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「耳川の戦い」(国際通信社:コマンドマガジン153号)を対戦する。(1)ゲームの特徴など

コマンドマガジン(国際通信社)153号付録ゲーム「耳川の戦い」をプレイしました。
いつもの千葉会。当方はルールブックは目を通していましたが、プレイは初。当日はNさんにインストを受け、インストプレイ後に本プレイをしました。

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1578年、隆盛を誇った大友氏は日向の完全制覇を狙って南進を開始します。対するは南九州の雄島津氏。同年11月12日、両軍が激突したのが本戦となります。史実では島津氏の大勝に終わり、大友氏凋落の端緒となる合戦です。
ゲーム中、両軍は異なる特徴を持つ組織として描かれ、シンプルなルールにも関わらず効果的にいくつかのおもしろい仕掛けが用意されています。

 

ルールとその特徴

チットドリブン

両軍は複数の軍団から構成されており(大友軍:5個軍団 島津軍:4個軍団)、軍団毎に活性化を行い、活性化された軍団に属するユニットをまとめて移動と戦闘を行っていきます。
この際、どの軍団から活性化するかという順番決めにあたって、カップに入れらたチットを引く事で決めらていくシステム(チットドリブンシステム)が採用されています。

ただこのゲームここで両軍の性格の違いをあらわすのにアレンジが加えられています。

大友軍は引いたチットに従って順番が決まりますが、島津軍は大友軍よりも統制が取れていたということで、動かす軍団を自分で選ぶことができます。

さらにこのチットシステムを用いて史実の流れに沿うようなアレンジが施されています。

合戦の火蓋を切ったのは大友軍であったため、ゲーム開始直後、1つのターンの中で動かすことができる軍団数は大友軍が多く、島津軍は大友軍の半分程度しか動かすことができません。最終的には同数のチットをひくことができるようになります。

ゲームの前半は両軍は交互にひとつずつの軍団を活性化できるのですが、後半は乱戦になったということで、両軍のチットを混ぜて、どちらの軍が次に動くのかさえわからなくなる演出になっています。

各軍団のチットは2個ずつ用意されており、特定の軍団について1ターンの間に2回移動-戦闘を行わせることも可能になっています。これにより思わぬ機動や猛攻撃を発生させることができます。

また両軍ゲーム内1回に限って全軍団に同時に移動-戦闘を行わせることができる全軍活性化のチットがあります。軍団をまたがり、また一斉攻撃が可能となる。また通常のチットもあわせると1つのターン内に複数回の行動を行わせることができるということで、かなり強力な手段になりますので、使い所を考える必要があります。

両軍のユニット性能の違い

大友軍全35ユニット、島津軍全31ユニット。
大友軍のうち5ユニットは戦意が低く信頼性に欠ける筑後*1ですので、筑後勢を除くとほぼ同程度の数のユニットを扱うことになります。

大友軍は戦闘力(平均:8.6)*2は高いのですが2ステップになっています。一方の島津軍は戦闘力(平均:5.4)*3は劣勢なのですが、多くの部隊が3ステップ有しています。

機動力の点でも島津軍は全ユニットが10移動力なのに対し、大友軍は7割の部隊の移動力は8と、若干落ちます。

言うならば、人数は多いが戦意が比較的高くない大友軍と、人数は少ないが戦意が高い島津軍といったところでしょうか。

最初は額面戦闘力が小さくてもステップ数が多い島津軍が良いのではないかと考えていました。が、それは間違いであることが後にわかります。

指揮範囲と独立部隊

指揮官クラスの部隊は指揮範囲を持っており、通常の部隊は指揮範囲内で活動しないとペナルティをくらう可能性があります。また両軍とも各軍団に1ユニット程度は独立して動くことができる部隊があり、これらの独立部隊は指揮範囲に関係なく活動できます。

大友軍の各軍団は基本1軍団に指揮範囲を持つユニットは1個なのですが、島津軍は2ユニット程度ずつあります。これによりひとつの軍団を2つに分割して活動させることも可能になります。

また指揮範囲は指揮官の能力によって異なり、概して島津軍の指揮官ユニットの指揮範囲能力は大友軍のそれを上回った数値に設定されているなど、指揮能力は島津軍のほうが優れています。

スタック制限と川

1ヘックスのスタック制限は1ユニット、これは移動途中や後退途中にも適用されますので注意が必要です。味方ユニットがあるばかりに通れない、または後退できないという場面がゲーム中、多々発生します。

後述の渡渉点など他の味方ユニットが居るというだけでそこを使えなくなる可能性があります。これに活性化が加わると、活性化していない味方の軍団が前を塞いでいるので前進できない、または後退できないということにもなります。

このゲーム、盤面中央を左右に横切るように高城川が流れており、川を越えているユニット数が勝利ポイントになるなど、ゲームのポイントになります。
川のルールも注意が必要です。高城川には全部で3箇所の渡渉点があります。渡渉点を通った川越えは2移動力、それ以外の川岸を超えた川越えは5移動力が必要です。
川越えでの攻撃は攻撃力が半分になります。よって攻勢側、特に個々のユニットの戦闘力が小さい島津軍)は川を越えたところで攻撃を行いたいのですが、川を越えて後退を行った場合、攻撃側後退の場合も防御側後退の場合も、強制的に1ステップロスが発生します。

川を越えるべきか越えざるべきか悩みどころとなるのではないでしょうか。

”吊り野伏せ”

他のゲームでは余り見ることがないこのゲームの特徴的なルールとして、島津軍に適用される”吊り野伏せ”があります。

”吊り野伏せ”自体は例えば、わざと負けたふりをして、後退することで、追撃してきた相手を、包囲陣の中に誘い込み、はいってきたところで包囲攻撃するという、島津軍が得意としたと言われる戦法を指します。*4

ja.wikipedia.org

ゲーム内では戦闘結果表の結果の一部で”吊り野伏せ”が発生する結果が混じっています。

  • 島津軍が攻撃をした際のAR(攻撃側後退)の一部結果
  • 島津軍が攻撃を受けた際のDR(防御側後退)の一部結果

島津軍ユニットが後退するのにあわせて、大友軍のユニットを戦闘後前進する訳ですが、この戦闘後前進を、通常は大友軍が操作するところを島津軍が操作(誘い込む)することができます。

予め包囲できるようなポケットを作っておいて、1対2などの弱い戦闘比で攻撃を行い、”吊り野伏せ”付きのAR(攻撃側後退)の結果を出し、後退にあわせて大友軍のユニットをそのポケット内に戦闘後前進させる。そこで包囲が完成です。

大友軍ユニットは個々のユニットの戦闘力は大きいのですが、2ステップしかありません。後退ができない状態とすることで攻撃を行い、ステップロスを起こさせることは、大友軍にとって痛手になるでしょう。

ただこれも弱点があって、包囲陣の外側に相手ユニットがいると包囲を行っている自ユニット自体が包囲されている状態になる可能性があるのです。
包囲するものは、包囲される、のです。
特に、個々のユニットの戦闘力が大きな大友軍ユニットを相手にする場合、包囲を行っている島津軍ユニットのほうが戦闘力が小さい事が多く、包囲陣の外側に大友軍ユニットが来ることで、内側ユニットとあわせて逆包囲されることになってしまいかねません。

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インストプレイ時に発生した”吊り野伏せ”の例。
中央のマーカーが乗ったオレンジ色の2個ユニットが
島津軍による川越えの攻撃により釣られ、
川を越えて包囲ポケットの中に進入してきた。

 

書き忘れていましたが、メイアタック、また敵ZOCからの脱出は+αの移動力を消費することで可能です。

 

マップと初期配置

初期配置位置は決まっています。
写真上側が北になります。
マップ上方から大友軍、マップ下方から島津軍が進入してきた状態です。
マップ左側に薄い赤のヘックスがある部分が島津軍が籠もる高城になります。
両軍の主力の間に高城川があります。
高城川より北側にいるユニット(除く、赤丸内のユニット)が大友軍、高城川の南にいるユニットが島津軍です。
高城川の渡渉点は街道沿いに3箇所(一番右側の渡渉点は写真では見切れています)。
マップ右側、2つの川の合流点あたりの青いヘックスは沼沢地になっており進入不可です。

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(つづく)

 

 

コマンドマガジン Vol.153『耳川の戦い』(ゲーム付)

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  • 発売日: 2020/06/20
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週刊 絵で知る日本史 20号 耳川合戦図屏風

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*1:活性化させようとした際に活性化しない可能性がある

*2:目換算ですので正確ではない可能性があります

*3:同上

*4:アニメや漫画の合戦シーン、こと古代中国モノとかファンタジーものにありそうな展開だと思うのですが、なかなかいい実例が思い浮かびません。