
戦術級・東部戦線
『SQUAD LEADER』(AVALON HILL)(以降、SL)シナリオ5「Hill 621」を対戦しました。


丘陵地のドイツ軍陣地を攻撃するソ連兵(イメージ)
第3ターン ―― 戦車戦の駆け引き
Ⅳ号戦車F2型とT34/76は主砲の口径がほぼ同じで、ゲーム内の防御力の数値も同一です。貫通力はほぼ互角と考えてよいでしょう。ドイツ戦車がソ連戦車に対して優位なのは遠距離での命中率で、距離が開くほどその差は広がります。数で劣るドイツ戦車は、できるだけ距離をとった射撃戦を行うことで優位に立つことを目指します。
突出していたⅣ号戦車は後退してその場を脱します。このとき話題になったのが、SLには「後退(車体の向きを変えずに後ろへ下がる)」のルールが存在しないのではないかという点でした。続く拡張セット『クロスオブアイアン』(以降、COI)ではルール化されているこの後退移動を、今回はCOIのルールを参考にハウスルールとして適用しました。*1
残る車両もソ連戦車を射撃できる位置に移動し、すかさず射撃戦を開始します。
ソ連歩兵はさらに前進を続け、マップ4の中央部もソ連兵で埋まり始めました。ドイツ軍分隊はソ連軍の石造建造物の火点に射撃を加え、しばし戦闘不能に追い込むことに成功しますが、ソ連軍には予備兵力と回復用の指揮官が控えており、すかさず交代の分隊が送り込まれます。冒頭のKIAで取り残された通信機が使えていないのが、依然として痛恨の極みです。
第4ターン ―― 対戦車砲の痛恨の喪失
ここまでに両軍の戦車間で数度にわたる砲撃戦が行われました。ソ連軍は3両を失って残り3両、ドイツ軍は戦車戦で1両、ソ連歩兵の捨て身の白兵戦でさらに1両を失い、残り2両です。
実は第1ターン、ドイツ軍には75ミリ対戦車砲を装備した増援が到着しており、これをハーフトラックで牽引してマップ2の最高レベルのヘックスに移動、対戦車砲陣地を構築しようとしていました。この地点はマップ全体の広い範囲を射界に収めることができ、設置後はソ連軍車両の移動を著しく制約できるはずでした。また対戦車砲は歩兵の白兵戦を受けない限り破壊が難しく、非常に頼もしい存在です。
そこへソ連軍が、3枚のマップの対角線付近という遠距離から、このハーフトラックに向けてT34/76の砲を向けてきました。命中値は2D6で2以下という、ほぼ絶望的な確率です。
ところが出るんですね、「2」が。T34/76の76ミリ砲にハーフトラックの薄い装甲など無意味で、命中イコール即破壊。まだ牽引状態にあった対戦車砲もろとも失いました(牽引状態から陣地への設置には、それなりの手間と時間がかかるのです)。
第1ターンの最強スタック消滅に続く、2度目の大ショックです。

第4ターン
①~③: ドイツ軍Ⅳ号戦車F2型の残余3両
④ : 75ミリ対戦車砲を牽引していて破壊されたハーフトラック
左前方対角線のマップ3から射撃された
⑤ : ゲーム開始時からの生き残りのドイツ軍歩兵分隊3個
⑥ : ソ連軍T34/76 の残余2両
⑦ : 因縁のソ連軍機関銃陣地
第5ターン以降 ―― 増援と反斜面陣地と錯綜する戦線
両軍に五月雨式に増援が到着します。
ドイツ軍には8-3-8の戦闘工兵4個と10-3指揮官が、機関銃・パンツァーファウストを複数携えハーフトラックに乗って登場します。彼らは勝利条件の丘陵地頂上付近の防衛に備え、ソ連軍から見えない稜線の向こう側に展開させます。勝利条件となるヘックスを射程に収めながら、強力な火力で反斜面戦法を実践してもらう算段です。
さらにⅢ号突撃砲G型が2両。主砲はⅣ号戦車と同じく75ミリ砲ですが、装甲修正が+1でやや硬くなっています。ただし砲塔を持たない突撃砲は、移動後すぐには射撃できないという制約があります。
これに対抗するように、ソ連軍にもSU-122とSU-152が2両ずつ登場します。足は鈍重で命中率もさらに低いですが、搭載砲の威力は凄まじく、20火力・30火力といった破壊力で歩兵陣地を吹き飛ばすには十分過ぎるほどです(通常は後方の砲兵部隊が運用するような大口径砲を無理やり車体に乗せたような代物ですから)。

第5・6ターン
①: 増援のⅢ号突撃砲(75ミリ砲装備)2両
②: ゲーム開始時からのドイツ軍歩兵の生き残り
③: ドイツ軍戦闘工兵分隊(8-3-8)。この後、左側から回り込もうとするソ連軍歩兵を相手に八面六臂の活躍をします
④: 50ミリ対戦車砲を牽引したハーフトラック。このシナリオをプレイする時、戦線が錯綜するこの段階において登場してくるこの対戦車砲をうまく活用できた試しがないんですよね。
⑤: ドイツ軍戦闘工兵分隊グループ。10-3という最優秀の指揮官に率いられている。
⑥: ドイツ軍の10-3指揮官は砲兵支援を呼び出すと、稜線越しにはせ登ってくるソ連兵に砲撃を実施した
⑦: 増援のⅣ号戦車F1型。短砲身の75ミリ榴弾砲を装備している。徹甲弾は使えないが、歩兵相手には榴散弾を撃つことができ、右側から回り込もうとしてきたソ連歩兵を1両で押し留めている
⑧: ソ連軍のT34/76の残余2両。この2両は最後まで生き残り、ドイツ軍を射程下に置いた
⑨: ソ連軍に増援として登場したSU152、SU122が2両ずつ、それぞれタンクデサントで親衛歩兵を乗せている。
戦線は錯綜します。
ソ連軍は621高地の麓に到達し、斜面を登り始めます。ドイツ軍指揮官(10-3)は後方の砲兵部隊と連絡をとり砲撃支援を取り付け、稜線越しに密集するソ連兵に対して100ミリ砲による砲撃を繰り返します。
戦車戦ではドイツ軍に悪い目が続き、一挙にバランスが傾きます。Ⅳ号戦車は全滅、Ⅲ号突撃砲G型もすべて失います。対するソ連軍はT34/76が2両、SU-152が1両、SU-122が1両残存(SU-122の1両は砲の故障で戦線離脱)という状況になりました。
ドイツ軍の虎の子の戦闘工兵は稜線を介してソ連軍と向き合っているため直接攻撃を受けておらず、戦力を保っています。稜線を越えれば反斜面のドイツ軍に正面から撃たれると知っているソ連軍は稜線越えを避け、丘陵中腹から横合いを迂回しながら進出を図ります。ドイツ軍もこれに粘り強く対応し続け、一部の工兵ユニットはソ連軍の集中的な射撃に耐え続けながら、まさに「英雄的な」奮闘を見せます。
最後のⅢ号突撃砲G型が失われると、ドイツ軍には有効な対戦車手段がなくなりました。残る105ミリ榴弾砲装備のⅢ突と75ミリ榴弾砲装備のⅣ号戦車F1型はいずれも徹甲弾を持たず、T34/76には太刀打ちできません。対歩兵戦に特化した「決戦兵器」として、最適な位置取りを模索しながら最後の抵抗を続けることになります。


第9・第10ターン ―― 詰め将棋の終盤
砲兵支援を使い切ったドイツ軍。ソ連軍の「動く砲兵陣地」とも呼べるSU-152・SU-122はその鈍重さゆえに良い射撃位置を確保できずにいますが、T34/76が2両生き残っているため、残るドイツ軍の戦車・突撃砲もうまく動けません。
ドイツ工兵は健在ですが、勝利条件となる稜線の向こう側にはソ連歩兵がひしめいています。やみくもに勝利条件ヘックスを占拠してしまえば、射撃と白兵戦にさらされるのは目に見えています。
そう、最終局面にきて、ドイツ軍は「最後の勝ち方」を考えきれていなかったのです。
最終手番はソ連軍のため、ソ連軍は最後の突撃フェーズで一斉に勝利条件ヘックスへ突撃をかけ、仮にドイツ兵がそこにいたとしても白兵戦で排除して勝利を得ることができます。ドイツ軍がこれを阻止するには、その前のドイツ軍プレイヤーターンのうちに勝利条件ヘックスへ登り、ソ連軍の猛烈な射撃に耐え抜いた上で、さらには白兵戦をも生き残る必要がありました。
結局、ドイツ軍の投了でゲーム終了となりました。

感想戦
いやあ、面白かったですね。
もっとも、プレイ中はずっと押されっぱなしで苦しい状況が続いたのは書いたとおりです。
最も痛かったのは、冒頭のルール誤認による3個分隊と最優秀指揮官(9-2)の喪失です。このスタックは砲撃支援を呼び出せる通信機と強力な機関銃を複数保有していました。通信機があれば、ソ連兵がマップ4を自由に押し渡ってくるのをある程度妨害できたでしょう。また機関銃があれば、ソ連軍の機関銃陣地を鎮圧できた可能性もあります。
次に痛かったのが、一発も撃つことなく75ミリ対戦車砲を失ったことです。こればかりはゾロ目しか出ない状況で実際にゾロ目を出されたのですから、運としか言いようがありません。もしこの対戦車砲が機能していれば、ソ連軍戦車の跋扈に一定の歯止めをかけられたのではないかと思います。
戦車戦もまた運の要素が小さくありません。登場する台数がほぼ同数のため、命中判定と破壊判定の2度のダイス目によって、一度均衡が崩れ始めると一挙にバランスが傾いてしまう構造があります。Kさんは戦闘車両の集中投入と、後ろを取られない機動によって手堅くドイツ戦車に対抗しました。ソ連軍戦車がどちらかというと対戦車戦闘に集中できたのに対し、ドイツ軍は歩兵が著しく劣勢だったために戦車も対歩兵攻撃に気を回さなければならず、それが戦車戦の状況を悪化させた遠因かもしれません。
ルールについては、思いのほか覚えていました。若いころの記憶力というのはすごいものです。もっとも随所でASLのルールやSLシリーズの後続作品のルールと混同して、ルールブックをひっくり返す場面があったのも事実ですが。
あとから気づきましたが「隠蔽」獲得のルールを使っていないなど、いろいろ反省点が少なくないプレイでした。ただシナリオ5という大物シナリオを最後(近くまで)貫徹できたのはよかったかと考えます。
プレイ時間は6時間強ほど。次戦はシナリオ9という話もあがっています。またよろしくお願いします。
(終わり)
*1:戦闘車両は前後で装甲厚が異なるため、向きを変えずに後退できるかどうかは生存率に直結します