戦。箱絵にあるようにソロモン諸島を舞台にしたシナリオです。アメリカ軍を担当。

日本軍勢力圏にあるジャングルの中に取り残された友軍を救うべく、1.5個小隊規模のアメリカ軍が海岸からジャングル奥に侵入する。損耗した友軍ユニットを捜索の上、発見した兵士を連れて元の海岸に戻るという内容。日本軍はすべて隠蔽配置される。また日本軍の半数は海兵隊が味方を救出した帰還途上にはじめて盤面に隠蔽配置される(行きがけにアメリカ軍が通ったヘックスにも隠蔽している可能性がある)。

マップは中央を川がのたうち、中央部はジャングルに覆われている。低い丘はあるものの、レベルを変えるまではないため、ジャングルに覆われた平坦に近い土地になる。ジャングルが途切れた場所以外は視界が効かない。川の両岸は谷のように落ち込んでいるが、対岸もジャングルで覆われているため、対岸より奥は見通すことができなという地形だ。

 

日本軍の特徴 ①- ニーモーター分隊

歩兵ユニットは火力が弱く、射程も短い、白兵戦値も高くない。士気(本ゲームではCohesion:結束値と呼ばれる)も普通だ。三八式歩兵銃装備だったことが大きい模様だ。ジャングル戦における火力の集中投下という点で日本軍は劣っていたという評価ということだろう。
ところが日本軍の小隊には必ずニーモーター分隊という部隊が登場する。八九式重擲弾筒、アメリカ側の通称”ニーモーター(膝撃ち迫撃砲)”だ。本ゲームでは、ASLと異なり支援火器(機関銃など)のユニットは分隊ユニットから独立せず、機関銃分隊といった支援火器を装備したチームとしてユニットになっているのだが、そのひとつとして日本軍にはニーモーターを装備した分隊が編成されている。アメリカ軍やドイツ軍にも迫撃砲は登場するのだが、こちらは砲撃支援として呼び出すようになっており、迫撃砲分隊が登場する訳ではない。

ニーモーター自体は50ミリ以下の小型迫撃砲という位置づけのため、威力が強い訳ではないが、ジャングル戦においては空中散布が発生するためジャングルの地形効果を打ち消すことができる。

 

日本軍の特徴②

日本軍の特別ルールは、ASLや下の記事で紹介した「OLD SCHOOL TACTICAL」(以降、OST)に比べると多くはない。LHYにおける日本軍ユニットの特性についてのルールはシンプルだ。「日本軍ユニットは混乱しない」とある。
日本軍は混乱しないという点で、ASL、OSTでも同様の扱いであった。通常の国の軍隊では、士気チェックに失敗すると「混乱」状態に陥るのだが、日本兵は「混乱」にはならないというのだ。
「混乱」状態に陥ったユニットは回復するまで能動的な戦闘は実施できない。一方「混乱」にならない日本軍は、戦力を減らしながらも戦闘を続けることになる。

 

追記(2022/10/29) 日本軍の特徴

リアクションを行う非車両ユニット(歩兵のことですが)は通常、2MPを持っているのですが必ず1ヘックス移動できます。一方、指揮官とスタックしている日本兵ユニットは必ず2ヘックス移動できます。2ヘックス移動できるということは、イニシアティブをとった側がアクションを行った時の移動距離と同じということになる。
いまひとつピンとこないところはあるが、日本兵は素早い?

 

 

次の記事は、「OLD SCHOOL TACTICAL」(Flying Pig Games)での日本軍ルールを、ASLのルールを引き合いに出しながら説明したものだ。

 


AAR

海兵隊の救援部隊は海岸からジャングル奥地へとすすむ2つの道路沿いに内地へはいっていく。日本軍の姿は全く見えない。小銃主体の日本兵の火力が弱いこと、海兵隊がエリート部隊であるため士気が高いことを念頭に置き、ジャングルを進むのではなく、道路を進む。周囲のジャングルから丸見えの状態なので、日本軍側に機関銃分隊などがあればひとたまりもないだろう。特にASLの感覚では、開豁地を堂々と歩くのは的になってください、と言っているようなものなので、オープン地形は避けたくなる。シナリオの総時間45分を考慮すると悠長なことは言っていられない。

 

右翼を進む分隊が奥地への見通しが効くポイントに到達した時、日本軍のニーモーター分隊日章旗マーカーが配置された場所)が射撃を開始した。火力は強力ではなく、小屋にはいったアメリカ軍は容易に回避することができた。射撃戦のためアメリカ軍は後続していた機関銃分隊を呼び寄せた。

序盤スムーズに機動していたアメリカ軍だが、ダイスの目が悪く中盤に来てイニシアティブをとれなくなり、機動が滞りはじめた。

 

左翼で先行していた分隊(半個分隊規模+指揮官ユニット)が制高点に移動しようとした時、そこは日本軍指揮官とスタックした分隊の急造陣地(IP)であった。

 

一時はアメリカ軍を押し返した日本軍であったが、後続のアメリカ軍が続々と集結する中、隣接ヘックス同士の射撃戦と、白兵戦によりアメリカ軍に圧倒された。

 

最終局面。アメリカ軍左翼は救護を待つアメリカ兵がいるエリアに到達するが、ここで時間切れ。シナリオの勝利のためには、中途半端にジャングルを通らずに道路をもっと大胆移動する必要があったということだろう。

 

(別シナリオに続く)