「IRON DRAGON」(Mayfair Games)を対戦しました。
タイトルがカッコよいのですが、いわゆるユーロゲーム系ボードゲームです。
ゲームの概要
ファンタジー世界を舞台に、線路を敷設し貨物を運ぶことで収入を得、鉄道ネットワークを拡大し異世界での鉄道王を目指すゲーム。
オリジナルゲームは北米大陸を舞台とした鉄道ゲーム「エンパイア・ビルダー」ですが、基本的なゲームシステムはそのままに舞台を異世界に移し、ファンタジー要素たっぷりの演出を施されたのが本ゲームです。
プレイヤーの役割と勝利条件
プレイヤーは、自分の鉄道ネットワークの中で列車を移動させ貨物の運搬を行い、収入を得ます。得られた収入により列車のグレードアップと鉄道の敷設を行うことができます(一度に運行できる列車は1編成のみです)。
マップ上に登場する7ヶ所の大都市のうち6大都市を自分の鉄道ネットワークをつなぐこと、さらに250ゴールドの資金を貯めることで勝者になります。
敷設した線路をマップに書き込みます
マップ表面はラミネート加工されており、水性ペンで路線を記入していきます。マップ上には小さなドットが記載されてドットとドットを結ぶことで線路となるのです。
プレイ終盤になるとマップ上には各プレイヤーが担当する色による鉄道ネットワークがかなりみっしりと輻輳した状態で記述されていることになります。
ドットには平地の他、森林・高地・山岳・砂漠・ジャングルといった地形が記載されており、地形によって線路の敷設に要するコストが異なります。平地は1ゴールドですが、高地・森林は2ゴールド、山岳に至っては5ゴールドとはねあがります。
マップに書き込む線路は他人の線路と交わることはできますが、重ねて敷設することはできません。さらに都市はその規模によって乗り入れすることができる路線数に制限があります。
プレイヤーが同じ2つの都市間に路線を設定するとしても、同じルートは設定できませんので、コストや距離などに差がでてきます。地形が複雑、狭い場所にあるといった都市に路線を引こうとした際に新たな路線が引けない、または引きにくいといったことが起きてきます。*1
1回の手番の中で投資できる金額に制限があること、また現在の自分のネットワークを延長する形でしか敷設できないという制約があるため、路線の拡大は無闇にできる訳ではありません。
プレイの序盤から中盤にかけて資金はかつかつで、荷物を運んで得られた資金をそのまま鉄道敷設に投資するという自転車操業状態ですので、積荷の依頼内容の取捨選択を含め、計画的に拡張を行っていかなければ、すぐに資金不足に陥ってしまう、または他プレイヤーに先を越されて効率的にネットワークを設定できないということがでてきます。
序盤の状況。赤く塗られたおおきな六角形が大都市。大都市はマップ内に7ヶ所あり、このうち6ヶ所は自分の路線ネットワークでつなげる必要がある。
カラーリングされたコマが各プレイヤーが操作する列車を表し、1回の手番の中で決められた移動力分、自分の路線ネットワークの中を移動させることができる。
マップ上には小さなドット模様とドットの代わりにカラーのシンボルマークが記載されている。単なるドットは平地、カラーのマークはそれぞれ森林や高地、ジャングルなどを表す。
積荷は積荷カードによって依頼される
積荷の依頼が記載している積荷カードには、3種類の積荷とその目的地・報酬が記載されています。積荷にはそれぞれそれを取得できる固有の産地がありますので、産地の都市でそれを積載して、目的地まで運んで報酬を得るということになります。産地と目的地が遠いほど報酬は高くなりますが、当然難易度が高くなります。鉄道が敷設されていなければ目的地または産地まで鉄道を敷設する必要があるでしょう。
プレイヤーは最初に配られる3枚の積荷カードをみながら、最初に敷設する鉄道の路線を決めます。最初は慣れていないのでそれぞれの産地や目的地をマップ上から探すことになるでしょう。
手前に置かれた3枚のカードが積荷カード。それぞれ3種類の運送の依頼内容が記載されている。
ファンタジー要素は随所に
ここまではオリジナルの「エンパイア・ビルダー」をはじめシリーズの共通的なルールと言えます。
ファンタジー要素としてはまずマップが完全な架空世界になっています。中央にある大きな大陸の他、海を挟んで魔法の大陸、さらには地下世界もあります。
魔法の大陸へはワープゾーンがあるとある大都市経由で渡るか、海峡越しの路線を敷設することで渡ることができます。地下世界は大陸の複数ヶ所にある地下世界へのトンネルを経由して行くことができます。
勝利条件となっている7つの大都市は魔法大陸や地下世界にもありますので、無視することはできません。
積荷にはスパイス、木材、牛・鉄といった通常のものだけではなく、魔法の杖、武具、呪文の文書、果てはドラゴンといったものがあります。魔法大陸や地下世界からでしかとれない産品もあります。
プレイヤーは雇用人として1種族を指定することができます。各種族には特殊スキルそれぞれにあり、主に線路の敷設の際の必要コストを削減することができます。例えば、エルフを雇用している間は、森林の敷設コストが2ゴールドから1ゴールドに削減などです。特に地下世界においては1ドットあたり5ゴールドの敷設コストが、トロールを雇用することで2ゴールドと劇的に削減することができます。
種族カードはゲーム中、随時交換することができるのですが、各種族のカード枚数は限られているため、都合が良いタイミングで目当ての種族を雇用できないことがあります。
積荷カードの中にはイベントカードが紛れており、ほとんどはトラブルイベントであるためなんらかの障害が発生します。
洪水により橋がながされた(架橋し直さなければ通行できなくなる)、砂嵐で砂漠地方の路線が消えた(敷設し直す必要がある)、火山の噴火、シー・サーペントが暴れたため海岸地方で積み下ろし不能、エルフ族の暴動により森林地帯通行不能・建設不能などなど、ファンタジー世界っぽい事件が起きるのです。
言い忘れましたゲームタイトルとなっている「アイアンドラゴン」はこの世界で運行される列車名です。*2。
アイアンドラゴン号は、投資をすることで荷物の積載量や1つの手番での移動量を増加させることができます。
ゲームの展開
インスト後、すぐにプレイできるでしょう。2、3周手番を回せばやり方は理解できると思います。
プレイ人数は2~6名とありますがベストは3~4名とのことです。今回は4名でプレイしました。マップ上の路線の埋まり方などからすると、ベストな人数というのもよく理解できます。
ゲーム開始時、各プレイヤーは、20ゴールドの資金、40ゴールドまでの路線設置の権利*3、また最初の3枚の積荷カードを渡され、最初の雇用種族もカードで配られます。
まずは積荷カードを見て、各カードに3件ずつ記載されている積荷の産地と目的地を確認します。何を運ぶのか、何を運べるのか、それによって最初に敷設する路線を検討するのです。
最初の頃は、記載された地名をマップ上から探すのが大変かもしれません。
積荷の報酬が次の路線敷設の資金になりますので、最初の積荷を何にするのか、路線をどう敷設するのか、次の積荷をどうするのか、などと作戦を検討する必要があります。
他のプレイヤーが目指している都市が一致する場合など線路の敷設のタイミングは注意が必要でしょう。相手に先んじてコストが安いルートを押さえてしまうということも必要かもしれません。なにせ都市によっては乗り入れ本数の制限があるため、中長期的に線路の拡張計画は検討する必要があるでしょう。
雇用種族もとりあいになるかもしれません。特に地下世界に有効なトロールは1枚しかありませんので、地下世界が路線拡張の対象となっていく中盤以降はわざとトロールを雇い続けることで他プレイヤーが地下世界に路線を拡張するのを妨害するといったこともできます。
ゲーム中盤から終盤にかけては比較的資金に余裕がでてくることもあり、いままでけちけちとルートを選んで路線をひいていたところを、コストおしまず山岳地帯をぶち抜いた縦貫線をつくってしまうことも可能になってくるかもしれません。
積荷カードは常に3枚手元にある状態になり、ひとつの荷物を運搬し終わるとその時点で次の積荷カードをドローできます。ドロ-した積荷カードの内容によってそれまで考えていた”運搬計画”や”路線設置計画”がガラリと変わることも度々です。
路線の設置で言えば、タイミングも問題で少し躊躇している間に他のプレイヤーにコストが安いルートを先に敷設させてしまい、コスト高のルートを敷設しなければならなくなるということも頻発します。
雇用種族についても適用される地形が広いため、使いやすいエルフ、ドワーフの一方でトロールのような特殊な種族の確保が進行上のボトルネックになったりすることもあるかもしれません。
プレイ時間はけっこう要し、インスト込みで4~5時間になりました。
終了時の路線ネットワーク状況。中央の大陸の他、右側の魔法の大陸上も路線が描かれている。地底世界は写真内に収まっていない。
(おわり)