Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム/歴史ゲーム -

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WAR ROOM(NIGHTINGALE GAMES)を対戦する(2)

北半球を中心に世界を俯瞰した円形の巨大なマップが特異な「WAR ROOM」をプレイしました。第二次世界大戦を題材に最大6人(独・伊・日・米・英・ソ)(中国は米国プレイヤーが担当)でプレイする作品ですが、今回は4人プレイとなり(独伊、英米、ソ中、日)、当方は日本軍を担当しました。

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勝利条件

東部戦線や太平洋戦域といったエリアを限定したシナリオも複数本収録されているということですが、キャンペーンシナリオを選択。

キャンペーンシナリオにおける連合軍の勝利条件は、ドイツと日本の首都を占領すること。いっぽうで枢軸国側の勝利条件を聞いたとき、当方も含め枢軸国プレイヤーは「そりゃ、無理だぁ」と一斉に声をあげた、というのも、アメリカ・イギリス・ソビエトの3国のうち2国の首都を占拠すること・・・らしいです。
現実的な目標になるであろう、モスクワやロンドンはいずれも欧州戦域ということは、日本軍は勝利条件への直接的な貢献は難しい、ってことでしょうか?

プレイ

1ターンのタイムスケールの特定はありませんので1ターンを半年として記述しました。
また同時並行で欧州戦線でも戦争が進行していたのですが、十分に状況を把握できていませんので断片的です。実際と異なりフィクションになっている部分も少なからずあるかもしれません、ご了承ください。

日本軍の初期配置は史実での最大進出点に近いのではないかという印象を受けました。
海軍の主力はトラック島に進出しており、ソロモン諸島ニューギニアではスタンレー山脈の北側まで進出しています。いっぽうで陸軍の主力は満州華北華南地方に駐留したままです。

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初期配置では各占領地に薄く散らばっています。最初は実際の日本軍と同じ様に各地の部隊を集めようとしたんですよ。でもこのゲームでは無駄だと悟ります。(詳しくは後述)


さてここで日本軍はどこに進出していくべきでしょうか。インド、シベリア、中国、オーストラリア、はたまたアリューシャン、ハワイ‥

生産のところで書いたように工場があるエリアではユニット生産が可能です。
必要資源を投入できれば次のターンにはそのユニットが活用可能な状態になります。要は補給源になりえるところとなります。
インド、オーストラリア、シベリアには工場エリアが存在します。
日本が保有する工場エリアは日本本土と華北/北京になります。工場があるエリアに侵攻するには当然部隊ユニットを集結させる必要がありますし、日本の工場エリアからの距離(インドやオーストラリアのエリア近くまで部隊を移動させるには数ターンを要する)なども考慮する必要があるでしょう。

第1ターン(1942年前半)

最初のプロット時間。アメリカ軍プレイヤーがいきなり宣言します。
アメリカ軍主力はここ(北太平洋アリューシャン)に進出して、次のターンに日本近海を狙う!」たしかにアリューシャン方面まで進出すると、その次のターンには日本本土を伺うことができます。こうしたゲームならではの奇手でしょうか。

最初のビッド、アメリカ軍は1位。石油を惜しむ日本は節約のためビッドからおります。
アメリカ軍は宣言通りハワイの海軍部隊、西海岸の陸軍部隊を中心に大部隊を北太平洋に集結させはじめます。

最初の戦闘が起こったのは欧州東部戦線。もとより大部隊を集結させていた独ソ両国が複雑な読み合いの末、両方から攻勢作戦が発動され複数箇所で激突することになったのです。
最大の戦いが発生したレニングラードエリアでは若干数にまさったソ連が、壮烈な殲滅戦の末、かろうじて優先状態で終了しますが、損耗を受けた部隊の回復のため資源を大量に消費することになります。*1

太平洋戦域では、同じソ連プレイヤーが担当する中国が動きます。最低限の守備隊のみが駐屯していた日本占領地であるインドシナに侵入してきたのです。抗したものの数には勝てず日本軍全滅。
日本軍はアリューシャンアメリカ軍侵攻部隊への対抗と、南方侵攻への両睨みでトラック島周辺に連合艦隊を集結させます。*2

第2ターン(1942年後半)

日本軍はインド侵攻作戦の発動をあきらめビルマ派遣軍を中心とした侵攻軍を中国雲南エリアに投入します*3。が、侵攻を読んでいた中国軍が雲南地方に大胆に戦力を移動させていたため、結果は日本軍陸軍ユニットの全滅(インパール作戦の二の舞かぁ?)。
連合艦隊マリアナ沖か日本近海でのアメリカ軍太平洋艦隊との決戦を期しますが、アメリカ軍はさきほどの宣言を裏切り(?)、先にウェーク島マーシャル諸島などを占領します。

東部戦線はドイツ軍とソ連軍の消耗戦による膠着状態が続いています。陸上兵力に優れるソ連軍に対し、航空戦力優位のドイツ軍が航空支援を活用して撃退している状態です。毎回大量のダイスが振られ派手にユニットが消し飛んでいきます。ステップロスしたユニットの回復により資源をとられ両国はかなり疲弊していきます。

第3ターン(1943年前半)

日本軍はポートモレスビー攻略作戦を発動、宿願の南ニューギニアエリアを占領します。*4

よいことばかりではありません。
アメリカ太平洋艦隊主力はマリアナ沖に進出。対する連合艦隊は本土直接攻撃に備え日本近海に移動したため艦隊決戦は起きません。マリアナ諸島サイパン島!)は失陥します。

インド洋を遊弋していた空母を有する南遣艦隊(空母×1、巡洋艦×2)*5が数倍規模のイギリスインド洋艦隊の攻撃を受けます。全滅は免れ、戦闘継続。

インドシナ占領で意気があがる中国軍が華北/北京とビルマになだれ込みます。ビルマ派遣軍は雲南攻略に失敗し弱体化していましたが、航空隊の支援によりかろうじて撃退。一方の華北地方は失陥しました。

欧州では、東部戦線での消耗戦は継続中。さすがに両軍とも緒戦で消耗したため最初の規模には及ばないものの、戦いが継続しています。ドイツ軍だけでは戦線を維持できずに大量のイタリア軍が東部戦線に派遣されています。史実とは様相が異なり、イタリア兵も強いのです。
ドイツ軍からは関東軍の北進による第2戦線構築の要請がなされますが、日本軍からすると中国が暴れまわっている現状では難しい状態です。
同様にユニットの損耗と資源の大量消費で疲弊したソビエトアメリカ・イギリスに対し早急な第2戦線の実現を希望しています。

大きく動いていたのはドイツアフリカ軍団、DAKです。
中東への注目が弱まったことに乗じ、一斉にエジプトに侵攻、エル・アラメインを越えアレクサンドリアを占領したのです。

第4ターン(1943年後半)

日本軍はじめてのビッド参加です。が、中途半端なビッドだったので大勢は変えられず、1位はアメリカがとります。
アメリカ軍はラバウルがあるニューブリテン島を爆撃。ラバウルに展開する海軍航空隊は逆にマリアナ諸島への爆撃をプロットしていたのですが、プレイ順番の関係でラバウル上空で防空戦を行うことになります。ラバウル航空隊壊滅。

前ターンから海空戦が続いていた南遣艦隊はタイからの航空支援を受けつつ善戦するも残っていた空母が撃沈されます。

上陸してきたイギリス軍により南ニューギニアは失陥・・と日本軍は退勢が続きますが、そればかりではありません。

華北/北京に対して日本本土から新たな派遣軍を送り込みまたたく間に再奪取します。史実と異なり連合軍の潜水艦が侵入していない日本近海はまさに”我らが海”状態。日本本土で大量に生産された部隊を次々と送り出すことが可能なのです。

欧州戦線ではアメリカ・イギリス軍が大西洋を押し渡りフランスに大挙上陸します。3倍近い兵力の上陸軍に対してはいかんともしがたく(陸上ユニットだけで両軍4つのハイスタックが激突しました)、ドイツ駐仏派遣軍は全滅。が、独伊軍の損害以上の損害を上陸軍に与えた点はさすがというべきでしょう。こうしてソ連が待ち望んだ第2戦線ができたのです。

消耗戦が続いていた東部戦線では”青作戦”が発動され、独伊(いまやイタリアは東部戦線でもドイツ軍に肩を並べる規模までになっていました)連合軍はコーカサスになだれこみます。このあたりの経緯は詳しくは追っていなかったのですが、いずれにせよコーカサス占領により拮抗状態が続いていた東部戦線のバランスが変わった印象です。

このターンさすがに日本軍の累積損害が大きくなり(南遣艦隊の全滅がダメ押しでした。後述しますが艦艇の喪失による国民士気に与える影響は陸軍ユニットの10倍なのです)国民の厭戦レベルが1レベルあがります。次ターンから中国大陸で始まる大反撃と、太平洋上での艦隊決戦により士気回復をはかりたいところです。

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第4ターン移動後の状況。中国戦線から、華北/北京にて日中両軍のハイスタックがぶつかっています。関東軍も参戦しており、日本軍は中国軍を壊滅させます。東シナ海には次のターンに上陸できる第2梯団が控えており、上海奪還を狙っています。日本本土周辺には連合艦隊が集結中。対する連合軍艦隊はマリアナ近海(P-12)にいますがおそらく連合艦隊のほうが数が優勢なのでこれもまた次ターンで優勢な戦いができる見込み。日本本土では次なる部隊も生産されつつあり、日本の国力旺盛です。真ん中下のニューブリテンではラバウル航空戦が発生中です。

とここで時間切れゲーム終了。

第4ターン終了時の状況を俯瞰すると・・
欧州戦域ではアメリカ・イギリス軍の第2戦線。上陸時の3分の1程度まで兵力を減らしていますが、増援は北海付近まで来ていますので次ターンにはフランスに上陸するでしょう(位置的にはもうしかするとノルウェー上陸も狙っているのかもしれません)。

地中海・アフリカはいまやドイツ・イタリアのものです。エジプトまで進出し、地中海はイタリア海軍の”我らが海”状態です。勢力が劣ったイギリス地中海艦隊はスエズ運河経由でインド洋に逃れた模様(これが、日本の南遣艦隊に対する攻撃を行った艦隊の一部になったという説もあるようですが)。
中東がガラ空き状態のイギリスは急ぎ中東から鉄道でつながるインドにおいてユニットの大量生産を行っています。残念ながら日本のビルマ派遣軍にそれを牽制できる力はありません。

東部戦線はコーカサスの占領によりドイツ・イタリア軍有利に傾いた印象です。ソ連軍には往時の勢力はありません。
ただしフランスに敵を抱えたドイツ軍は西方に戦力を移す必要があると思われますので、優勢状態を維持できるかは不明です。

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第4ターン終了時の欧州戦域。毎度のことながら逆さまなのは地球の反対側から撮影しているためです

さて太平洋戦線ですが、中国戦線は華北/北京を奪還した日本の華北派遣軍+関東軍がそのまま南侵可能です。もとより華北攻撃に戦力を集中していた中国軍はその主力戦力を失い、守備は手薄です。また東シナ海には華北派遣軍と同規模の第二次派遣軍も上陸を待っている状態です。中国戦線はこの後、日本軍優位ですすめることができるのではないでしょうか。

太平洋側は遠隔地の島々を失っているもののもとより国民士気や資源には影響が少ない地域のためあまり心配はしていません。懸案のアメリカ軍反撃勢力はマリアナ沖まできています。実はここまで生産による兵力の充実に努めていた日本軍は、艦船ユニットにおいても空軍ユニットにおいても、アメリカ軍の進出部隊の数を上回るところまで来ていました。うまく捕捉できさえすれば、一大決戦(「あ」号作戦か!?)を仕掛けることができる状態です。

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第4ターン終了時の太平洋戦域の状況。さきほどの写真と状況はあまり変わっていませんが、次のターンを臨む際の注目点としてては、華北/北京の日本軍のハイスタックと、東シナ海で待機する上陸軍(第44軍)が中国大陸を席巻できるのではないかという期待と、日本本土に集結した連合艦隊とP-12に集結する英米連合軍艦隊との艦隊決戦でしょうか

感想戦などを、と思ったのですが長くなったので今回はここまで。 

 

 

(つづく)

 

 

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*1:戦闘終了時に損害を受けステップを減らしたユニットは、その時点で自国の資源を消費して損害を回復するか、資源の消費をしない場合はユニット自体を除去する必要が生じます。戦闘後に資源の蓄えがない場合、回復できないまま除去されるユニットが発生する、戦勝貧乏のような状態が発生するのです。

*2:日本の機動部隊の数からするとミッドウェイ前の戦力のようです。とはいえ、史実と異なり飛行機も航空母艦もたやすく生産できることがおいおいわかってきましたが

*3:このゲームには地形効果はありません。移動を妨げるのは海だけですね。よって実際は急峻な地形で大軍による移動に困難を伴っていたはずのビルマ雲南間なども侵攻ルートにすることができてしまいます

*4:このゲームには補給の概念はありませんのでたとえ敵中に孤立したり制海権をうしなっていようとも孤立したユニットが損耗したりすることはありません。ハンニバルがスペインから南フランス、アルプスを越えて北イタリアに侵攻していったような戦い方ができるのです。

*5:実態はアクション数の制約からトラック島に集結している連合艦隊に合流できないままインド洋に残されていた艦隊