Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム/歴史ゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム/歴史ゲーム/ボードゲーム

「DARK ONE」(DOMINA GAMES)を対戦する

ダーク・ファンタジーな世界観を背景にしたカードを用いた格闘(魔法もあるよ)対戦ゲーム「DARK ONE」(DOMINA GAMES)を対戦しました。

 

 

 

 

ゲームシステム

プレイ人数は2名ですが、ソロプレイ用のルールも用意されています。プレイヤーは4人のキャラクターから1人を選び、操作することになります。相手のライフ値をゼロにすると勝利となります。

各キャラクターは性格・性能など特徴ある設定があり、それらを反映した専用のデッキが用意されています。

 

登場する4人のキャラクターのカード。カード下部に記載されているのがキャラクタ固有の能力で、発動には数値分の「気力」ポイントの消費が必要。

I Go You Go方式で、プレイヤーはターン毎に交互に、一つのターン内で複数のアクションを行うことができます。ターン中に実施することができるアクションの回数は、手札の枚数や「気力」(毎ターン回復する)の残値によって制約を受けるため、無制限ではありません。

プレイヤーは自分のターンの中で、大きく次の行動を取ることができます。

 

  • キャラの固有スキル(各キャラ毎に複数設定されている)を発動する
    【「気力」ポイントが必要】
  • 手札を使い「物理攻撃」「魔法攻撃」やその他のアクションを行う
    【手札が必要】
  • 「遺物」によるスキルを発動する
    【発動に必要な枚数のカードが「廃棄」されていること】

 

強力な効果を持つ「遺物」

「遺物」とは、伝説的なアイテムで強力な効果を持ちます。
「遺物」カードは共通で、プレイ開始時にランダムに3枚ずつ配られます。威力が大きいため「遺物」カードを早く発動させることが勝利のポイントとなるでしょう。

「遺物」を発動させるには2枚から5枚の指定された枚数分の手札を「廃棄」しなければなりません。
このゲームの凝ったところとして、カードの「廃棄」を行うアクションは、キャラクターによって異なる点があります*1
1回のアクションで、「遺物」発動条件を満たす枚数のカードの廃棄はできないことから、ひとの「遺物」を発動させるまでには、「廃棄」アクションは何度も実施することになります。

「廃棄」されたカードはゲームから取り除かれるため、「廃棄」枚数が増えてくると自分のデッキの自由度がなくなってくるというデメリットもあります。

 

「遺物」カードの例。左肩にある数字がそのカードを発動させるために必要な「廃棄」カードの枚数。

 

通常攻撃にあたる「物理攻撃」「魔法攻撃」

「物理攻撃」と「魔法攻撃」は、カードの利用によって発動される場合が多いため、手札が許す限り何度でもすぐに発動できるという利点があります。

「物理攻撃」の威力はその時点の相手の「気力」の数値分、減算されるため、相手が気力旺盛なタイミングでは与ダメージがなかったり、限定的だったりします。相手が固有スキルなどを使いすぎて「気力」が下がっているタイミングは、「物理攻撃」を叩き込む好機かもしれません。
当然、こちらの「気力」が下がっているタイミングでは、相手の「物理攻撃」を受ける懸念があります。必要に応じ「気力」を上げるアクションを混ぜていく必要があるかもしれません。

「魔法攻撃」には「物理攻撃」のような防御手段がないため着実にダメージを与える/受けることになりますが、「魔法攻撃」を実施できるカード枚数は「物理攻撃」よりも少ない印象です。

また、攻撃を受ける側には即反撃を行うリアクションカードもあるため、攻撃する側は注意が必要です。

 

キャラクターのひとつ「シルヴェーヌ」のデッキの一部。
キャラクター毎に全く異なる内容のカードが専用デッキとして用意されている。

 

戦闘の組み立て

プレイ手順として、交互にひとつずつアクションを行うのではなく、1回のプレイヤーターン内で複数回アクションを実施できる点は特徴的です。

「物理攻撃」「魔法攻撃」といった手札で発動する小技を繰り返すことで小さなダメージを与えつつ、カードの「廃棄」を重ね、「廃棄」枚数が必要枚数に達したところで「遺物」によるスキルの発動という大技をを繰り出すという展開になるのではないでしょうか。
TVゲームの格闘ゲームでの通常攻撃と、使用に”溜め”が必要な特殊技と組み合わされたような印象を受けました。

 

プレイ開始時にライフポイントは一律20ポイント。
1回の攻撃で相手に与えられるダメージは多くても5、6ポイントです。「遺物」を使った攻撃であったとしても複数回攻撃を当てて行く必要があるなど、きちんとダメージを重ねる必要があります。攻撃の組み立ては重要です。

対戦途中で回復する術は(おそらく)ありません。「気力」は、キャラクター固有アクションを実施すると減るのですが、毎ターンの頭に初期値(=3)に戻ります。自分のプレイヤーターン中に、「気力」を消費してしまうと、次の自分のプレイヤーターンになるまで「気力」は下がったままになるため、相手からの攻撃を受けるリスクとなるでしょう。

なお戦闘解決にあたってダイスや戦闘解決表のようなツールは用いません。


プレイ

今回2戦プレイしました。初回プレイということもあって1戦あたり1時間は要しています。

4人のキャラクターのうちランダムに選びました。当方はシルヴェーヌ、相手はフィルヴィアです。通常攻撃、さらに物理攻撃を得意とするシルヴェーヌに対して、フィルヴィアは魔物を別途召喚して戦闘をさせるという使い魔の能力を持つ特異なキャラです。

 

シルヴェーヌがオーソドックスに、小技とカード「廃棄」を重ね、「遺物」の発動と進ませながら、相手のライフポイントを削っていく一方、フィルヴィアは「マナ」を貯め、使い魔を呼び出し、使い魔を活性化することによって攻撃を行います。
最後、最強の使い魔「紅姫」を呼び出します(このあたり、相手が何をやっているのか、やろうとしているのか、デッキ内容や能力への理解がないため、よくわかりませんでした)。

「紅姫」はすでに呼び出している使い魔の数分の数値を攻撃力に加算し強化できることから、5以上の攻撃力を得ることができます。使い魔を呼び出す「マナ」の蓄積や使い魔の呼び出し、さらには使い魔による攻撃は防ぐ手段ことはできないため、よびだされてしまうと対抗手段がない印象を受けました。

 

2戦目は当方フィルヴィア、相手はミルドレッド。ミルドレッドは技に自傷が混じるのですが、攻撃のバリエーションとしてはシルヴェーヌに似たキャラです(こうした細かい設定が、スキルや個別デッキに反映されているのですが、相手プレイヤーにはわかりづらいのはもったいないな、と思います)。
フィルヴィアのデッキを見て、使い魔を呼び出すための「マナ」を貯めるための手順を検討します。

早くマナを貯める、フィルヴィア以外のキャラクターであれば、早くカードの廃棄を進め、「遺物」活性化を目指す。先に到達したほうが勝ちというイメージでしょうか。

 

「フィルヴィア」は、他のキャラクターと異なり自らではなく召喚した使い魔を用いて戦闘を行うというキャラになっています。このため通常の「気力」(青いマーカー)、「体力」(赤いマーカー)の他、「マナ」(緑のキューブ)というパラメーターを持っています。
「マナ」も、「遺物」の活性化に必要なカードの「廃棄」枚数と同じで、プレイの後半になって強力な使い魔の召喚、または「遺物」の活性化が可能になるという意味では、スロースターターな能力といえるでしょう。
一方の対戦相手からすると、いずれ「フィルヴィア」が強力な使い魔を呼び出すことを想定すれば、それまでにフィルヴィアの体力を削り倒していく他はないように思われます。その点、対フィルヴィア戦のポイントは速攻ということになるでしょうか。
ちなみに写真の上段に並んでいるカードが「使い魔」を表すカードで、右上で横になっている使い魔が「紅姫」です。

 

感想戦

システムが複雑なので戦闘のカタルシスを得るには習熟が必要です

各キャラクターの特性、個々のカードの内容*2、技の発動が複雑なため、相手の行動や対抗策が予測しにくく、戦闘の流れがわかりにくいことがあります。

こちらはこちらで攻撃を行っているのですが、相手からよくわからないが攻撃をされてダメージを受けた、という互いに一方通行のような攻撃の応酬が続きます。相手がいま何をしようとしているのかわからない、という状況では戦闘時の相手とのインタラクションを楽しむ、カタルシスを得ることが難しいです。

研究は必要なのでしょうが、相手の企図を察したところで、キャンセル手段・対抗手段があまりないように見えるのも指摘しておきます(この点は研究によって否定されるかもしれません)。

プレイエイドのようなもので、各キャラクターの特徴や技などのガイダンスがあれば、キャラクターの理解が進み、新規プレイヤーのハードルが低くなるかもしれません(自分で作れ、ってか)

 

「遺物」の扱いがポイント

キャラクター毎のデッキに対して変動要素になっているのが20枚程度用意された「遺物」の存在です。「遺物」はキャラクター共通のカードになるため、プレイはじめにどのカードが配分されたか、完全な変動要素となります。

強力な「遺物」カードほど発動が難しくなっていることもあり、発動が容易なカードを早めに発動させるのか、強力なカードの発動を目指して耐えるのか、など、作戦の余地があります。

 

やり込むだけに感情移入できるキャラクターか?

各キャラクターの特性・特徴、またデッキ内容を知ることによりシステムのとっつきにくい点は解消されていくのでしょうが、ゲームにやりこむだけの魅力があるかという点は気になります。ソロプレイではなく、対戦をするのであれば、自分以外に他にプレイする人も含めて、やりこんでいく必要があるでしょう。

マニュアル冒頭やキャラクターカードには世界設定、各キャラクターがおかれているシチュエーションといった設定関係の情報が記載されているのですが、これがあまりうまくありません。設定が不十分なので文章が断片的なのか、その逆なのかはわかりませんが、少なくとも感情移入してやりこんでいくには少々魅力が弱いように思うのです。もちろん美麗なイラストがついているので、文章ではなくビジュアルからはいるということなのかもしれません。いやいや、そもそもキャラ設定や世界設定はフレーバーじゃないの?ということなのかもしれません。

 

専用デッキのカード量について

ゲームを楽しむには各キャラクターの専用デッキへの理解が必要という話を持ち出している点と相反しますが、デッキのカード枚数はもう少しあったほうがよいかもという印象を受けました。
プレイ中、ゲーム中、カードの「廃棄」が進むとデッキの残枚数が少なくなり、同じカードが何度も登場することになるので興が冷めるところがあります。

もちろんデッキのカード枚数を増やすとカードに余裕が出てくるため、「遺物」の発動にはカードの「廃棄」が必要というジレンマが緩くなり、ゲームとしてのバランスを崩すことにつながる懸念もあります。なかなかに難しいところですね。

(終わり)

 

 

 

 

 

*1:これは弊害もあり、カードの「廃棄」という同じ効果を得る場合でも、実施するアクションがキャラクターによって異なるため、プレイ中、相手が何をしているのか、何をしようとしているのがわかりづらいのです

*2:驚くことに各キャラクターの専用デッキに含まれるカード種類は異なります

「フランス革命 1789」(ゲームジャーナル)をプレイする

 

本作は、周囲でも評判が高い、フランス革命を扱ったマルチプレイヤーのゲームです。2人からプレイ可能で、今回は最大人数である5人で対戦しました。

1789年に始まったフランス革命を、革命が発生した絶対王政の状態からナポレオンが登場する帝政時代までを、全5ターンで扱っています。プレイヤーはこれらの一連の過程の裏で複数の派閥を操る黒幕のような存在(!)となります。

 

 

 

 

ゲームシステム

基本システム

各ターンの最初に、プレイヤーはそのターンに登場するキャラクターやイベントが記載されたカードを① 競りにて落札し、手札とします次に② 手札となったカードを用いてアクションを実施していきます

アクションは手札の枚数分実施できますので、競りの段階で多くのカードを落札していたほうが手数が増えることになります。一度競り落としたカードは、そのキャラクターが死亡するなどして除去されない限り、手札に残りますので、ターンを追う毎に手札=手数が増えることになります。

各ターンの「競り」に登場するキャラクター&イベントカードは決まっており、例えば第1ターンは「絶対王政」の時代ということで、キャラクターとしては、ルイ16世マリー・アントワネットなどの王政関係者の他、革命初期に活躍したラファイエット、バルナーヴなどがカードとして登場します。

各ターンに発動できるアクションには、次の2つがあります(2つをあわせて、手札のカード枚数分実施できます)。

  • 共通アクション
    誰にでも、共通的に実施できるアクション
    発動に資金が必要なため、直前の「競り」で手元資金を使い切ると発動したくでもできなくなります。発動できるアクション種類は、「政体」によって異なります(マップ上に記載)。

  • カード固有のアクション
    手札にあるカード固有のアクション
    固有アクションはカードによって異なり、強力で独特な内容のものも少なくありません。強力な能力があるカードの入札金額は高騰します。カード固有アクションの発動には資金は必要ありません

 

発動したアクションによってはプレイヤーはVPを得ることができるものもあります。
カードの機能にはアクション関係の他にもいくつかの効果があります。

  • 関連性が高いカードの「競り」において、落札金額を割り引くことができる
  • 各政体に指定されたキャラクターカードを保有している場合、その「政体」のターン終了時にVPを得ることができる

例えば、「ルイ16世」や「マリー・アントワネット」は「絶対王政」を代表するキャラクターカードですが、王政を支援する「フェルセン」のカードを落札する場合、金額が割り引かれます。

またターン終了時にそのターンの「政体」が「絶対王政」だった場合は、「ルイ16世」や「マリー・アントワネット」のカードを保有しているプレイヤーはVPを得ることができます。

 

政体と共通アクション

政体として、「絶対王政」「立憲君主主義」「共和制」「寡頭制」「帝政」「共産主義」の6種類が用意されています。
それぞれの「政体」により、実施できる「共通アクション」が異なります(マップ上に記載)。

共通アクションのひとつである「投票アクション」によって次のターンの「政体」を選択、投票することができます。得票が多かった「政体」が次のターンの政体として選ばれます。

ターンの終了時に、そのターンの「政体」によって、VPを得ることができるキャラクターが指定されています(マップ参照)。

 

政体が「共和制」になると、いかにもフランス革命らしく「逮捕」や「処刑」といったアクションも登場します。「逮捕アクション」では、キャラクターを逮捕し投獄できます。投獄中のキャラクターはほとんどのアクションを実施できなくなります。さらに「処刑アクション」により、投獄中のキャラクターをゲームから除去することができます。
「逮捕」や「処刑」を逃れるためには、「亡命アクション」があります。亡命したキャラクターは実施できるアクションが限定されます(海外から反革命派の軍勢を引き入れる「派兵工作アクション」のみ)。

「共和制」はどのプレイヤーもこうしたアクションの実施が可能となるため、粛清の嵐が吹き荒れることになるかもしれません。

 

マップ自体はコンパクト。
「政体」ごとに選択できる共通アクションや、ターン終了時にその「政体」が選定されていた場合にVPを得ることができるキャラクターが記されていて、わかりやすい。
プレイアビリティは非常に高いです。

 

フランス国内のエリアの確保

フランス国内はパリを中心に8つのエリアに分かれており、支持をとりつけることにより副収入やVPを得ることができるようになります。
エリアの中には、反革命の諸外国の軍、ナポレオン時代に発生する対仏大同盟軍の侵入や、王党派の反乱が勃発する場所もあります。一度、侵入・勃発した軍勢はフランス軍の「派兵」により鎮圧されない限り、隣接するエリアへも広がるなどすることもあります。

 

プレイ

写真などを撮っていないため、文章のみで簡単に...。
細かい点は正しくないかもしれませんのご容赦ください。

 

第1ターン

5人プレイ。プレイヤーは毎ターン10ポイントの定常的な収入を得、カードの競りやアクション実施を行います。

第1ターンは「絶対王政」からはじまります。

第1ターンの競りにかけられるカード枚数はゲーム中、最も多い8枚です。登場するカードは決まっているのですが、「競り」の順番はランダムです。

ポイントを張り気味の他プレイヤーに押されて、第1ターンの落札カードは「マリー・アントワネット」1枚になってしまいました。ただ彼女、固有能力はないのに加え、一部の共通アクションも実施できないという政治には全く向かないキャラ(マリー・アントワネットが王政を主張して地方遊説を行うなど考えにくいですよね。道理で落札金額が低かった・・)。

政体が「絶対王政」のため、ターンの終了時に「マリー・アントワネット」により、VPを獲得。余った資金は次のターンに残します。

 

第2ターン

第1ターンの投票の結果、第2ターンは「立憲君主制」からはじまります。王をいだいたまま民主化をすすめようとした中道的な政策です。史実では革命勢力が先鋭化していき、こうした中道的な意見は影を潜めることとなります。

第2ターンに登場するのは、ロベスピエール、ダントン、マラー、ミラボーなど革命を主導した錚々たるキャラクター。それぞれ個性ある、ケレン味たっぷりの固有能力が付されています。


第1ターンに1枚しか落札できなかったこともあり、張り込んで「ロベスピエール」を落札。ロベスピエールの固有能力は「投票アクション」にて「共和制」への投票が1票ではなく、3票になるというもの。粛清の時代「共和制」に強力に導こうとする能力です。

ただこのターン、すでに「立憲君主制」への投票が3票を越えていたため、「ロベスピエール」の固有アクションの発動は見送り、通常のアクションを実施します。

 

第3ターン

政体は立憲君主制

落札したキャラクターは、「サン・ジュスト」と「フェルセン」でした。

サン・ジュスト」はルイ16世を処刑にすることを決するきっかけとなった演説を行うなど、多数の処刑を実施し、恐怖政治を先導したことで知られます。最期はロベスピエールとともに自身も処刑されるのですが、その時点でわずか26歳だったという人物です。
カード固有の能力は「処刑」。政体が「共和制」ではないときでも「処刑アクション」を発動できます。さらにもうスキルを持っており、フランス国内に侵入した外国軍や叛乱軍に対して鎮圧のための「派兵」を起こすことができるというものです。

フェルセンはスウェーデン貴族、マリー・アントワネットと親しかったことから愛人説もある人物ですが、ChatGPT先生によれば真偽は議論が分かれているとのことです。囚われの身となっていたルイ16世一家を秘密裏に国外に脱出させようとして失敗したヴァレンヌ事件の首謀者として知られています。
カード固有アクションは「亡命」。共通アクションとして登場する「亡命アクション」と異なり、発動に資金が不要な点が優れています。ただこの人も貴族出身ということからか、マリー・アントワネットと同様に遊説や投票などの通常の政治的な共通アクションを発動することはできなくなっています。

 

このターンに登場し、他のプレイヤーが落札していた「フーシェ」がカード固有アクションを使い、他プレイヤー所属の「ダントン」を「逮捕」しました。
「ダントン」はマップ上の未支配のエリアを強制的に支配下にできるという「弁舌」スキルを持っています。革命の敵とばかりに、すかさず「サン・ジュスト」はカード固有アクションにより「ダントン」を「処刑」します。

「フェルセン」は固有アクションにより「マリー・アントワネット」を「亡命」させます。「マリー・アントワネット」は国内での政治能力はないのですが、諸外国へフランスの革命勢力に対抗する軍勢を送るように工作する、「派兵工作」を実施します。

続く政体は「寡頭制」に決まります。

 

第4ターン

「ナポレオン」を落札。これで続く第5ターンの「政体」が「帝政」になれば一挙に10VP獲得できます。

ロベスピエール」は亡命を選びます。

他プレイヤーが出した「ヴァンデの反乱」カードにより、支配下においていたナントやボルドーに王党派の叛乱軍が出現します。手札の中に王族や王政支持者がいても、王党派の反乱は起こってしまうようです。王党派の叛乱軍が「マリー・アントワネット」を奉じてパリに攻め上るといった展開を夢想していたのですが、手札のキャラクターとイベントとの関連はなさそうです。

マリー・アントワネット」は共通アクションにより「帰国」し、1VPを獲得。

ナポレオンは固有アクション「クーデター」を発動。次のターンの政体として「帝政」は3票を獲得します。
別の「政体」へ投票することで、ナポレオンによる「帝政」を阻止するプレイヤーがいなかったため、続く政体は「帝政」に確定しました。

 

第5ターン

政体は「帝政」。

このままで終われば、ターン終了時に得られるナポレオンの10VPにより勝利は確実という流れでした。ところが他プレイヤーの「シャルロット・コルデー*1が固有アクション「暗殺」を発動。ナポレオンは暗殺され、除去されます。ターン終了時の10VPの獲得はなくなります。

ロベスピエール」は「帰国」アクションにより帰国し、1VPを獲得。「マリー・アントワネット」は、「フェルセン」の「亡命」アクションにより亡命しますが、自身が共通アクションで「帰国」を実施し、1VP獲得。「フェルセン」との連携プレーです。

反革命の諸外国軍の侵入、対仏大同盟軍の侵入、王党派の叛乱などが相次ぐ中、「サン・ジュスト」は「派兵」により鎮圧に出動します。

結果、ナポレオンは失ったものの僅差で勝利。

 

感想戦

プレイ時間は2時間といったところでしょうか。キャラクターカードの個性が強く、ケレン味たっぷりのアクションやイベントに場は盛り上がります。ゲーム内で使われるカードは32枚しかなく、ひとつのターンで競り落とされるカードは4-8枚と多くはありません。特徴があるキャラクターが登場するターンは固定ですので、各ターンでの注文カードは自然と絞られます。各ターンにどのようなキャラクターが登場するのかを各プレイヤーが理解した2回目以降のプレイのほうが盛り上がるでしょう。絶対的に強力なカードというものはないため(逆に強力なカードは、「逮捕」「処刑」などで潰される)、どのようなデッキを構築するのかを考えながら楽しめます。

評判とおりの好ゲームでした。

 

 

 

佐藤賢一の比較的新しい作品は展開がスローでかつ人物視点でみっちり書き込まれるので、初期の作品にあった面白さがないんですよね・・。本シリーズも例外ではなく、大きな流れを忘れそうになることたびたび・・。

 

*1:暗殺の天使の異名を持つ女性。ジロンド派を擁護し、山岳派のリーダーであったマラーを暗殺したことで知られる。

「CREMIA(クリミア)」(MMP)を対戦する

OCS(Operational Combat Series)の新作「CREMIA」(MMP)を対戦しました。

1941年から42年にかけてのドイツ軍によるクリミア半島への侵攻とセバストポリ要塞攻撃、さらに1943年にはじまるソ連による半島奪還の両方を扱っている作品です。

今回、マンシュタイン率いる第11軍がセバストポリの占領を目指して、クリミア半島への侵攻を開始するシナリオ1「通過儀礼(Rite Passage)」を対戦しました。

 

画像

 

 

 

 

地形・マップ

フルマップ1枚にクリミア半島全体が扱われています。
北はクリミア半島に接するウクライナ側にノガイ平原が広がり、ウクライナ戦争で有名になったヘルソンやメリトポリといった都市も見えます。
ノガイ平原に接したクリミア半島の付け根はペロコプ地峡と呼ばれ、わずか7キロの幅しかありません。
半島は西の端に有名なセバストポリ港があり、西側は細長くケルチ半島が東へ伸び、黒海の西岸にあたるコーカサス地方から伸びたタマン半島と、ケルチ海峡を経て接しています。
ケルチ海峡から上側の内海がアゾフ海、下側が黒海になります。

ユニット数は多くはないためプレイアビリティは高いのですが、他のOCS作品よりも地形や気候、登場する部隊など特別ルールが多いようにも見えます。

 

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シナリオ1スタート時点の状況
ドイツ・ソビエト両軍はペレコプ地峡の北側で対峙している。
地峡は幅が2ヘックスしかないため迂回はできず、ドイツ軍は地峡を正面から攻撃せざるをえない。地峡にはソ連軍が北側と南側の二重に陣地線を設置している。

クリミア半島黒海沿岸にカラーチップを置いている場所が、占拠することで勝利得点となる港湾ヘックスになる。勝利得点は他に、セバストポリ周辺にある陣地ヘックスもまた占拠することで得点を得られる。

マップを見てわかるようにペレコプ地峡を抜けると、半島は何の防御地形もない平野部に至る。もとよりソ連軍は平野部に戦線を張れるほどの兵力を持っている訳ではないため、次に防衛線を引くことができるのはヤイラ山脈にはいってからとなるであろう。

 

両軍の兵力

ドイツ軍の第11軍は歩兵師団を中心とした編成になっており、兵力は多くはありません。史実では翌年1942年のセバストポリ要塞攻略時には大量の砲兵部隊が集められたのですが、1941年のこの時点ではそこまでの砲兵戦力を抱えている訳ではないです*1
一方のソ連軍も歩兵師団中心の編成で、装甲戦力もほとんど存在しません。わずかに騎兵師団が比較的練度が高い点が評価できるくらいです。
ペレコプ地峡の陣地に薄く展開している以外に、セバストポリはもちろん半島にはほとんど兵力はありません。このため、シナリオ開始後、半島中にわずかながら点在する部隊ユニットをかき集めることになります。

本作のマップ外の西側に位置するのですがオデッサはこの時点で枢軸軍により包囲されており、ドイツ軍がクリミア半島のあるラインを越えると(時間的経過を表す?)包囲状態にあったオデッサの地上兵力が海路で撤退してくるというイベントが発生します。オデッサ撤退軍は損害は受けているものの、部隊の練度もクリミア半島に配置した部隊よりも高く、兵力(ユニット数)もそこそこあるなどソ連軍としてはかなり期待してしまいます。

航空兵力の兵力差は顕著で、最新鋭機種が揃っているドイツ軍に対し、ソ連軍は性能も低く機数も少ないため、対抗は難しいでしょう。
なおドイツ軍の爆撃機はマップ外のオデッサルーマニアを発進基地とすることで補給ポイントを消費することなく、出撃できます。

ソ連軍には戦艦1隻<セバストポリ>と軽巡1隻がセヴァストポリ港を本拠地として登場します。史実ではマンシュタインの侵攻が開始された後にセヴァストポリから撤収し、その後は陸上への艦砲射撃を行ったり、ソ連軍による逆上陸の支援を行ったりしていたようですが、なかなか使いづらいところはありますね。

 

補給

OCSでは、補給源から前線まで補給ポイントを運搬する必要があります。
補給について言えば、本シナリオでのソ連軍は比較的余裕があるように感じます。

ドイツ軍の補給源はマップ左上にあるヘルソン付近であり、鉄道と馬車で前線まで運搬することになります。東部戦線の常で鉄道の利用にあたっては軌道幅の変更が発生します(各ターン決まったヘックス数、鉄道の補給線を延長させることができる)。

一方ソ連軍は補給源のコーカサス地方側から運搬することになりますが、鉄道とあわせ、強力な海上輸送も使うことができます。
海上輸送を組み合わせることで、半島の各所にはセバストポリを筆頭に複数の港湾ヘックスがあるため、港湾ヘックスを起点に補給線を引くことができるのです。

 

ゲーム開始時のペレコプ地峡の状況。
数字を囲ったイガグリのような図が描かれたマーカーが陣地を表す。ドイツ軍の地上ユニットは薄茶色のユニット、ソ連軍は茶褐色のユニットである。
腐海側の右端の細長い地峡にもソ連軍の陣地が配置されているが、こちら側は対岸のドイツ軍が特別ルールでしばらく移動禁止になっているため*2、無視しておいてよいだろう。

攻撃開始に備えてドイツ軍は地峡の北に爆撃機群と砲兵ユニットを集結させている。

 

ドイツ軍の入念な航空支援により第一線陣地のソ連軍部隊は、DG(混乱)状態にさせられた後、地上ユニットの攻撃により突破された。ただドイツ軍第11軍は十分な装甲部隊を有していないため、突破戦闘は発生しない。
地峡入り口にあたる2ヘックスのうちひとつを突破された事から、ソ連軍は残余の部隊を第二線まで後退させた。
戦線を整えたところで第二線の陣地線に対するドイツ軍の攻撃が開始したところ。

 

セヴァストポリ港とその周辺に配置された陣地マーカー。陣地マーカーのレベル「4」はOCSの中では最強レベルなので、これがセバストポリ要塞ということになるのだろう。
シナリオ開始時点では部隊が少なく、セバストポリ周辺の”要塞”ヘックスはガラガラの状況。

この後、オデッサから海路で撤収してくる部隊(当時、オデッサは枢軸軍に包囲されていた)や、ペレコプ地峡などからの撤収してきた部隊で埋めていくことになる。

 

今回のプレイは、時間切れ終了となったが、終了時点の状況。

ペレコプ地峡の二重の陣地線を突破された後、ソ連軍は前線を下げ、ひとつはセバストポリにつながるルート途中、ヤイラ山脈にさしかかるライン、またセバストポリ港周辺の陣地ヘックスに部隊を展開させた。もうひとつはケルチ半島の付け根にも弱いながらも防衛線を設定した(下の写真参照)。

包囲下のオデッサから海路で撤退してきた部隊をセバストポリ周辺に配置している。

 

季節は10月にはいり、天候は不順となっていく。
時折降る雨により土地は泥濘(Mud)状態になり、自動車化部隊を中心に、移動力が大きく阻害される。影響を受けるのはソ連軍も同様だが、ソ連軍はもともと徒歩部隊が多いため、移動という観点では影響は小さい。

 

 

感想戦

OCSとしてはユニット数も少なく、プレイしやすい作品になるのではないでしょうか。地形としても面白く、これは各シナリオを挑戦してみたいと思わせてくれます。よい作品です。

 

 

 

*1:OCSのゲームシステムでは砲兵部隊の砲撃は膨大な補給ポイントを消費するため、ドイツ軍による第二次セバストポリでのドイツ軍の補給がどのように描かれているか、興味深いです

*2:ノガイ平原側でソ連軍の反抗作戦が実施されていた関係?

【まとめ記事】OCS:OPERATION COMBAT SERIES(MMP)関係記事

OCS(OPERATION COMBAT SERIES)は、MMP/The Gamersから出版されている作戦級ゲームのシリーズです。

1992年より現在まで20作品がリリースされています。現在(2024年1月時点)MMP社のHPから購入可能なのは6作品(プレオーダー中の2作含む)なのでそれほど多くはありません*1

第二次世界大戦時の欧州戦線をテーマにした作品が多いですが、太平洋戦域ではビルマ戦線を扱った「BURMA」が発売済、開戦劈頭のフィリピン戦線を扱った「LUZON」が発売予定となっており、デザイン中の作品として、「MALAYA」、「SHANGHAI‐NANKING 1937」がラインナップにあがっているようです。

 

基本となるシリーズルールは同一で、各作品毎に個別ルールが用意されています。

陸上戦闘が主ですが上陸作戦が関係する作品では艦艇ユニットが登場するものもあります。

陸上ユニットのスケールは1ユニットが連隊単位で、中隊・大隊規模の部隊ユニットもあります。

航空ユニットは1ユニット=20~45機ということなので、1個飛行中隊/飛行戦隊規模といったところでしょうか。機種毎にユニットが分かれているところも特徴です。

 

1ヘックスは5マイル(8キロ)が標準

補給ポイントと補給ルールが独特で、移動や戦闘(防御戦闘含む)、砲撃、航空機の整備などで補給ポイントを消費し、補給ポイントを補給源から消費地まで運ぶ必要がある点
またZOCが弱いため、戦線をうまく張らないと、すり抜けられてしまうので注意が必要です。

 

 

KOREA

 

Blitzkrieg Legend


SMOLENSK


TUNISIAⅡ

 

CRIMEA


 

 

 

OCSを特集した雑誌


OCSをプレイする上で必ず見たいサイト

 

 

(以後、適宜追加します)

 



*1:過去作を包含する形で再デザインされる作品もあります

「PRIME MINISTER」(GMT Games)をプレイする

数あるボードゲームのボックスアートの中でも稀に見るような陰鬱な、溌剌さとは縁遠い表情を浮かべた3人の壮年の人物が描かれた本作、19世紀イギリスにおける議会制民主主義における総理大臣と政党政治、国会運営を扱った「PRIME MINISTER」をプレイしました。

 

 

 

時代背景

ボックスアートの3人のうち、女性はヴィクトリア女王です。在位64年(1837‐1901)、大英帝国は世界各地に植民地を広げ、政治・経済ばかりではなく、文化・技術面でも諸国よりも一頭地抜け、栄華を極めます。政治との関わりにおいては王権の中立化に努め、政治へ影響力を行使しながらも、議会の状況に基づいて総理大臣を選出するという立憲民主主義の道を開いたとされています。

右の帽子を被った男性は保守党党首ベンジャミン・ディズレーリ、左は自由党のウィリアム・グラッドストンです。いずれも19世紀後半のイギリスを代表する政治家で、二人は対立する政治信条を持ち、異なる政策を推進しました。ディズレーリは2回、グラッドストンは4回総理大臣として任命されています*1*2

ウィキペディアグラッドストンの項目を見ると、この時代の政治家としては稀に見る長大な説明文が寄せられています。日本の政治家に与えた影響について詳細な記述があるなど、同時代だけではなく後代の人にも愛され尊敬を受けた政治家であることが伺えます。

ヴィクトリア女王と、2人の政治家との関係は対照的なことでも知られています。女王はディズレーリを偏愛する一方、グラッドストンのことは一貫して嫌悪しました。
女王はグラッドストンの死後、弔辞を新聞に掲載するよう周囲から求められたのですが拒否し、さらにはグラッドストンの葬儀に参列した皇太子に対し、それを咎めるような電報まで出したというので徹底しています。

生前、グラッドストンは女王との関係を次のように語ったと伝えられています。

 

「私は(シチリア島での移動で)数十時間もロバの背中で揺られていた。ロバは私に不都合なことは何もしなかったし、私のために長時間仕事をしてくれた。だが何故か私はそのロバに何の好感も持つことができなかった。この時の私とロバの関係が、女王と私の関係である。」

 

語り口となんともいえない諧謔味に彼の人柄を垣間見るようです。

 

 

ゲームの紹介

ゲームの話に戻します。

プレイヤーの立場

プレイヤーはソリティアから4人までプレイ可能で、4人プレイでは政権政党の与党と野党とそれぞれ2人ずつに分かれることになります。与党党首を担当するプレイヤーが総理大臣(PRIME MINISTER)となります。

プレイヤーはゲーム開始時に実在の政治家が描かれた政治家カードをドローします。
冒頭にディズレーリとグラッドストンの紹介をしましたが、ゲーム内では、当時の政治家の人物に対する知識、時代背景や政策や主義主張に関する知識も不要です*3
プレイを通してプレイヤーは最初にドローした政治家カードを担当し、与党になったり、野党になったり、総理大臣になったりすることになります。
ゲーム内では何度も国政選挙が起きますが、ゲームに登場する政治家には任期途中での死亡、落選、引退といったイベントはないです(そのようなイベントをプレイする作品ではないということですね)

プレイヤーは政党を自由に選ぶことはできず、政治家カードに記された党派に属することになります。

 

プレイヤーは国会議員としてアクションを実施していきます。

活動結果として獲得できるVP(勝利ポイント)があり、一定点数に達したプレイヤーが勝者となります。

 

法案の採決

総理大臣となったプレイヤーならびに与党プレイヤーは国会において法案を通過させることによってVPを得ます。

国会で審議される法案は議員や政府から提示されたものから総理大臣が選定し、採決の対象となります(野党提案の法案も採決の対象になるとVPがもらえます)。
法案の採否は多数決で決まりますので、与党の議席数が過半数を越えていることが望ましいです*4。さらに法案毎に与党内でも賛成・反対があるため、与党の議席数で単純に決まるわけではありません。支持があまり得られていない、反対票が多い法案を通すには、「討論(DEBATE)アクション」を通じて国会内で法案への賛成票を増やす必要があります*5。野党側は、法案の通過を妨害し廃案にさせたり、否決させることでVPが得られるため、「討論(DEBATE)アクション」を用いて反対の論陣を張ることができます。

法案が議決されると法案によって恩恵を受ける支持層(保守層/リベラル層)や社会階層(中間層、労働者層、地主農民など)からの支持を獲得することになる一方、不利益を被る層からの支持が低下する可能性があります。
現実の政治がそうであるように、万人にウケる政策というものはないのです。

支持層・社会階層からの支持状況は次回選挙における獲得できる議席数に影響します。支持を得る手段は法案による恩恵の提供だけでなく、「遊説(CAMPAIGN)アクション」によっても得ることができます*6

法案が通過した場合、総理大臣の「名声(STANDING)ポイント」が向上しますが、廃案になったり否決された場合は総理大臣の名声は下がり、野党がVPを得ます。
名声が向上すると、総理大臣はより多くのアクションを実施できるようになりますが、名声が低下すると実施できるアクション数に制約を受けます。

 

選挙の実施

一定期間ごとに選挙が行われ、選挙が実施されます。

選挙は、その時点での支持層・社会階層等による支持状況の合計として議席獲得予測の状況から判断されます。

与党の議席過半数を下回ると、法案の採決時に反対票が多くなり、国会運営が難しくなります。法案を通せない総理大臣は名声が低下し、さらには支持も減少するため、総理大臣の座を譲るか下野することになる可能性がでてきます。

 

総理大臣以外のプレイヤー

ここまで総理大臣プレイヤーを中心に説明しましたが、他のプレイヤーは与党側の一般議員、または野党党首と野党の一般議員として、総理大臣のアクションに同調し協力する、または反対の立場で行動していくことができます。

総理大臣と同調するのは協定といい、野党も与党の法案に賛成していき、総理大臣や与党議員が法案通過にあたってVPを得るタイミングでVPを得ることができます。
ゲームの勝利のためには総理大臣との協調体制は永続せず、いずれは競り合うことが必要となります。

総理大臣以外のプレイヤーは、総理大臣と比べて実施できるアクション数やアクション種類が限られますが、政治家としての「名声(STANDING)ポイント」を上げることで、アクションの幅を広げることが可能です。

政治家としては、「支援者獲得(HOBNOB)アクション」により支援者を増やすことも重要です。支援者により、名声や恩寵が増加し、様々な恩恵を得ることができます。

19世紀のイギリスを舞台にしているため、女王からの好意も要素となります。一部の政治家は「ご機嫌取り(FLATTER)アクション」を通じて女王の「恩寵(FAVOUR)ポイント」を上げることができます。恩寵ポイントが増加すると、実施できるアクションの種類が増え、政治活動がスムーズに進むようになります。

 

チャレンジ宣言

同じ党内で一般議員に対する党首、野党党首に対する総理大臣とで「名声ポイント」の逆転が発生した場合、チャレンジ宣言を行うことができ、宣言後、自動的に、党首の交替や、総理大臣の交替が発生します。

特に野党党首により総理大臣の地位の交替が発生した場合は、直ちに選挙がおこなれるため、タイミングによっては少数与党の状況が生じる可能性がありますので、注意が必要です。

 

全体マップと写真には写っていないがプレイヤー毎のシート上で管理するパラメータ種類が多い。左上の黒とオレンジ色のマーカーが複数置かれているエリアが、支持層・社会階層別の支持状況を表す。右下の水色・赤紫のマス目部分は庶民院における与党の議席占有数を表す。左下の「BILL」と書かれたワク内に審議中の「法案カード」が並ぶ。

 

プレイ

4人プレイ、全員初プレイ。
最初に政治家カードをドロー。スタート時点では自由党政権政党と指定されています。引いたカードは「保守党」の政治家だったのですが、もう1人保守党政治家と比べて優先度が低かったため、スタート時の地位は、「野党一般政治家(Opposition Backbencher)」になります。

 

左下に置かれた「Sir Robert Peel」がドローした政治家カード。青いリボンは保守党であることを表している。別のプレイヤーにドローされた保守党の政治家が、ディズレーリだったこともあって、人物ごとにランクづけされた優先度によりディズレーリが野党党首となり、Peel卿は一般議員となった。*7
「野党一般議員(Opposition Backbencher)」は、スタート時の名声(Standing)ポイントは「0」、実施できるアクションは1個のみ、アクション種類は「議論(Debate)」と「支援者獲得(Hobnob)」の2種類と最弱状態からはじまります。
「名声(Standing)ポイント」と「恩寵(Favour)ポイント」を増やすことでアクション種類やアクション数を強化できる。

 

野党の一般議員は実施できるアクション種類が少ないため、まずは「支援者獲得(Hobnob)アクション」により支援者カードを得ることにします。支援者はそれぞれにパラメータの上昇や、支持の獲得などの効果があるため、地道にパラメータを改善するための有効な手段になります。

 

支援者とは、女王以外の王室メンバー、貴族、知識人、著名人など、影響力のある歴史上の人物を表す。支援者カードは入手後、任意のタイミングで使用することでカード下部にかかれている効果を得ることができる。カードの効果と上の写真&人物との関係性はよくわからないが、おそらくそれぞれにストーリーがあるのだろう。
カード効果としては、赤いフレームのアイコン(女王の「恩寵ポイント」)や、黄色フレームのアイコン(「名声ポイント」)あたりが効果が高くて好ましい。

 

ゲームスタート時は与党・野党間で協定があるため法案の審議などで協力関係にあります。総理大臣が法案を通した際には与党と同様に野党側も勝利ポイントを得ることができます。ただこの関係をいつまで続けるのかは重要な判断ポイントになるでしょう。

また与党についても野党についても党首と一般議員間のチャレンジによる交替も重要なポイントになります。
一般議員はルールにより毎ターン名声ポイントを1ポイントずつ自動的に受領することができるため、遅かれ早かれ野党党首の名声ポイントを追いつく可能性があります。追いついた時が党首交替のチャレンジ宣言のチャンスとなります。

 

総理大臣プレイヤーは法案を通すために「遊説(CAMPAIGN)アクション」や「討論(DEBATE)アクション」または「支援者獲得(HOBNOB)アクション」を実施する一方で、野党側はまずは「名声ポイント」を高めることでアクション数やアクション種類の拡大、さらにはチャレンジ宣言ができる条件の獲得を努めます。

 

ついには保守党党首と、総理大臣の「名声ポイント」との逆転が起こったため、野党党首はチャレンジ宣言を実施、政権奪取に成功します。
ところが直後に実施された選挙において、その時点まででの支持層・社会階層毎の支持の拡大が十分でなかったこともあり、保守党の議席占有は過半数を下回る300議席と、少数与党状態になってしまいます。
チャレンジ宣言をするタイミングが早すぎたということでしょう。

保守党ディズレーリ総理大臣は法案の通過に苦労することになり、かえって名声を落とし、ここで保守党一般議員Peel卿によるチャレンジ宣言が行われ、保守党党首の交替、つまりは総理大臣としてPeel卿が任命されます。

ただこの時点で、少数与党状態は変わらず、Peel首相による国会運営も引き続き困難で、一期で退陣することになったのです(「早すぎた」のです)。

つづく選挙で、保守党の低支持ぶりの裏返しとして自由党過半数を遥かに超える390議席を獲得する安定政権を樹立、安定の国会運営により100VPのラインを突破、最後まで走りきりました。

 

ピール卿の首相就任を記念して、総理大臣のプレイヤーシート。
総理大臣は手数も多いし、とりえる手段も多い(野党一般議員とは雲泥の差です)。
上に書いたように少数与党の悲哀で一期で退陣した。

 

感想戦

プレイ後の感想戦で、保守党敗因の要因は次の2点の意見が寄せられました。

  1. 有権者からの支持を十分に得ていない状況で、「名声ポイント」だけを頼りにチャレンジを実施し、政権を奪ったことで少数与党状態での国会運営を余儀なくされた点。
    支持がないところに、その危うさからさらに支持を失い、つづく国政選挙で自由党に大敗することとなり、自由党の圧倒過半数による政権運営を可能とさせてしまった。
  2. 保守党の党首と議員との間で党首の座をめぐるチャレンジを繰り返したことで、蓄積された「名声ポイント」を無為に無くしてしまった点も大きい(チャレンジ宣言をうけて敗北したほうは、それまでの「名声ポイント」が初期値にもどってしまう)。
    名声ポイントを蓄積することで得られたアクション数やアクション種類の追加を得ることができず、「遊説アクション」「討論アクション」といった活動を行う余裕をなくしてしまった。

 

議会制民主主義の構造がわかる教育的効果が高い作品です。ボックスアートの通り、内容もまじめで、飛び道具、ケレン味のあるルールはない点も好感がもてます。
納得感がある形で議会制民主主義とはなにぞやという点をシステム化している点はとても感心しました。

19世紀イギリスを舞台にしていますが、設定を変えれば他の時代や国でも題材にできそうです。BGGのフォーラムでは、第二次世界大戦前のイギリスでプレイしてみたいといった意見がでていたりします。デザイナーによれば、19世紀を舞台にしたのは多用している人物写真や肖像画著作権を気にする必要がないから、ということらしいです。

システムが巧緻な分、ゲームとしても面白く楽しめました。

政治ゲームとしては「ワイマール」などにも通じるところがありますが、より国会運営と選挙や支持という点にフォーカスしている点。同じ与党でも法案の決議時には反対に回る議員がいる可能性があるなど不確実性のあるランダム要素を盛り込んでいる点などは面白かったです。

(終わり)

 

 

 

 

 

 

*1:二人とも高校の世界史レベルで登場するようなのですが、わたしはとんと記憶にないです

*2:

ディズレーリ(保守党)の政治信条

保守主義国家主義
ディズレーリは保守主義の信奉者であり、国家の安定性と伝統を重視しました。彼は貴族制度や国教会などの伝統的な制度を支持しました。

社会改革
一方で、ディズレーリは貧困層や労働者の状況を改善するための社会改革にも関心を寄せました。彼は工場法や住宅法のような法律を通じて、社会的な不平等を緩和しようとしました。

帝国主義
ディズレーリは帝国主義を奨励し、国際的な影響力の拡大を目指しました。彼はスエズ運河の株式を購入し、インドなどの植民地の保護と拡大を重視しました。

グラッドストン自由党)の政治信条

自由主義進歩主義
グラッドストン自由主義の信奉者であり、市場経済や個人の自由を重視しました。また、進歩主義の立場から社会の改善や教育の普及に力を入れました。

非干渉主義
政府の過度な干渉を避け、市場の自由な発展を奨励しました。彼は税制改革や選挙法改革などを通じて政治体制を改革し、庶民階級への権利を拡大しました。

自由貿易
グラッドストン自由貿易を奨励し、関税の撤廃や国際貿易の促進を支持しました。これは当時の保護貿易主義に対する立場として注目されました。

*3:強いて言うなら、支持状況を表すパラメータにアイルランドスコットランドという分類があり、当時のイギリスが抱えていた統治問題を伺うことができます。当時のイギリスはアイルランドとの連合王国となっており、アイルランドがイギリスから独立したのは1922年です。スコットランド問題はアイルランドほど深刻なものではなかったのですが同様に長年の問題となっていました。

*4:イギリスの下院にあたる庶民院(House of Commons)の定数は650議席です。ゲーム内では330議席過半数とされています。

*5:他に野党党首に合意を求めるという方法もありますが、野党側にVPがはいるため、よほど国会の議席状況が悪い場合に用いる手段と考えられます

*6:英文はCAMPAIGNなので選挙運動とも読めますが、プレイの中でCAMPAIGNアクションは選挙が決まって実施するのではなく、日頃から実施するアクションですので、選挙運動というよりは「遊説」と訳したほうが適当かと考えました。

*7:Sir Robert Peelは、19世紀初頭のイギリスの政治家であり、保守党の創設者の一人として知られています。経済政策の変革や法制度の近代化、警察の設立など、多岐にわたります。特に警察改革は、今日でも影響力を持ち続けています。

「SEAS OF THUNDER」(GMT Games)における各国戦艦のクラス別の性能評価についての顛末

 

第2次世界大戦中の海上作戦を扱った「SEAS OF THUNDER」については、発売当初よりゲームに登場する艦艇の性能数値のレーティングの妥当性について議論があった。
BGGのフォーラムを眺めていると、デザイナーはきちんとリサーチをしたのかといったクレームに加えて、こんなずさんな調査しかできないのであればデザイナーとしての評価を下げると脅してみたり、「こんなことが許されているなんて、GMT Gamesの品質管理に失望しました」といった高級スーパーのお客様からのご意見掲示板に掲示されているような「ご意見」まで含めてケンケンガクガクと意見が飛び交っていた。

 

SEAS OF THUNDERがどのようなゲームかは上の記事を参照ください。

 

はたで見ていると、議論の遡上にあがっているのは不思議と戦艦に限られ、航空母艦巡洋艦駆逐艦・潜水艦の類の議論は見たことがない。さらには、戦艦の中でも問題になっていたのはユニットの左肩に記載されている「砲撃力」*1にほぼ限定されているのはそれはそれで興味深いものがあった。

ついにはデザイナーのJeff Holger氏により、デザイン方針についての投稿があり、「砲撃力」については、砲のサイズをパラメーターに評価したと言及があった*2

すると今度は、砲のサイズだけでは正確に艦艇の性能を評価することはできないはずだ、射撃管制システムや、乗員の練度といった要素は考慮されないのは問題だ、といった意見が噴出したのだが、Holger氏からは、

 

「・・・このゲームでは、我々が盛り込んだ以上の詳細の艦艇毎の差別化は必要ない。
(もともと戦艦が戦闘に参加すると振ることになる)サイコロの数が膨大であるため*3、個々のダイス振りは特別なことではなくなる。サイコロを振る個数が7個なのか8個なのかという差はこのゲームでは問題ないのだ。戦艦の防御力が10であろうが12であろうが、いずれにせよ沈めるのは至難の業であることには変わりがない*4性能値が3か4か?長い目で見れば、大した違いはない。それがこのゲームの本質だ。」(意訳)

 

と書かれてしまった。
最後の部分は本作のゲームシステムを動かしてみると、その通りと言う他はない。

ユニット上の数値の些細な差など意味がない、ということだがこれだと極論すれば、艦艇型別の評価など行わず、戦艦、巡洋艦といった艦種毎に共通的な数値をあてはめてもよいことになる。さすがにこれはまずいということで、氏は次のように続けている。

 

「・・・全クラスに同じ数値を与えることもできたが、ゲームの趣向が大きく損なわれてしまうことが明らかだったので、私たちは艦艇型別に数値性能を変えるという仕様を維持した」(意訳)

 

トラック島から戦艦2隻出撃というよりは、大和・武蔵の2隻が出撃と言ったほうがずっと感情移入できるのは自明のことだ。本ゲームの本質が、多数の艦艇を並べて悦に入る点にあることを考えれば、個々のユニットに艦艇名が記載され、性能の差別化がはかられているのとそうではないのでは雲泥の差であろう。

ところがその後も議論は収まらなかったのか*5、上の投稿から3か月後、Holger氏は次のような投稿を行った。

 

「・・・実はGMTへの最終版のチェックの際にミスをしていたことがわかった。
砲戦力の評価について「新しい評価」を用意していたのだが、すっかり失念していて、「古い評価方法」に基づいた数値でユニットを用意してしまっていた。

もう一度言うが最終編集をしていた時に、わたしは心不全、心房細動で極度の体調不良にあった。その上、妻が血液の感染症にかかり、死にかけていたんだ。
そう、わたしは間違った古いリストをみてしまい、新しい評価方法に基づくリストを忘れていたんだ。」(意訳)

 

ついては「GMT交換カウンターシート」でこれらの初動の重大なミスについて、修正を行うことにした。なお幸運なことに、このミスは大型艦だけに影響し、巡洋艦以下の艦艇はすべて影響はしていない、と、発表したのだ。

こうして、今、手元に「GMT交換カウンターシート」が届いた。

 

 

本作における艦艇の性能値については、カウンターシートを興味深く眺めて一喜一憂こそすれ、それをもってクレームをいれるというスタンスは理解できないのだが、一部の”理知的な”人たちにとっては問題だったりしたのだろう。
Holger氏の投稿もなにもそこまで赤裸々に書かなくてもという気がするのだが、そこまで書かれてしまうと逆に巡洋艦以下の艦艇は本当によかったの?と聞きたくはなる。

どこが問題とされて、どのように改善されたのか?

紹介したBGGでの議論にあたって、英語ベースで行われているためか、日本人の参戦はほぼなかったように思うのだが*6、今回配布されたエラッタでは、日本艦もそれなりに恩恵を得ている。

では具体的に修正前の段階でレーティングのどこが問題になっていたのかというと、詳細な数値データを記載していたFrank Waugh氏によるBGGのフォーラムへの投稿から拾ってみる。

氏は、各国戦艦の各クラスについて、砲弾重量と片舷に投射可能な砲の門数を掛け合わせた重量を計算し、ゲーム内での「砲撃力」の評価と比較した。

次のリストの左端の数値がゲーム内の「砲撃力」を表す。

 

Game ratings(修正前)
11- Yamato (28,971 lbs per broadside)
11- Almirante Latorre (15,800 lbs per broadside)
11- Fuso and Ise classes (17,820 lbs per broadside)

10- USSR Marat class (12x712= 8,554 lbs per broadside)
10- Iowa, North Carolina, South Dakota (24,300 lbs per broadside)
10- Texas (15,000 lbs per broadside)
10- Arkansas (10,440 lbs per broadside)

9- Nagato (17,480 lbs per broadside)
9- King George V (15,900 lbs per broadside)

8- Bismarck (14,112 lbs per broadside)
8- Queen Elizabeth, Revenge (15,360 lbs per broadside)
8- Kongo (11,880 lbs per broadside)

7- Nelson (24,300 lbs per broadside)
7- Vittorio Veneto (17,559 lbs per broadside)

6- Hood (15,360 lbs per broadside)
6- Scharnhorst (6,552 lbs per broadside)

 

連合艦隊ファンとしては、はじめて本ゲームのカウンターシートを見たときに、長門級よりも伊勢級扶桑級がかなり高く評価されているのに驚いたものだが、BGGの議論でよく槍玉にあがっていたのは、アメリカ人(と思われる人たち)からはアイオワ級、イギリス人(と思われる人たち)からはキングジョージⅤ世のレートが低すぎるのではないかという指摘だ。また主砲が28センチのシャルンホルストに比べて、38センチの主砲を持つフットのレートが同じなのは我慢がならない、という指摘もよく見かけた。*7

Frank Waugh氏のリスト中、砲撃力11にあがっているAlmirante Latorreは、チリ海軍の超弩級戦艦、主砲のサイズは36センチ16門、竣工1914年。砲撃力10のMarat classソ連弩級戦艦、主砲サイズは30センチ12門、就役1914年で、同氏によれば両艦の火器管制システムは集中管制が実現される以前の旧世代のものにすぎずこのレーティングはとうてい容認できない、とされている。

 

今回配布されたエラッタにより戦艦の砲撃力評価がどう変わったのかを、先のリストに追記すると次の通りとなった。赤字は変更後、青字は変更前を表す。

 

Game ratings(修正後)

15- Yamato

14- Ise class

13- Courbet class

12- Iowa, North Carolina
12- Nagato

11- Almirante Latorre
11- Fuso class
11- Nelson
11- Vittorio Veneto
11- Yamato
11- Ise class

10- USSR Marat class
10- South Dakota
10- Texas
10- Arkansas
10- Bismarck
10- Andria Doria
10- Duilio
10- Iowa, North Carolina

9- King George V
9- Hood
9- Dankerque class 
9- Nagato

8- Queen Elizabeth, Revenge
8- Kongo
8- Bismarck

7- Nelson
7- Vittorio Veneto
7- Courbet class
7- Dankerque class 

6- Scharnhorst
6- Hood

6- Andria Doria
6- Duilio

 

全般的に底上げがされていて日本海軍の艦艇も、伊勢級長門級などその恩恵を多く預かっているように見える。

さっそくエラッタの内容についてBGGで意見がでている。

またもや砲撃力への意見が多く、あとはイギリス海軍艦艇の航続距離の評価についてが多かった。砲撃力に関する論点としては、

フランスのクールベ級がアイオワ級よりも優れているとされている点、伊勢級長門級より砲撃力が上な点*8長門級アイオワ級が同等なのはどうなのか?

といった指摘だ。なお大和級の評価についてはついぞひとつも疑義が挟まれたものはなかったのは、それはそれで興味深かった。

デザイナーのHolger氏からは、特定のユニットの細かい議論をするよりももっと建設的な議論をしようよ、自分の調査が色々足りないことは認めるけど、文句ではなく解決策を提示してもらえるのであればいつでも聞くよ・・・と、さすがにうんざりしたような長文の投稿が行われている*9

(終わり)

 

 

*1:イギリス人ユーザーから他に、「航続距離」の評価について議論(クレーム)があがっていた

*2:

砲撃力以外の数値について評価に用いたパラメータは次の通り言及されている

  • 砲撃力:砲のサイズ
  • 防御力:艦体サイズと装甲
  • 航続距離:艦艇の作戦範囲
  • 潜水艦攻撃力:魚雷搭載数
  • 航空作戦能力:航空機搭載数
  • 機雷作戦能力:機雷搭載数

    *3:砲撃力の数値分の個数のダイスを振る

    *4:防御力を越えるダメージを与えなければ艦は沈まないため、防御力10の艦艇を撃沈するには10個のダメージを重ねなければならない

    *5:ついでに本件のような議論が影響したのかはわからないが、BGG上のゲームの評価点数も発売当初よりも下がっている

    *6:投稿者の国籍マークで判断

    *7:なお大和級ビスマルク級のレーティングについての議論は見たことはない。

    *8:以前の記事にも書いたが伊勢級のユニットは後部甲板が航空甲板になった航空戦艦仕様になっているのだが(これはこれでうれしいデザインだが)、砲撃力は戦艦時代のもので評価されている。

    *9:なお死にかかっていた夫人がどうなったのかの情報はみつからなかった

「タイタンの掟(TITAN)」(AVALON HILL)を対戦する

 

モンスター軍団を指揮し、育て、世界の覇権を目指すファンタジー世界を舞台にしたマルチプレイゲームの傑作「タイタンの掟(原題:TITAN)」を対戦しました。

往年のシミュレーションゲーム誌「TACTICS」(ホビージャパン刊)が本作に関する初の記事を取り上げたのは第8号(1983年3月号)でした。記事の冒頭には、「アメリカであれほど盛んなファンタジーが日本ではさっぱりというのは不思議なことです。思うに、そこで活躍する怪物たち・・(中略)・・があまりにも馴染み薄なためでしょう。もしかすると日本人の内気な性格は、鎧を身に着け剣をとって自ら怪物に立ち向かうよりは、モビルスーツに乗ったりして事にあたる方を好むからなのかもしれません」と書かれています。 本作に登場するモンスターはベヒーモストロールガーゴイルジャイアント、ケンタウロスなど、いずれも現在では馴染み深い名称ですので、隔世の感がある序文です。
ちなみにスクエアから「ファイナルファンタジー」の第1作が発売されたのは1987年です。*1

 

写真は2008年にValley Gamesから再販されたバージョンのボックスアートです。オリジナルのAvalon Hill版のボックスアートはあまりにもひどいものでしたので、こちらをお勧めします。Valley Gamesはその後、会社自体が不幸な経緯を辿りましたが、同社が再販していた本作を含むAvalon Hill社の名作ゲームが入手困難のまま埋もれてしまうのは非常に残念です。

 

Avalon Hill社版のボックスアートはこちら

 

ゲームシステム

 2~6人のプレイヤーが参加できるマルチプレイヤーゲームです。プレイヤーは魔界の王(?)"タイタン"となり、自身のモンスター軍団を育て、他の"タイタン"一派を滅亡させ、魔界統一を目指す存在としてプレイします。

メインマップは、中心から同心円状に配置され色分けされたカラフルなタイルで構成されたシンメトリーなデザインが特徴です。メインマップとは別にモンスター同士の戦闘が発生した際に使用される戦術マップが、メインマップ上に登場する地形タイプにあわせ7種類用意されています。盟主"タイタン"の他、召喚可能なモンスターが合計19種類登場します。

メインマップ上には6か所の「塔(Tower)」が配置されており、各プレイヤーのスタート地点となります。プレイヤーは最大12軍団を所有でき、各軍団は最大で7ユニットのモンスターを所属させることができます。

各プレイヤーターンは以下の手順で進行します。

  • 開始(軍団の分割を行う)
  • 移動(配下の軍団を移動させる)
  • 戦闘(他プレイヤーの保有する軍団と同一エリアにはいった軍団は戦闘を行う)
  • 召喚(地形、また召喚する軍団を構成するモンスターの種類に応じてモンスター1ユニットを召喚する)



開始フェイズ

 プレイヤーは軍団を分割することができます。重要なポイントは、軍団の分割は可能ですが、複数の軍団の統合や異なる軍団間でのユニットの交換といった統合・再編成ができないことです。

ユニット数が最大の7個になった軍団は所属ユニット数の制限ぎりぎりの状態ですので、「召喚フェイズ」で新たなユニットを召喚するつもりであれば、分割した方が良いでしょう。一方で、軍団を過度に分割するとユニット数が少なくなり、他プレイヤーからポイントを稼ぐための攻撃対象となってしまう可能性があるため、注意が必要です。

また、プレイヤーは戦闘が発生するまで他プレイヤーの軍団がどのような構成になっているかを知ることはできません。

移動フェイズ

 本ゲームの移動ルールは独特で、「すごろく」ゲームと呼ばれる由縁につながっています。
プレイヤーは最初にダイスを1個振り、出た目がそのターンにプレイヤーの配下の各軍団が移動できるエリア数となります。各軍団は移動せずに現在のマスに留まるか、ダイスの目の通りに移動するかの2つの選択があり、移動する場合はダイスの目と同じ数だけマス目を進みます。

また、各マスでは自由な方向に移動できるわけではなく、マスごとに移動方向が決まっています。中には強制的に1マス移動させられるマスや、移動方向を選択できる分岐があるマスなども存在します。

これらの制約から、プレイヤーは軍団マーカーを指定された移動方向(方向を選択できる場所もありますが)に、ダイスの数だけ移動させることになります。まさに「すごろく」のような仕組みですね。

移動途中で他プレイヤーの軍団がいるマスに入った場合は、移動しなければならないマス数が残っていたとしても強制的に停止し、続く「戦闘フェイズ」で戦闘が発生します。移動数や移動方向が強制されるため、他プレイヤーの軍団との想定外の衝突は頻繁に起こり得ます。戦闘になることを回避したい場合は、移動を行わないことにすることになります。

 

VASSAL版からメインマップ全図です。
マスとマスの間の境界線に表記されている三角や丸型の記号が、移動方向や移動の強制や移動方向の選択可否などの移動ルールを表しています。
マップの中心部近くにある「山岳(Mountain)」や「氷結地帯(Tundra)」また「塔(Tower)」は1マス移動を強制されるマスが多いなど、行き着きにくい地形になっています。より上位のモンスターを召喚するために、プレイヤーはこれらの難易度が高いマスに行きつくようにコントロールする必要があるかもしれません。

 

戦闘フェイズ

 移動途中で他プレイヤーの軍団と同じマスにはいった場合、強制的に移動は終了し、続く戦闘フェイズで戦闘が発生します。戦闘にはマスの地形に応じた戦術マップ(7種類)を用い、軍団に属するモンスター(最大7体)を操作することになります。詳細は後述します。

召喚フェイズ

 各軍団は地形とその軍団に属するモンスタ種類に応じて新たなモンスターの召喚を行うことができます。召喚にはコストは不要ですが、召喚条件を満たしている必要があります。

地形毎に召喚可能なモンスター種類と、上位モンスターを召喚する条件が記載されています。

 

例えば「平地(PLAIN)」マスに位置する軍団は、ケンタウロス、ライオン、レンジャーのユニットがいる場合、同じモンスターを新たに1体追加することができます(上の写真内の「PLAIN」欄を参照)。
ケンタウロスが2体いる場合は、上位クラスとしてライオンを1体召喚できます。ライオンが2体いる場合はさらに上位のレンジャーユニットを1体召喚できます。
条件を満たすことでより上位の強力なモンスターの召喚が可能となっていくのです。
これらのモンスターを保有していない軍団は、「平地」において召喚ができないことになります。

各モンスターユニットは左下の数値が戦闘力値、右下の数値がスキル値ということで戦術マップ上での移動力と戦闘解決時にダイス修正となる知性を表します。
上位のモンスターになればなるほど戦闘力値やスキル値が上がるのに合わせ、追加能力として、飛行能力や遠距離攻撃能力を持つものが出てきます。

Titan - A Wartime Commander's Ideal Board Game - Bell of ...

召喚モンスター系統図です。
最下段にある、オーガ、ケンタウロスガーゴイルの3種類が最初に保有しているモンスターです。これらを記載がある特定の地形に連れて行くことで上位のモンスターを召喚できるようになることを示しています。エンジェルだけは召喚方法が異なるため体系図には登場していません。系統図の上にいくほどより強力なモンスターとなります。(GENERAL誌 NO.20 1983年11月より)

 

戦闘ルール

 戦闘が発生すると発生地点のマスの地形毎に用意されている戦術マップにモンスターユニットを移して、戦闘解決を行います。
こうした戦術マップが、地形毎に合計7枚用意されています。いずれの戦術マップも大きさは同じですが、地形によって登場する地形種類が異なります。

 

戦術マップの例(「砂漠」)です。
ヘックスマップになっており、敵味方最大7体ずつ合計14体のモンスターユニットを交互に移動・攻撃を行います(戦闘結果は同時適用)。
地形によって得意とするモンスター、不得意とするモンスターがある他、移動や戦闘時に影響を及ぼす地形効果が設定されています。

 

モンスター種類毎に戦闘力の他、移動力や飛行能力・遠距離攻撃能力が設定されている中、こうした能力値・スキルの違いを表現してモンスター毎の特徴を表すために戦術マップが用意されていると言ってよいでしょう。

戦闘解決には、攻撃に参加するモンスターの戦闘力値の個数分のダイスを振り、命中値以上の数値を出した場合、命中となり相手の体力(ユニットに記載された戦闘力値が初期値)を減らしていくというシンプルなものです。命中値は攻撃側と防御側とのスキル値の差分の修正が施されます。
例えばトロール(8-2)とケンタウロス(3-4)との戦闘の場合、トロールは8個のダイスを振ることできますが、命中値はスキル値の差分が修正されますので、6のみが命中値となり、ケンタウロスはダイス3個振りで、2以上が命中値になります。ダイスを多数を振るシンプルな戦闘解決方法は盛り上がりますよね!

戦術マップを用いた戦闘解決は時間を要します。戦闘に参加する両軍のユニットが戦術マップ上に展開させ移動を行いつつ、どちらかが全滅するまで継続するため当然でしょう。戦力差がありすぎる場合などは、戦闘は実施せずに最初から回避を申し出ることもできます(申し出を行った側のユニットは除去される)。

 

 

感想戦

特徴的な強制される移動

カラフルなメインマップ(色合いも好みです)での移動はまるで回転する洗濯機の中にいるようで、プレイヤーたちの軍団が渦に巻き込まれ、意図に関係なくいたるところでぶつかりあっている光景を想像しました。楽しいです。

何よりも面白いのはモンスターの召喚

モンスターを召喚して軍団を強化する過程も楽しいですね。上位モンスターを呼び出してより強力な軍団を編成するプロセスは特に魅力的です。ただし、コロッサスやサーペントといった最強クラスのモンスターまでの強化ルートが特定され、一方で強化が頭打ちになるルートがあるため、ルート選び、強化の順番には戦略が必要です。
モンスター強化方法や召喚できるモンスター種類にプレイヤー間での差はない以上、より早く最強クラスを集められるかがゲームの勝敗にも関わってくるので、大事ですね。*2

戦闘が時間を要するのは事実

本作をプレイしたよ、とxに書き込むと、複数の方より「実質2人用ゲーム」や「待ち時間が長い事で有名」といったリプライをいただきました。

プレイ時間、特に待ち時間長大化は戦術マップを使った戦闘解決が原因なので、ヘックスマップではなく簡易的な戦術マップ*3の導入という改良案も考えられます。その場合、モンスターの能力の差別化が難しくなる可能性があり、様々な能力を持つモンスターが登場し、能力を駆使して戦闘を行う、という本作の基本コンセプトを弱めてしまう懸念があります。

また確かに戦闘解決に要する時間を考慮すれば、消極的な理由とはいえ2人対戦向きということかもしれませんが、メインマップの中で複数のプレイヤーの多数の軍団コマがグルグルと移動を強制されていき、予測できないような衝突を繰り返すことを想像すれば2人用と制限してしまうにはもったいないかもしれません。

 

 

古い作品のため戦術・戦略が確立していること、戦闘解決など冗長な部分があることといった点はありますが、全体に楽しい作品です。名作と言われる由縁がよく理解できました。

(終わり)

 

 

 

*1:新和が「ダンジョンズアンドドラゴンズ」の日本語翻訳を出版しはじめたのは1985年

*2:ゲーム内に登場する「塔」の存在や登場するモンスター、またその系統図を見て、システムソフトがかつてリリースしていたPCゲーム「マスターオブモンスターズ」を思い出しました。

*3:PCゲームの「天下統一」、積み木ゲームの「Napoleon」(Columbia Games)、Levy & Campaignシリーズなどで採用

「AUSTRALIAN RAILS」(MAYFAIR GAMES)を対戦する

 

EMPIRE BUILDER」シリーズの一作、オーストラリア大陸を舞台にした「AUSTRALIAN RAILS*1を対戦しました

今回、途中でプレイを止めてしまったため備忘として書いた記事になります。

 

 

EMPIRE BULDERとは・・

舞台となる大陸に線路を敷設し貨物を運ぶことで収入を得、鉄道ネットワークを拡大して鉄道王を目指すというゲームです。
ラミネート加工されたマップ上に、敷設した路線をクレヨンで書き込んでいくため、BGGでは”クレヨン鉄道(CREYON RAILS)"と書かれていたりします。
オリジナルの「EMPIRE BUILDER」はアメリカ大陸、以前に紹介した「IRON DRAGON」はファンタジー世界の架空の大陸、本作は名前の通りオーストラリア大陸を舞台にしています。

基本的なルールは「IRON DRAGON」の記事に書いているので、そちらを参考にしてください。「IRON DRAGON」からの変更点を追記します。

 


オーストラリアには大都市が5つ設定されています。西からパース、アデレイド、メルボルンシドニーブリスベンですが、そのうち、西海岸にあるパースと、東海岸の4都市のうち3都市の合計4都市を路線で接続し、さらに資金を250百万ドル貯めたプレイヤーが勝者になります。

地形種類は少ないです。特殊な地形として、タスマニア島とはフェリーで接続されています。
敷設コストは、平地・砂漠は1百万ドル、山地は2百万ドル、河川を超える場合は+2百万ドルとなります。

プレイ開始時に各プレイヤーは、50百万ドルを保有しており、プレイ開始前に最初の線路として所持金を消費して敷設することができます。

 

オーストラリアの地図です。漠然とした知識はあったものの主要都市の位置を意識したのは正直初めてです。各都市にはそれぞれ特産品が指定されています(一部、特産品がない都市もあります)。
東海岸側に大都市4都市が集中しており、さらに山地(ドット模様が▲印)が多数あるなどルートを設定するのが面倒そうです。さらに問題はパースがひとつだけ西海岸にあること、また他の中小都市についても海岸沿いにあることが多く、指定された産品によってルートをどう設定するか(大陸を突っきるのか・・)考え所が多いです。
またイベントカードで河川の氾濫や砂嵐の発生がでた際に、川をまたいだ路線や砂丘の中を走る路線は損害を受け、復旧するまで不通になるため、川を越える路線や砂丘を通った路線は注意が必要です。

プレイ

最初に50百万ドル分の初期費用が与えられ、3枚の積荷カードをランダムにドローします。
積荷カードには輸送の依頼が3件ずつ記載されています。それぞれの依頼には目的地と品物、さらに実施後に得られる報酬が記載されています*2

 

本作のカード類はモノクロ仕様。実用上は問題はないが、コンポーネントとしては地味目です。

 

最初の積荷カードを見てスタート地点と敷設する路線を決める

最初の積荷カード3枚をドローした後で、どの大都市をスタート点にするか(プレイヤーの列車のスタート点は大都市のうちいずれかを指定する)、また初期資産によりどこに最初の路線を設定するかを判断する必要があります。

今回ドローした積荷カードは写真の3枚。右側に寄せた2枚は目的地をパースで、輸送する特産品を産出する都市を確認するといずれも西海岸側(パースがある側)にある小都市であることが判明。マップ上で何度も確認し、敷設コストを抑えたルートを考えます。

 

オーストラリア大陸は広く距離が大きいため投資判断が難しい

ゲームスタート後、線路を敷設し最初の依頼の特産物を産する都市への路線を敷設し、列車を移動、その後、パースへ輸送をさせ報酬を得ます。

問題は次です。
3枚目、さらに次の依頼と、投資と回収をうまく続けることができるか・・。
最初の展開を西海岸側で行ったため、東海岸の都市が登場した途端に、そこまでの路線敷設の投資ができずに「詰む」のです。

結局ここで手札の積荷カードを全キャンセルして再度ドローし直すことにします。
次のドローにより、東海岸から北海岸の都市への輸送の目処がたったため息を継ぐことができそうでした。

ところが他プレイヤーの状況も青色吐息状態で、イベントカードで発生した洪水の被害をもろに受け、同時に3か所の橋が落ち、修復する必要が生じたり、また当方と同様に積荷カードの全交換が頻発します。

 

結局、オーストラリア大陸は一筋縄でいかないという結論の元、プレイの続行はあきらめました。

 

感想戦

このゲームには錯綜する依頼を組み合わせて都市間の移動を計画し、投資を行い路線を敷設し、地図に記入していくなど一連の段取りがあります。今回のプレイでは不幸な結末となりましたが、これらの要素は原初的な好奇心や快感を刺激し、鉄道ファンでなくてもワクワクする作品と言えます。

東海岸と西海岸、また北海岸との都市間の距離が大きく、東西や南北をまたぐような輸送の依頼は、特に初期の段階では難しいです。中間に存在する都市を少しずつ繋いでいくような依頼が段取りよく続くのであれば問題はありませんが、そうもうまくはいかないでしょう。
地形的な要素についても、災害の影響を受けやすい河川が多く、内陸部は砂漠が広がっていたり、東海岸の険しい地形も初期段階では致命的な「事故」になりやすそうです。ただこうした条件は逆にプレイの面白さを引き立てているとも言えます。

今回のプレイで用いたルールは第1版であったようですが、BGGのフォーラムを見るとその後、第2版にて改良が加えられているようです。ただ第2版ルールについては20年以上前の情報であり断片的かつ実在性など不確かです。

  • 積荷カードの追加(第1版の積荷カードでは、初期資金による投資では対応できない依頼の割合がシリーズ内でも最も高かった → 対策として、易しい依頼を追加した?)
  • プレイヤーの初期資金の増額(50百万円 → 60百万円)
  • ダーウィンをスタート点に指定できる(ダーウィンは北海岸側にある中都市だが、スタート時点のみ大都市と同様にスタート点とできる)
  • 東海岸の地形の改善

 

 

 

 

(終わり)

 

 

 

*1:1994 Origins Awards Best Modern-Day Boardgame Winner

*2:目安として報酬額は、運んでほしい品物を取り扱うことができる積載地と目的地との間が近距離であれば10百万ドル前後、中距離であれば20百万ドル前後、遠距離であれば3百万円以上の数値になっているようです