Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム/歴史ゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム/歴史ゲーム/ボードゲーム

「NEW WORLD」(AH)を対戦する

15世紀から18世紀の新大陸発見と開拓の時代を扱ったアバロンヒル社製「NEW WORLD」を対戦しました。
こんなゲーム知らないなとBGGを確認すると1990年発表の作品でした。

 

 

 

ゲームの紹介

 

一見どこの地図か?という雰囲気ですが、北米大陸を北側から見た図になります。
今回は3人プレイだったため、使うのは北米大陸と中米までで、南米大陸は対象外となります。
六角形の大きなヘックスが配置されていますが、これがひとつのエリアを表します。
この時点でマップ上に配置されているのは、原住民のユニットになります(弓矢のイラストが記載されています)。

エリアの枠が黄色や茶色などがありますが、これは後に紹介する住民の生存チェックに用いられるリスク度になり、緑色→黄緑→黄色→茶色というように生存リスクが高くなっていきます(損害が出やすくなる)。

一部のエリアには、肥沃な土地(植民人口によるポイントが高い)、金山、また現地の文明(中米のマヤ文明)が存在するエリアがあります。

 

ブラッディな展開

プレイヤーは最大6人。イギリス、フランス、オランダ、スペイン、ポルトガルといった新大陸進出を図った国々が登場します。国による能力や地力の差はありません。他の新大陸開拓系ゲームのようにキャラが登場する訳ではないです。

船を仕立て艦隊を構成し、さらに兵士を雇います。船の建造、船の維持(2ターン目以降)、兵士の募集には費用を要します。船には行き便には兵士と開拓民(開拓民のユニット数は固定数かダイスの目によって決まる)を搭乗させ、帰り便には金を積んで帰還することになりますが、行きも帰りもそれぞれ遭難チェックが行われます。

兵士にしろ開拓民にしろユニットは派手になくなっていくので予備も含めて考えたほうがよさそうです。

各ターンはおおよそ次のような手順で進みます。

  1. 生産・雇用
  2. どこに行くのかをプロットする
  3. 行き便の船の遭難チェック
  4. 陸上移動
  5. 戦闘(VS原住民、VS他プレイヤー)
  6. 原住民叛乱チェック
  7. 生存チェック
  8. 帰り便の船の遭難チェック
  9. 精算(資金の獲得等)

 

勝利条件は3人ゲームの場合は、いずれかのプレイヤーが5エリアを植民状態にすることになります。植民状態とは、エリアにおいて開拓民ユニットが4ユニット以上存在し、敵対勢力が存在しない場合を指します。

3人ゲームの場合のマップ内にあるエリアは合計13しかありませんので、中立エリアがなくなるかなくならないうちに、熾烈な争いが始まることは容易に想像できます。

 

プロットシート。1度の航海で艦隊は3箇所に寄港することができる。それぞれの寄港先と乗降する兵士や開拓民のユニット数を記録する。

 

遭難チェック

船は行き先を決めるとその海域毎に定められた数の個数の6面ダイスを振り、「1」が出た数の回数分の「損害チェック」を行います。1回の損害チェックでは最大2隻の船を失うことがあり、船を失わないまでも乗客(兵士・開拓民)ユニットが除去されることもあります。

海域毎に定められたダイスの数は、欧州から近い、北米東岸であれば3個、カリブ海沿岸、ハドソン湾経由であれば4個と穏やかなのですが、南米(今回のプレイでは使わない)や、北米の西海岸まで行こうとするとチェックするダイスの数が、北米西海岸では11個と増えていきます。

遭難チェックは行き便だけではなく、帰りの便にも適用されます。特に帰りの便は金を載せている場合があるため、損害は甚大です。

 

船は最大6隻(12隻)運用可能。安全圏と思われた北大西洋航路でも4隻中、3隻沈むなど派手に沈むこともある。

 

戦闘

戦闘はVS原住民、VS他プレイヤー勢力とがありますが、基本は同一です。

攻撃側は兵士ユニットがいる限りダイスを振ります。奇数が出れば攻撃側のユニット1個除去、偶数がでれば防御側ユニット1個を除去、さらに6の場合は防御側ユニット2個が除去されるというシンプルなものです。生き残り続けている限り何度でも攻撃を行うことができます。
奇数か偶数かで戦闘結果が決まるというシステムは初めてですが、意外とどちらかが連続して出るなど目が傾くことがあり、圧倒的に有利と思われた戦闘があっとういう間に逆転されることも珍しくありません。

 

原住民叛乱チェック

原住民ユニットが残っているエリアで兵士ユニットが少なくなると叛乱が起こり、兵士ユニットや開拓民ユニットが除去されることがあります。

 

生存チェック

戦闘や叛乱を切り抜けても毎ターン、各エリアで生存チェックを行い、一定の兵士や開拓民ユニットが除去されることがあります。

エリアによって生存のリスクは異なり、峻険な地形や猖獗の地はリスクが高く一定の損害が発生しえます。

そのエリアを植民地化するには常に開拓民ユニット最低4個を保有し続けなければならないのですが、生存チェックの結果開拓民ユニットの数が4個を割り込んだ場合、その権利を失います(植民地化していることによるポイント獲得ができなくなる)。

 

金山と金

金は金山から採れるのですが、金を採るには金山を発見する必要があります。金山を探すのは「山師」、さらに金を採掘にするには「鉱夫」が必要です。さらに採掘した金は母国に持ち帰ってはじめて資金にすることができるのですが、このためには船で持ち帰る、船がつける海岸までは陸上を移動させる必要があります。

北米西海岸沿いのエリアには金山が少なくなくあるのですが、船で持ち帰ろうとすると西海岸まで船をもっていかなければならず、遭難リスクが高まります。一方で陸路を東海岸まで移動させる方法もあるのですが、これは今度は他プレイヤーの奪取される懸念があるなど、いずれもリスクへの対処が必要となっています。

なお金山は一度開山されても、毎ターン閉山チェックが行われ閉山してしまうこともあります。

 

人がバタバタと倒れていく・・

ここまで説明したとおり随所でユニットが除去される可能性があります。遭難で船ごと沈み、原住民との戦闘で大損害をくらう懸念、何よりもそのエリアが平穏になったとしても生存チェックで失う・・と二重三重に死の危険が設定されているのです。このため、絶えず母国から人を投入し続けなければならない、ということになってしまいます。
こうした様相が新大陸開拓の本質をどこまで突いているのかはわかりませんが、大局的にはこういうことだったのかな、という印象もありますね。

 

 

今回のプレイの最終局面。

 

 

感想戦

正しいことがもとめられる最近の風潮の中ではなかなか再販などは難しいだろうな、という印象です。巨大ヘックスのためプレイ前は大味な展開を想像したものの、この大きさがゆえに他プレイヤーとの競合が起きやすく、またプレイ時間の短縮化にも寄与しているということなのでしょう。ただやはりゲームとしてのパッケージングは古臭い印象を受けたのも確か。
今回は赤色プレイヤーが5つのエリアのうち4つを取ったことにより終了としています。手練のプレイヤー間であれば、初手の段階から白熱しそうです。

(了)