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「耳川の戦い」(国際通信社:コマンドマガジン153号)を対戦する。(2)第1戦目(2020年8月)

コマンドマガジン(国際通信社)153号付録ゲーム「耳川の戦い」をプレイしました。
いつもの千葉会。当方はルールブックは目を通していましたが、プレイは初。当日はNさんにインストを受け、インストプレイ後に本プレイをしました。

画像

 

当方は島津、Nさんが大友方を担当しました。
途中写真の撮りもれがあって話のつじつまをあわせているところがあるのでご了承ください。(大きな流れは間違っていないと思うけど)。 

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以下、島津側から見て右翼・左翼を記述する。

 

第1ターン[チット数:大友4、島津2]

4ターン目までの先手は大友軍(5ターン目からは混戦になるのでチットが出てきたところが先手になる)。また引くことができるチット数も前半は大友軍が多い。

1番手は大友軍の右翼(島津方から見て)の臼杵勢。前進してくる。

続く島津軍は本隊先陣と呼ばれる茶色のユニットの軍団。
この軍団主力は高取川南側にいるものの、3ユニットだけは川を渡って、大友軍の田北勢(濃緑色)の真正面に位置する。先程行ったインストプレイの際はこの田北勢が大友軍の中で一番に動いたため、島津の最前線にいた3ユニットは瞬殺された。
という経緯があったため、迷わずこの3ユニットを川の手前側に撤収。

だがこれはせっかく渡河状態にあったユニットだっただけに、単純に撤退するのではなく他にやりようがあったのではないかと反省。

その後、双方大友軍は3個軍団、島津軍は1個軍団の活性化を実施しターン終了。

終了時の状況は次の通り。
両軍が高取川をはさみ睨み合った状態。
島津軍は3ヶ所の渡渉点全てにユニットを送り込み塞いだつもりだったが、最右翼の渡渉点は塞いでなかった。これが後に影響を与えることとなる。

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第1ターン終了時

第2ターン[チット数:大友5、島津3]

さきほどの島津は2軍団だけが活性化できたが今ターンは3軍団。

先手大友軍の一番手はさきほどと同じ臼杵勢(緑色)。前ターンと同じく渡河に向けて前進。先鋒が渡渉点より渡河をはじめる。島津軍は前ターンで塞いでなかったためあっさり渡河を許す。

島津軍はマップ中央部で渡河攻撃、また大友佐伯勢(オレンジ色)の1ユニットの”吊り”に成功。

島津軍の最後は一番大友軍から離れた位置に控えていた本陣(黒色)が前進。そのまま左翼の渡渉点に向かい、一部を中央線線に振り向けた。
が、ここで問題が・・。渡渉点に配置している本隊先陣(茶色)のユニットが邪魔して攻撃位置につけない・・。

大友軍も最奥に位置していた最強の田原勢(白色)が前進開始。

大友勢の最後は、このターン2回目の活性化となる臼杵勢。島津軍が塞いでなかった渡渉点を続々と渡り、このターンのうちに軍団のほとんどのユニットが渡河を実施。

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第2ターン終了時

第3ターン[チット数:大友軍5、島津軍4]

大友軍が軍団毎にまとまっているのに対し、島津軍が左右に展開し、またぐちゃぐちゃに配置されているように見えるが、これは指揮範囲が大友軍よりも広く、1つの軍団毎に指揮範囲を持つ武将ユニットが2個ずつ(大友軍は軍団長の1個のみ)いること、また独立ユニットなどもあるため、比較的広く左右に展開できるためである。

右翼に大友軍臼杵勢が進出してきたので指揮範囲を気にしつつ、あわてて本隊先陣を延伸(というか右翼側にこれしかいないので仕方ない)。

中央部では大友軍田北勢対島津軍先陣、その左側では、佐伯勢対先遣隊との戦闘となる。佐伯勢の一部ユニットは”吊られて”包囲されている。

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第3ターン終了時

第4ターン[チット数:大友軍5、島津軍5] 

次のターンより後半戦にはいり混戦になるため、島津軍は「全軍攻撃」を仕込む。同じように大友軍も考えたようで「全軍攻撃」が画策されていた。
活性化できる軍団を選ぶことができる島津の特性を生かして、先に「全軍攻撃」を仕掛けたのは島津軍だった。

結果、島津軍は左翼にて佐伯勢(オレンジ)を後退させ島津本隊(黒色)が渡河成功、先遣隊(青色)の前面でも同じく佐伯隊(オレンジ)を川向こうまで押し返す。
だが大友軍も「全軍攻撃」等により反撃に出、左翼前面には後方からせりあがってきた田原勢(白色)が展開し、島津本隊(黒色)の前進をはばもうとしていた。また右翼では、臼杵勢(緑色)が深く南進し、島津軍右翼を包囲しようと移動してきた。

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第4ターン終了時

第5ターン[チット数:大友軍6、島津軍6]

引けるチット数は同じになり、また2回移動できる軍団を1~2個用意できるなど、まさに終盤に向けてのラッシュに入った。

このターン最も悩ましかったのは左翼、島津軍本隊(黒色)前面の扱い。戦闘正面の幅が狭く、一方で田原勢(白色)のユニット戦闘力は大友軍の中でも最強の10以上がゴロゴロしており、中には12といったものさえある始末。普通に同じユニットを並べただけであれば、有利な戦闘比率を出せない。
他の戦線でも各所で両軍ぶつかる。

第6ターン[チット数:大友軍6、島津軍6]

島津軍左翼正面に田原軍(白色)が展開したことから島津は左翼からの突破を諦め、島津本隊(黒色)の主要部隊を中央部に振り向けた。もともと中央部を担当していた、先遣隊(青色)、本隊先陣(茶色)の部隊の消耗が激しく、衝力が失われていたのだ。
島津軍本隊の転進により、途中にいた大友軍佐伯勢(オレンジ)や、田北勢(濃緑色)に対してかなり損害を与えるが、川向うに跳ね返すだけの力はなかった。

島津軍右翼では進出してきた大友軍臼杵勢(緑色)と、島津軍本隊先陣(茶色)が入り混じっているが、ここも両軍とも損耗が激しくユニット数もまた戦力も足りないまま散漫に戦闘が続いた。

第7ターン[チット数:大友軍6、島津軍6]

島津軍左翼は田北勢(白色)が比較的初期の戦力を有したままがっちりと守りにはいったためどうすることもできなくなり、中央部から右翼にかけて、両軍の損耗したユニット同士が包囲・逆包囲を仕掛け合いながら、壮絶な打ち合いをしているような混戦状態にはいった。

戦闘の焦眉の争点は、マップ南端の中央から、大きく湾曲しながら高城まで伸びる街道の確保。ただこれも田原勢が城を包囲している状態なのでこれもマップ中央部と城周辺の両方で大友軍ユニットを後退させる必要がある。

というところで終了。

結果として、除去ユニットによるポイントでは両軍とも同じくらいであったが、高取川を相互に越えたユニット、また街道の確保といったポイントで大友軍の勝利となった。

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第7ターン終了時(たぶん)。両軍かなりのユニットがなくなっているのが一目瞭然。黒色の島津軍本隊が左翼から中央部に進出しようとしているが、渡河までは至らなかった。

 

感想戦

昼からはじめて夕方には終了したので、3時間強といったところだろうか。
ユニット数が少ないわりには考える場面も多く楽しめた。下記に色々書いているが総じて再戦の機会があればまたやりたいと思えるゲームであったのは確か。ルール難易度も高くなく十分に楽しめる。

作戦上の反省点

  • 島津軍にとって最大の衝力をもった本隊の使い方がうまくなかった。当初、最左翼の渡渉点から渡河させようとしたが、マップ端と林ヘックスのため部隊を展開する幅が足りずに、うまく橋頭堡を拡大できないまま、田原勢の到着によりどうしようもなくなるという結果になった。正面にこだわらずせっかくの機動力を生かして、中央部や右翼のほうまで最初から活動させるように動くべきであった。
    居飛車ではなく、振り飛車
  • 特に序盤、先遣隊や本隊先陣の部隊については川越え攻撃をさかんに行ったがこれもうまく拡大できないままとなった。川越えを伴う後退でむやみにステップロスを重ねたことも響いた。第1ターンでの渡渉点の確保などもあわせて、川の扱いは注意したい。
  • 籠城組を全くうまく使えなかった。どのような戦い方をすればよいか研究が必要。
  • 大友軍の田原勢は戦場への到着が遅れた分、到着によって島津軍本隊による左翼の突破が不可能になるなど結果的には予備隊としての役割を十分に果たした。さらに大友軍には今回戦意の関係でほぼ動けなかった筑後勢という予備も存在する。
    一方の島津軍には予備部隊がなかったため、終盤の追い込みのタイミングで衝力をなくしてしまった。このあたりも考えたい。

 

ゲームのコツ・クセのようなもの

ルールの難易度自体は高くないがけっこうクセがあるルールだと思う。
普通にやっているとこのクセの部分で引っかかって失敗をしがちに感じた。

  • スタック制限は厳しい。特に移動時に重要なポイントを味方ユニットがいるだけで通れなくなるのはつらい(渡渉点など)。活性化の順番も注意で、活性化していない味方軍団のユニットが塞いでるために前進できないということがないようにしたい。
  • 川越え後退時に発生するステップロスはもったいないので、川越えで攻める際は注意が必要。今回は川越えで漫然とした攻撃が少なくなかったという印象。
    できれば渡河後の動きも読みながら攻撃可否の判断を行う必要がある。
  • ”吊り野伏せ”による後退はけっこう頻繁に発生するのだがその後の包囲をうまくやりたい。前の記事に書いたように、包囲した側が包囲されるという場面は再三ある。特に大友軍のユニットはひとつひとつ戦闘力があるので、戦闘力に劣る島津軍はそれなりの数のユニットを集めないと良い戦闘比率を得られない。さながらマンモスを狩る人類といった風になってしまう。
  • 島津軍はステップ数が多いのは良いのだが、ステップ消耗状態では2戦力とかしかなく、先のスタック制限もあいまって邪魔にしかならない場面も少なくない。極力、ステップロスは避けたいし、または損害担当ユニットを定める等の対処が必要かもしれない。

 

若干気になった点

  • ルールが特異な分、上記の通りコツみたいなものが必要になってくる点。プレイ中、あちゃ、という場面が少なからずあった。
  • 勝利条件がポイント制のゲームにはよくある話だが、最後のほうのビヘイビアがポイントを意識したものになる点は気になる。これは当方が勝利至上主義ではないという点もあるので、ポイントへの執着という点で差があるのは確か。一方でゲームである以上、ゲームとして勝ちを最後まで追求しないのはいかがか、と言われる可能性はあると思っている。
  • 最終2~3ターンでは相互に戦力がすり減らされ、戦場に序盤から中盤にあった緊張感が失われたような状態になるのは残念であった。両軍ともへとへとになった状態で散発的な攻撃をしあうといった状態になった。この印象は今回のゲームだけかもしれないので次回以降注意したい。

 おしまい

 

コマンドマガジン Vol.153『耳川の戦い』(ゲーム付)

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  • 発売日: 2020/06/20
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