ダーク・ファンタジーな世界観を背景にしたカードを用いた格闘(魔法もあるよ)対戦ゲーム「DARK ONE」(DOMINA GAMES)を対戦しました。
ゲームシステム
プレイ人数は2名ですが、ソロプレイ用のルールも用意されています。プレイヤーは4人のキャラクターから1人を選び、操作することになります。相手のライフ値をゼロにすると勝利となります。
各キャラクターは性格・性能など特徴ある設定があり、それらを反映した専用のデッキが用意されています。
登場する4人のキャラクターのカード。カード下部に記載されているのがキャラクタ固有の能力で、発動には数値分の「気力」ポイントの消費が必要。
I Go You Go方式で、プレイヤーはターン毎に交互に、一つのターン内で複数のアクションを行うことができます。ターン中に実施することができるアクションの回数は、手札の枚数や「気力」(毎ターン回復する)の残値によって制約を受けるため、無制限ではありません。
プレイヤーは自分のターンの中で、大きく次の行動を取ることができます。
- キャラの固有スキル(各キャラ毎に複数設定されている)を発動する
【「気力」ポイントが必要】 - 手札を使い「物理攻撃」「魔法攻撃」やその他のアクションを行う
【手札が必要】 - 「遺物」によるスキルを発動する
【発動に必要な枚数のカードが「廃棄」されていること】
強力な効果を持つ「遺物」
「遺物」とは、伝説的なアイテムで強力な効果を持ちます。
「遺物」カードは共通で、プレイ開始時にランダムに3枚ずつ配られます。威力が大きいため「遺物」カードを早く発動させることが勝利のポイントとなるでしょう。
「遺物」を発動させるには2枚から5枚の指定された枚数分の手札を「廃棄」しなければなりません。
このゲームの凝ったところとして、カードの「廃棄」を行うアクションは、キャラクターによって異なる点があります*1。1回のアクションで、「遺物」発動条件を満たす枚数のカードの廃棄はできないことから、ひとの「遺物」を発動させるまでには、「廃棄」アクションは何度も実施することになります。
「廃棄」されたカードはゲームから取り除かれるため、「廃棄」枚数が増えてくると自分のデッキの自由度がなくなってくるというデメリットもあります。
「遺物」カードの例。左肩にある数字がそのカードを発動させるために必要な「廃棄」カードの枚数。
通常攻撃にあたる「物理攻撃」「魔法攻撃」
「物理攻撃」と「魔法攻撃」は、カードの利用によって発動される場合が多いため、手札が許す限り何度でもすぐに発動できるという利点があります。
「物理攻撃」の威力はその時点の相手の「気力」の数値分、減算されるため、相手が気力旺盛なタイミングでは与ダメージがなかったり、限定的だったりします。相手が固有スキルなどを使いすぎて「気力」が下がっているタイミングは、「物理攻撃」を叩き込む好機かもしれません。
当然、こちらの「気力」が下がっているタイミングでは、相手の「物理攻撃」を受ける懸念があります。必要に応じ「気力」を上げるアクションを混ぜていく必要があるかもしれません。
「魔法攻撃」には「物理攻撃」のような防御手段がないため着実にダメージを与える/受けることになりますが、「魔法攻撃」を実施できるカード枚数は「物理攻撃」よりも少ない印象です。
また、攻撃を受ける側には即反撃を行うリアクションカードもあるため、攻撃する側は注意が必要です。
キャラクターのひとつ「シルヴェーヌ」のデッキの一部。
キャラクター毎に全く異なる内容のカードが専用デッキとして用意されている。
戦闘の組み立て
プレイ手順として、交互にひとつずつアクションを行うのではなく、1回のプレイヤーターン内で複数回アクションを実施できる点は特徴的です。
「物理攻撃」「魔法攻撃」といった手札で発動する小技を繰り返すことで小さなダメージを与えつつ、カードの「廃棄」を重ね、「廃棄」枚数が必要枚数に達したところで「遺物」によるスキルの発動という大技をを繰り出すという展開になるのではないでしょうか。
TVゲームの格闘ゲームでの通常攻撃と、使用に”溜め”が必要な特殊技と組み合わされたような印象を受けました。
プレイ開始時にライフポイントは一律20ポイント。
1回の攻撃で相手に与えられるダメージは多くても5、6ポイントです。「遺物」を使った攻撃であったとしても複数回攻撃を当てて行く必要があるなど、きちんとダメージを重ねる必要があります。攻撃の組み立ては重要です。
対戦途中で回復する術は(おそらく)ありません。「気力」は、キャラクター固有アクションを実施すると減るのですが、毎ターンの頭に初期値(=3)に戻ります。自分のプレイヤーターン中に、「気力」を消費してしまうと、次の自分のプレイヤーターンになるまで「気力」は下がったままになるため、相手からの攻撃を受けるリスクとなるでしょう。
なお戦闘解決にあたってダイスや戦闘解決表のようなツールは用いません。
プレイ
今回2戦プレイしました。初回プレイということもあって1戦あたり1時間は要しています。
4人のキャラクターのうちランダムに選びました。当方はシルヴェーヌ、相手はフィルヴィアです。通常攻撃、さらに物理攻撃を得意とするシルヴェーヌに対して、フィルヴィアは魔物を別途召喚して戦闘をさせるという使い魔の能力を持つ特異なキャラです。
シルヴェーヌがオーソドックスに、小技とカード「廃棄」を重ね、「遺物」の発動と進ませながら、相手のライフポイントを削っていく一方、フィルヴィアは「マナ」を貯め、使い魔を呼び出し、使い魔を活性化することによって攻撃を行います。
最後、最強の使い魔「紅姫」を呼び出します(このあたり、相手が何をやっているのか、やろうとしているのか、デッキ内容や能力への理解がないため、よくわかりませんでした)。
「紅姫」はすでに呼び出している使い魔の数分の数値を攻撃力に加算し強化できることから、5以上の攻撃力を得ることができます。使い魔を呼び出す「マナ」の蓄積や使い魔の呼び出し、さらには使い魔による攻撃は防ぐ手段ことはできないため、よびだされてしまうと対抗手段がない印象を受けました。
2戦目は当方フィルヴィア、相手はミルドレッド。ミルドレッドは技に自傷が混じるのですが、攻撃のバリエーションとしてはシルヴェーヌに似たキャラです(こうした細かい設定が、スキルや個別デッキに反映されているのですが、相手プレイヤーにはわかりづらいのはもったいないな、と思います)。
フィルヴィアのデッキを見て、使い魔を呼び出すための「マナ」を貯めるための手順を検討します。
早くマナを貯める、フィルヴィア以外のキャラクターであれば、早くカードの廃棄を進め、「遺物」活性化を目指す。先に到達したほうが勝ちというイメージでしょうか。
「フィルヴィア」は、他のキャラクターと異なり自らではなく召喚した使い魔を用いて戦闘を行うというキャラになっています。このため通常の「気力」(青いマーカー)、「体力」(赤いマーカー)の他、「マナ」(緑のキューブ)というパラメーターを持っています。
「マナ」も、「遺物」の活性化に必要なカードの「廃棄」枚数と同じで、プレイの後半になって強力な使い魔の召喚、または「遺物」の活性化が可能になるという意味では、スロースターターな能力といえるでしょう。
一方の対戦相手からすると、いずれ「フィルヴィア」が強力な使い魔を呼び出すことを想定すれば、それまでにフィルヴィアの体力を削り倒していく他はないように思われます。その点、対フィルヴィア戦のポイントは速攻ということになるでしょうか。
ちなみに写真の上段に並んでいるカードが「使い魔」を表すカードで、右上で横になっている使い魔が「紅姫」です。
感想戦
システムが複雑なので戦闘のカタルシスを得るには習熟が必要です
各キャラクターの特性、個々のカードの内容*2、技の発動が複雑なため、相手の行動や対抗策が予測しにくく、戦闘の流れがわかりにくいことがあります。
こちらはこちらで攻撃を行っているのですが、相手からよくわからないが攻撃をされてダメージを受けた、という互いに一方通行のような攻撃の応酬が続きます。相手がいま何をしようとしているのかわからない、という状況では戦闘時の相手とのインタラクションを楽しむ、カタルシスを得ることが難しいです。
研究は必要なのでしょうが、相手の企図を察したところで、キャンセル手段・対抗手段があまりないように見えるのも指摘しておきます(この点は研究によって否定されるかもしれません)。
プレイエイドのようなもので、各キャラクターの特徴や技などのガイダンスがあれば、キャラクターの理解が進み、新規プレイヤーのハードルが低くなるかもしれません(自分で作れ、ってか)
「遺物」の扱いがポイント
キャラクター毎のデッキに対して変動要素になっているのが20枚程度用意された「遺物」の存在です。「遺物」はキャラクター共通のカードになるため、プレイはじめにどのカードが配分されたか、完全な変動要素となります。
強力な「遺物」カードほど発動が難しくなっていることもあり、発動が容易なカードを早めに発動させるのか、強力なカードの発動を目指して耐えるのか、など、作戦の余地があります。
やり込むだけに感情移入できるキャラクターか?
各キャラクターの特性・特徴、またデッキ内容を知ることによりシステムのとっつきにくい点は解消されていくのでしょうが、ゲームにやりこむだけの魅力があるかという点は気になります。ソロプレイではなく、対戦をするのであれば、自分以外に他にプレイする人も含めて、やりこんでいく必要があるでしょう。
マニュアル冒頭やキャラクターカードには世界設定、各キャラクターがおかれているシチュエーションといった設定関係の情報が記載されているのですが、これがあまりうまくありません。設定が不十分なので文章が断片的なのか、その逆なのかはわかりませんが、少なくとも感情移入してやりこんでいくには少々魅力が弱いように思うのです。もちろん美麗なイラストがついているので、文章ではなくビジュアルからはいるということなのかもしれません。いやいや、そもそもキャラ設定や世界設定はフレーバーじゃないの?ということなのかもしれません。
専用デッキのカード量について
ゲームを楽しむには各キャラクターの専用デッキへの理解が必要という話を持ち出している点と相反しますが、デッキのカード枚数はもう少しあったほうがよいかもという印象を受けました。
プレイ中、ゲーム中、カードの「廃棄」が進むとデッキの残枚数が少なくなり、同じカードが何度も登場することになるので興が冷めるところがあります。
もちろんデッキのカード枚数を増やすとカードに余裕が出てくるため、「遺物」の発動にはカードの「廃棄」が必要というジレンマが緩くなり、ゲームとしてのバランスを崩すことにつながる懸念もあります。なかなかに難しいところですね。
(終わり)