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「耳川の戦い」(国際通信社:コマンドマガジン153号)を対戦する。(3)第2戦目(2020年9月)

耳川の戦い」(国際通信社:コマンドマガジン153号)を対戦しました。
お相手はコマンドマガジン154号に掲載されていた若武者記事に登場する千葉会T君です。

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午後からの参加であったこともあり半日もあればプレイできる本ゲームをということで、プレイしました。まさにゲーム会向けの作品です。

T君が島津軍、当方は大友軍を担当しました。

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両軍の初期配置図です。
上側が北方向、大友軍、下側が南方向で島津軍になります。

今回の対戦で島津軍がとった作戦を理解するためAARに入る前に、本ゲームの勝利条件を確認しておきましょう。

勝利条件

獲得ポイント数の比較により判定する

■ ユニット除去による得点(両軍とも)

■ 大友軍の得点

  • ゲーム終了時に島津軍が高城へ連絡線を引けない
  • ゲーム終了時に高城のヘックスを支配している
  • ゲーム終了時に島津軍の本陣を支配している
  • ゲーム終了時に大友軍ユニットが財部川・高城川の南側に存在する(ユニットあたり)
  • ゲーム終了時に城を包囲している

■ 島津軍の得点

  • ゲーム終了時に大友軍の各軍団の本陣のいずれかを支配している(支配数毎)
  • ゲーム終了時に高城に連絡線を引ける
得点比較以外には以下の条件でサドンデスが発生

○ サドンデス処理の条件

 - 大友軍のサドンデス勝利
  • 島津4兄弟(義久・義弘・歳久・家久)のうち3ユニットの除去
  • 高城の開城
 - 島津軍のサドンデス勝利
  • 大友軍4軍団の各大将計4ユニットの除去

ルール紹介、また8月のリプレイは次の記事。 

yuishika.hatenablog.com

yuishika.hatenablog.com

 

 

 

第1ターン(チット数:大友軍4、島津軍2)

島津軍の最初の活性化部隊となった「本隊先陣(茶色)」がいきなり予想外の動きを見せた。

「本隊先陣」は初期配置で高城川の北側に3ユニットを有している。大友軍の最初の活性化が「田北勢(濃緑色)」であった場合はこの島津の「本隊先陣」の前衛3ユニットは即刻粉砕される可能性もあったわけだが、今回は大友軍の最初の活性化は「臼杵勢(緑色)」となっため、生き延びた。

そこでどうするか。

目の前に敵がいるなら突撃だ!、とばかりに前衛3ユニットは間近の「田北勢」に向かって前進。続いて「本隊先陣」の主力も一斉に高城川を越えて大友軍に向かって前進してきた。

1~2ターンの間は両軍とも陣形を整えることを優先させるであろう、なーんて悠長な事を考えていたところにがつんとあたってきたわけだ。
島津軍が大きく前進した結果、両軍の前線も高城川をはさんだラインよりもかなり北側の東西(横方向)に走る街道沿い近くまであがることになった。早くも両軍衝突。

島津軍は「先遣隊(青色)」についても、盤面左右に分かれている軍団の状況など顧みずにそのまま大友軍に向かって全力で前進。

 

第2ターン(チット数:大友軍5、島津軍3)

島津軍の積極攻勢は2ターン目も続く。
両軍の戦線が北側にずれこんだため、大友軍の中で交通渋滞が起き、最後尾にいた主力「田原勢(白色)」が前線に登場できない!

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2ターン終了時:1枚目の写真と南北が逆になっているので注意。手前が大友軍、奥側(上)が島津軍。

 

第3ターン(チット数:大友軍5、島津軍4)

大友軍が”全軍攻撃”を実施。
中央部で両軍の複数の軍団のユニットが入り乱れる状態になる。
島津軍の最強軍団「本隊(黒色)」も渡河してくる。もっとも、近くに位置していた大友軍「佐伯勢(橙色)」にあたってくるかと思っていると、「本隊」の先頭集団はそのまま高城の西側の丘陵地を越えて北上する進路を選んだ。

その方向には、大友軍のうち「田原勢」と「佐伯勢」の本陣ヘックスがある。ゲーム終了時点での本陣ヘックスの支配は、各10ポイント。島津軍はそれを狙ったわけだ。

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第3ターン終了時:大友軍左翼(西側)で、「臼杵勢(緑色)」と島津軍「先遣隊(青色)」の半分が戦闘にはいるが、ユニット数で大友軍が優勢。中央部の乱戦は継続中。右翼は本文の通り、島津軍「本隊(黒色)」が前進、そのまま丘陵地を抜けて行こうと前進。「本隊」の後続部隊は、大友軍「佐伯勢(橙色)」と接敵。

 

第4ターン[チット数:大友軍5、島津軍5] 

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第4ターン終了時:大友軍右翼で、島津軍「本隊(黒色)」が北進を続けた結果、南北に長い陣になっている。島津軍は中央部で大将クラスのユニットの除去(討ち死)が出始め、指揮系統に支障が出始めた。

 

第5ターン[チット数:大友軍6、島津軍6] 乱戦ターン開始

このターンより乱戦ターンということで、両軍のチットは混ぜられてランダムに活性化が行われるようになるが、大勢が決したということでこのターンにて終了。

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第5ターン終了時:

 

 

感想戦

序盤で見せた島津軍の突貫には驚かされた。

チット引きの順番の関係で中央部の大友軍の「田北勢」「佐伯勢」の準備が整っていないうちであれば、1ターンにして島津軍もここまで前進できるんだ、ということを示すような前進であった。その後も島津軍は「本隊先陣(茶色)」「先遣隊(青色)」「本隊(黒色)」のいずれもひたすら前進を指向していた。

結果、主戦場が高城川の北側になることとなった。まさに「攻撃は最大の防御なり」を地で行く展開であった。

だが、島津軍は戦術面で失敗する。

遮二無二に突進した結果、最良の陣形を形づくるよりも移動力を最大限使うことを優先したような行動になってしまい、個別戦闘において有効な攻撃を繰り出せなかった。

前半戦において活性化できるチット数は常に島津軍のそれよりも大友軍のほうが多いため、前進してきた島津軍に対して、大友軍は複数回の行動によりより多くの打撃を島津軍に与えることができた。

1~2ターン目まで島津軍で戦闘に突入したのは「本隊先陣(茶色)」だけなのに対し、大友軍は「田北勢(濃緑色)」と「佐伯勢(橙色)」の2軍団で対応した。しかも序盤は大友軍のほうが活性化チット数が多いため、それぞれ複数回攻撃ができるなど、島津軍「本隊先陣」は集中攻撃を受けることになった。

もともとこのゲームの両軍のユニット数は30ユニット余りで拮抗しているため、除去ユニット数が不均衡になると一挙に戦況が傾いてしまう嫌いがある。この点、拮抗状態が崩れるのは目に見えていた。

 

作戦面でも島津軍の失敗があった。

島津軍の最大の衝力である「本隊(黒色)」は高城川を渡河後、高城の麓までたどりついた。ここで「本隊」全軍をもって東側に転回し、大友軍「佐伯勢(橙色)」を攻撃していれば、高城との連絡線を確保しつつ、ユニット数の優位性を生かして「佐伯勢」を圧迫し、さらには島津軍中央戦線の「本隊先陣」や「先遣隊」にかかる圧力を分散させることができたのではないかと思われる。

が、「本隊」はその半分の勢力をそのまま高城の西側の山地にはいり、北上するという進撃を選んだ。
勝利条件に大友軍の各軍団の本陣ヘックスを支配すると、1ヘックスあたり10ポイントを得られるという項目があり、この時「本隊」が通った進撃路の先には、大友軍の「田原勢」と「佐伯勢」の本陣ヘックスがあったためその得点を狙ったのだった。
だが、急ぎ後退してきた大友軍「田原勢(白色)」により、その狙いは阻止された。

前者、戦術面において、遮二無二の突撃ではなく陣形を考えながらの前進であったなら、また後者作戦面においては、「本隊」の戦力を集中して投下できていたら、また違った局面になった可能性はあると考える。

あともうひとつ言うならば、島津軍の特徴である”吊り野伏せ”は有効に活用できていなかった。本ゲームに関する前回記事に書いたように、個別ユニットの攻撃力が小さい島津軍にとって”吊り野伏せ”の活用は必須であり、”吊り野伏せ”により相手ユニットに損害を与えるためにはそれなりの準備(吊った後の包囲)が必要。

 

最後に

ここまで数回プレイした中での本ゲームの教訓を備忘として書いておく。

  • 川で守らない(大友軍)
  • 城攻めは行わない(大友軍)
  • 「全軍攻撃」のタイミングは第3ターンか第4ターン(島津軍・大友軍)

第2ターンに奇襲的に発動するのはありかもしれないが、どちらの軍の場合も、戦力が整っていないタイミングなので、使うのはもったいないかな。
余裕があるのであれば第5ターン以降までとっておいてワイルドカード的に使うというのもいいかもしれないが、タイミングを計算できない、と消去法で考えると、第3ターンか第4ターンがベストタイミングとなる。

  • 吊り野伏せの活用(島津軍は必須)
  • 混在配置(検証中)(島津軍・大友軍)

左翼は○○勢、右翼は○○勢ときれいに色別に配置するのは絵的には美しいが、ゲームシステムを考えると、適度に混ざっておいたほうが良いように思う。1ターンの間に同じ目標に対して複数回の攻撃を集中させることも可能かな、と。当然、指揮範囲の問題や、攻撃に参加できるユニット数が限定されるなどの制約もあるので、これは検証要。

 

 

 

コマンドマガジン Vol.153『耳川の戦い』(ゲーム付)

コマンドマガジン Vol.153『耳川の戦い』(ゲーム付)

  • 作者:-
  • 発売日: 2020/06/20
  • メディア: 雑誌
 
週刊 絵で知る日本史 20号 耳川合戦図屏風

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  • 発売日: 2011/03/10
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