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歴史、ミリタリー、ウォーゲーム

「STALINGRAD -VERDUN ON THE VOLGA-」(LAST STAND GAMES)を対戦する(2)AAR編

スターリングラードを舞台にエリア・インパルスシステムを用いた作戦級ゲーム「STALINGRAD -VERDUN ON THE VOLGA-」(LAST STAND GAMES)を対戦しました。

対戦相手はDさん。ダイスの目によりDさんはドイツ軍、当方がソ連軍を担当します。

プレイした通常シナリオの長さは5ターンです(キャンペーンゲームは10ターン)。

 

yuishika.hatenablog.com

 

 

 

 

初期配置

初期配置位置は両軍とも決まっており、裁量余地はありません。ゲームは1942年9月、ドイツ軍がスターリングラード市街に向けて進撃を始めたところから始まります。

ドイツ第6軍がスターリングラード市中心部への攻撃を開始したのは1942年9月13日ですので、第1ターンはこの日あたりに始まるということでしょう。

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黄土色のユニットがソ連軍。初期配置状態ではマップ全体に薄く広がっているのがわかります。ドイツ軍はその外縁に配置された青緑色のユニット。
手前がボルガ河。上が西・下が東になります。

 

第1ターン

第1インパルス

ソ連軍インパルスはスキップされ、ドイツ軍インパルスより始まります。

郊外地帯からドイツ軍が東進。全線で平押しするのではなく、攻撃発起箇所を絞ってきました。
北側の工場地帯を目指す攻撃ではオーバーランが発生し、あっという間に市街地に迫ります。ドイツ軍の先鋒はソ連軍前線を突破し裏側に回り込みそうな勢いです。
南方で中央駅付近を目指した攻撃は、ソ連軍守備隊の撃滅には至らず、オーバーランは発生しません。

第2インパルス

ソ連軍は「再集結」アクションにより郊外まで広く薄くなっていた戦線を市街地と周辺エリアまで後退させます。

「再集結」アクションを行うと敵ユニットがいるエリアや敵支配のエリアを除き、全ユニットを移動させることができます。移動距離は1エリアに制約されますが、一度に全ユニットの移動ができるという点は魅力です。

ドイツ軍インパルスでドイツ軍もソ連軍と同様「再集結」を行います。こちらは、同一師団に属する連隊を同じエリアに集結させたものです。攻撃の軸を作っていく準備的な移動と言うべきでしょうか。

同一師団に属する3個以上のユニットが同じ戦闘に参加した場合、「同一師団効果」によるダイス修正+1が有効になります。

第3インパルス

ソ連軍は戦線の整理。

この時期のソ連軍は次々と侵攻するドイツ軍に翻弄され、戦線の破れを取り繕うのに手いっぱいです。
ソ連軍は積極的攻勢を行うことができるほどの戦力を集結できませんし、日中はドイツ軍の航空支援を考慮すると、勝負を五分に持っていくこと自体が難しい状態です。

ドイツ軍インパルス。進撃を再開しようとしたドイツ軍は問題に気づきます。徒歩ユニット以外の装甲ユニット・自動車化歩兵ユニットは、架橋されていない川を渡河できないのです。

マップの下側を左右に流れるボルガ河は別格として、マップ内にはエリアの境になっている河川が少なくありません。戦車部隊・自動車化部隊は、橋が設置されていない河川を超えて渡ることができません(徒歩ユニットは全移動力を消費することで渡河できます)。
スターリングラード市街はボルガ河に流れ込むいくつもの小河川によって分断されており、それらの小河川は架橋されていない場所も少なくないことから、この機械化部隊の移動にあたって邪魔になるのです。下手に前進すると、行った先のエリアで、橋がない河川に阻まれて前進できなくなる事態も考えらます。
この後もドイツ軍はこの河川超えの制約に悩まされ続けます。

第5インパルス

ドイツ軍中央部を担う先鋒がママエフ・クルガン(ママイの丘)に突入しますが、ソ連軍に撃退されます。

ママエフクルガン(ママイの丘)はスターリングラード市街の南北のちょうど真ん中付近に位置する標高102メートルの丘陵で、市街地内随一の制高点にあたります。
ドイツ軍がこのエリアを占拠すると、ソ連軍だけに認められているボルガ河の東岸との移動にあたって必要となる渡河チェック時に不利な修正が付くようになります。

かつて小学校の頃に読んだ戦記(ドキュメンタリー)では「ママエフ墓地」と訳されていたため、墓石が立ち並ぶ丘をイメージしていたのですが、実際はタタール人がこの地を治めていた時代の巨大墓、いわば古墳のような場所のようです。

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写真の説明ではママエフクルガンとあったのですが、左奥に見えるボルガ河から推測すると破壊された丸い円筒形の建物が石油精製工場で、ママエフクルガンはその右下あたりからがそれということでしょうか(雲の下あたりから右下あたりにむけて広がっている)

Достопримечательности города Волгоград: Мамаев курган и скульптура  Родина-мать зовет!

現在のママイの丘には見る人の遠近感を喪失させそうな巨大な像が立っている模様です。建造時の1967年当時は世界で最も高い非宗教像だったらしいです。高さ85メートル。ちなみに茨城県牛久にある牛久大仏の像の高さは100メートル(別に台座が20メートル)です。

 

第6インパルス

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第6インパルス開始時の戦況。
青緑の実線矢印はドイツ軍の主攻撃軸。同じ青緑の破線矢印はソ連軍の自主的な後退等によって空いた土地への進出を中心とする進撃を表します。黄色印は主な戦闘発生場所。
黄土色実線は第1インパルス開始時、赤茶色は第6インパルス開始時の戦況。

 

 ドイツ軍は北方でソ連軍戦線を突破しその先鋒はボルガ河畔に到達します。これによりスターリングラード市街のソ連軍は南北に分断されました。今回ドイツ軍が占拠したエリアの北隣には、有名なジェルジンスキー・トラクター工場があります。

ジェルジンスキー・トラクター工場はゲーム内では面白いルールが付加されたエリアになっています。ソ連軍はこのトラクター工場を支配し続けている限り、毎ターンの再編フェイズにおいて戦車ユニットを1ユニット補充することができるのです。補充に乏しいドイツ軍からすれば垂涎のルールです。

このジェルジンスキーラクター工場、みんな大好き「スコードリーダー」のシナリオ1「The Guards Counterattack」の舞台となった場所ですね。

スコードリーダー | 成瀬祐一郎♥のゲームばかりじゃないけど

ちなみにジェルジンスキーとは人の名前です。

第7インパルス

ソ連軍は周囲のなけなしの部隊をかき集めてジェルジンスキーラクター工場に増援を送り込みます。
全線で出血を強いられているため、戦線の穴を塞ぐべく自主的に後退し、戦線の縮小を図ります。

ドイツ軍の次の攻撃は南部で発起されます。ドイツ軍はオーバーランを駆使して、中央駅(第1停車場)まで進出します。ここでもあと一息でボルガ河畔にたどりつくところまで来たのです。

実はここでドイツ軍はインパルス終了のダイスを目を出したので、夜インパルスに変わるところだったのですが、ドイツ軍は「アドバンテージ」を使って昼インパルスの延長を宣言しました。

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ドイツ軍による中央駅付近の航空写真。中央駅近くには有名な輪になって踊る子供たちの像が設けられた噴水がありました(上の写真では写真左上あたりの広場のような場所がが噴水のある場所の模様)。

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中央駅前の踊る子供像。1942年8月という驚くような撮影日付からすると、ドイツ第6軍による市街地への侵攻が始まる直前の風景ということになります。すでにドイツ軍による度重なる爆撃により市街地の建物群が廃墟化しているのがわかります。奥の建物が中央駅です。
ちなみにこの子供像は移築された現物やレプリカがいまも保存公開され、見ることができるようです。

第8インパルス

ソ連軍はドイツ軍の進出に対応し市街の北側や南側の戦線を後退させます。

ドイツ軍ターン、ダイスチェックによりあっさりと「夜」が来ます。

第9インパルス(夜間)

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第1ターン、第6インパルス~第8インパルス(昼間)終了時
右翼、ジェルジンスキーラクター工場の南方でドイツ軍先鋒がボルガ河畔に到着しました。

 

ソ連軍はボルガ河対岸から増援を渡河・上陸させます。上陸するユニット毎に渡河チェックを実施し、損害なく成功します。

ソ連軍の随一の精鋭第13親衛狙撃師団3個連隊約1万人が到着したのです。

ソ連軍の増援はボルガ河を渡って到着するのですが、ボルガ河の渡河は夜間にしか実施できません。

渡河にあたっては渡河チェックが必要で下手をするとステップロスや渡河失敗、またユニットのロストまで発生する可能性があります。そのチェックのダイスには、ドイツ軍がママエフクルガンや上陸地点周辺の川岸を支配下に置いていたり、進出していたりすると修正が加わるようになっています。

第10~11インパルス(夜間)

両軍とも大きな動きはありません。

夜になりようやくソ連軍が主役とばかりに攻撃を企図しますが、まだまだドイツ軍のスタックは強力でおいそれとは攻撃を仕掛けられない状態です。ソ連軍はこのターン、夜インパルスが終わるまで攻撃を行うことはできませんでした。

昼のインパルスはドイツ軍が主役だとすると夜のインパルスの主役はソ連軍です。夜インパルスの間のソ連軍には次のようなアドバンテージが与えられています。

  • 移動力+1
  • ボルガ河の渡河が可能(増援を到着させることができます)
  • 攻撃時のダイス修正+1(戦闘システムの構造上、たった1でも重大です)
  • ストームグループの利用(後述、戦闘時に1D6分のダイス修正が発生)

なによりも、ドイツ軍が航空支援を使うことができない点は素晴らしい。

 

ドイツ軍のインパルス終了チェックにより「夜」インパルスも終わり、次のターンに進行します。また「昼」がやってきます。

ターン終わりの再編フェイズではソ連軍は「アドバンテージ」を使い、補充ポイントを増加させます。ステップロスを被ったユニットのロス分を解消します。またジェルジンスキーラクター工場は隣接するエリアまでドイツ軍に奪われている中、戦車生産を続け、1個戦車大隊が編成され登場します。得した気分です。

毎ターンに得る補充ポイントはドイツ軍1ポイント、ソ連軍2ポイント。
1補充ポイントにより2個のステップロス状態のユニットの回復、または1個の除去ユニットの復帰(ステップロス状態)が可能になります。
このターンソ連軍は「アドバンテージ」を使って補充ポイントを増加させ、部隊を補充します。
この回復力の差は大きいです。

 

第2ターン

第1~5インパルス

戦闘時に指定される先導ユニットは戦闘に勝利したとしても必ずステップロスを被るというルールがドイツ軍を苦しめます。1エリアのスタックは4ユニット。同一師団効果を得るため、同一師団の3個連隊+他のユニットという組み合わせでソ連軍エリアに侵入し、攻撃を行うのですが、戦闘解決により、たとえソ連軍を全滅させたり退けたりするだけで4個ユニットのうち1個はステップロスを蒙ります。

オーバーランが発生するとさらに1個ユニットがステップロスです。1つのスタックは4回攻撃を行うと全ユニットステップロス状態となり、それ以上攻撃を発動するとそれだけでユニットを失う状態にまでなってしまうのです。

再編フェイズで補充ポイントを用いるか、ステップロスユニット同士の合流により完全戦力に戻すことは可能ですが、補充ポイントは毎ターン通常であればドイツ軍全軍をあわせて2個ユニットを回復する分しか届きませんし、ステップロスユニット同士の合流は、ユニット数の減少をもたらします。*1

ドイツ軍は初期戦力+増援ユニットをいかに長く効率的に使い、攻勢状態を継続させていくのかがポイントになってきそうです。

 

攻撃を行えば行うほど衝力を失っていくとわかっていてもドイツ軍は攻撃を続けなければなりません。

第2ターン冒頭からインパルスをまたいでドイツ軍の猛攻が続きます。ジェルジンスキーラクター工場、ママエフクルガンをはじめ、ボルゴ河畔のエリアもいくつか占領されます。北方の渡河ポイントを含むエリアを占拠されたことによるソ連軍は複数ユニット(1個師団超規模)のユニットの補給切れ孤立・・。とドイツ軍が各所で起こした攻撃の前にソ連軍はなすすべもありませんでした。 

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 Red Octorber Factory付近とある。軍装からソ連軍の対戦車砲チームか

 

第6~7インパルス(夜間)

このターン、5インパルスで昼が終わり「夜」が来ます。

第6インパルス、ソ連軍の精鋭第13親衛狙撃兵師団が戦線の最南端で4個ユニットともステップロスを被った状態のドイツ軍歩兵師団に夜襲をかけます。

攻撃側としての砲撃支援+2、夜間のソ連軍の攻撃+1、ストームグループの発動+1D6、ストームグループが瓦礫のあるエリアで発動したことによる+1、と次々とダイス修正が重なり両軍が振ったダイスの目の差は方や良く、方や悪く、つまりは差が最大に近い状態となったのです。さらにダイス修正を施した結果・・、

ドイツ軍の1個歩兵師団4ユニットがまるっと全ユニット除去となったのです。

ストームグループはソ連軍が、夜間ターンに、市街地エリアにおいてのみ発動することができる特殊攻撃。その効果は昼間のドイツ空軍の航空支援並の効果を得ることができる。ドイツ軍の航空支援が1インパルスあたり2回実施できるのに対し、ストームグループは1インパルスあたりの実行回数は1回のみ、さらに初期ターンにおいては第13親衛狙撃兵師団しか実施できないなど制約条件が厳しい。

戦線の一端を担っていたユニット群が1個師団分まるまる無くなるという結果にドイツ軍は衝撃を受け、第2第3の夜襲を恐れ市街地に進出している部隊を周囲まで後退をします。

第3ターンまではストームグループを実施できる部隊は第13親衛狙撃兵師団の3個ユニットに限定されるため、それほど恐れることはなかったのですが、1個師団全滅という結果と、ほとんどのドイツ軍師団がステップロス状態になっていたことからこれ以上のユニット除去を恐れたのです。
なお本ゲームの勝利条件はポイント制ですが、ポイントはエリアの占拠によってのみで得られ、ユニット除去によるポイント増減はありません。

再編フェイズ、補給切れになっていたソ連軍数ユニットが降伏します。

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終了時点での右翼戦線の状況。

最右翼ではドイツ軍装甲師団により渡河点を占拠された事によりマップ右端にいるソ連軍ユニット群が補給切れに陥いります。戦力的には弱小部隊の寄せ集めのような状況のためなす術がないまま、降伏チェックを行い、数ユニットが降伏除去されます。
プレイ後、確認するとエラッタによりマップ右端エリアは補給切れにならないという記述ありました。

ジェルジンスキーラクター工場はドイツ軍に占拠状態。
他にママエフクルガン右下のエリアまでドイツ軍は進出するものの、「ストームグループ」ショックにより、市街地に師団を置いておくのは危険とばかりに後退を開始しました。

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終了時点での左翼戦線の状況

中央駅上のエリアにおける「ストームグループ」による襲撃によりドイツ軍1個歩兵師団(3個連隊)が折からのステップロス状態から全滅し、最左翼における戦力均衡が大きく崩れることとなりました。
ドイツ軍の師団スタックはいずれもステップロスを食らった状態になっており、このまま市街地に居座ってソ連軍の「ストームグループ」の襲撃を受けるよりは、後退行動にはいりつつあります。

 

コロナ下での公共施設の利用時間の制約からここでゲーム終了です。

 

感想戦

 

比較的、手軽にスターリングラード戦を戦うことができるゲームです。
プレイ内容自体、今回はドイツ軍が苦しい状態になったのですが、BGGののフォーラムにおけるデザイナーの書き込みによるとバランスは十分に調整をしたとあるので、もう少しやりようがあるのでしょう。
ソ連軍も序盤において一歩間違えるとかなり苦しい状態になったのではないかと感じますし、ダイスの目による振れ幅も大きいように思います。

Dさんいわく「対戦後にいろいろ試したくなるのは良いゲームの証拠」ということなので、またやりたくなっているところをみると良いゲームだと思います。

前記事にも書いたとおりルールの書きぶりに緩さがあって、解釈・判断で度々プレイは中断しました。ただし今回のプレイ後、フォーラムは全てチェックしたので次回はもっとスムーズにプレイできるのではないかと思います。

  

 

 

 

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スターリングラード戦において、ソ連軍とドイツ軍のそれぞれにいた狙撃兵をフィーチャーしたストーリー。ストーリーそのものよりも映画冒頭、ボルガ河を渡った船着き場に到着するなり、武器も渡されないままドイツ軍陣地に突撃させられるソ連兵という意味不明で滑稽で不条理なシーンのほうが強烈に印象に残っている・・。

 

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*1:他にドイツ軍はいったんマップ外に退かせて回復するという手段も用意されているのですが、この短いターン数の中でそのような時間的余裕はないのではないかというのが両プレイヤー一致した意見です。