マーケットガーデン作戦を扱った往年の名作「HELL'S HIGHWAY」(VICTORY GAMES)を対戦しました。
ゲーム会で「Monty's Gamble」をしていたところ、ひょんなことからVictory Games社「Hell's Highway」を譲っていただけることになりました。
— yuishikani (@yuishikani1) 2021年5月7日
40年近く前の製品ながら箱に色褪せ等もなく、開封はすれど中身は新品同様のものでした。マーケットガーデン作戦ものの傑作とも聞く本作、今度挑戦します。 pic.twitter.com/ioLZRPn8GZ
「Hell's Highway」(VG)。作戦戦術級として緻密なシステムの元、作戦レベルでも戦術レベルでもある種の定石・戦法があるゲームでした。ユニット上の文字がASL以上に小さくて難渋。写真はアイントホーフェンに向けて渋滞中の英第30軍団とアルンヘムに殺到してこれまた渋滞中のドイツ軍。 #ウォーゲーム pic.twitter.com/C0IscwIp5Z
— yuishikani (@yuishikani1) 2021年6月7日
ルールの概要
ユニット=大隊規模
1ターン= 昼間 6時間、夜間 12時間
1ヘックス=1250メートル
各ユニットは「行軍モード」と「戦闘モード」を持つ。
機械化ユニットは道路上にいる場合のみ「行軍モード」に変換できるが、「行軍モード」の際の移動力は無制限と破格のボーナスを得ることができるようになっている。「移動モード」の際は部隊が縦列状態になっていることを表しており、「行軍モード」同士のユニットはスタックできない、追い越しができないなど、イギリス第30軍団がひきおこした大渋滞を表現するため、様々な制約が設けられている。
また「移動モード」のユニットは基本敵ユニットのZoCに進入できず、また戦闘を行うことができない。
「戦闘モード」は部隊が戦闘状態になり展開した状態になっていることを表す。当然、戦闘を行うことができるのだが、道路を用いた移動を行うことができなくなる。
このゲームで戦車ユニットは移動で進入できない地形が少なくなく、道路以外の手段(つまり「移動モード」になっているということになる)では進入できないということが多々生じる。戦車ユニットが、道路以外では進入することができないヘックスにいたタイミングで敵ユニットに隣接した場合、非常に苦しい状況になることになる。
ZoC(支配地域)は「強」「弱」「無」の3段階になっている。これは重装備の有無により区別され、周囲の敵ユニットに対する移動制約の程度が異なってくる
攻撃には「直接射撃」と「間接射撃」がある。「直接射撃」は近接した状態での攻撃を表し「間接射撃」より威力が高い一方、攻撃を行うユニットの周辺の防御側のユニットから攻撃に先立って「防御射撃」を受ける可能性がある。
一方の「間接射撃」は離れた位置からの砲撃や攻撃を表しており威力は落ちるが、「防御射撃」を受けないという利点がある。
各ターンにある移動フェイズの後、戦闘フェイズとなりここでは、「手番プレイヤーの射撃宣言」ー「非手番プレイヤーの防御射撃実施」ー「手番プレイヤーの射撃実施」という手順で処理が進む。
非手番プレイヤーの「防御射撃」は、手番プレイヤーの射撃を宣言したユニットにしか行うことができない。また手番プレイヤーは前の射撃の結果を見て次の射撃を行うユニットを選ぶことができるため、どの順番で射撃が行われ、非手番プレイヤーは防御射撃ができるユニットをどこまで温存するかといった駆け引きが発生する。
さらに手番プレイヤーは、本命の攻撃目標に対する射撃を行う前に、周囲にいる非手番プレイヤーのスタックなどに対して別のユニットにより、「間接射撃」を行い沈黙させてから、本命の攻撃を行う、といった部隊繰り回しのテクが必要となる(「間接射撃」を用いることにより、防御射撃を受けることがなくなる等)。
必要移動力、攻撃を受けた際の地形効果を表した地形効果表が複雑
地上ユニットは地形効果表上、兵種が12種類に分けられておりさらにそれぞれ戦闘モード時と行軍モード時に分かれ、移動関係については、進入できる地形、できない地形、また必要移動力が定められている。さらに敵ユニットに隣接している場合のZoC種類(「強」「弱」「無」)毎の許容される事、制約がある事がある。
攻撃を受けた場合の地形修正についても、上記の12種類の兵種が戦闘モードと移動モードに分けられ、さらに受けた攻撃種類が直接攻撃の場合、間接射撃の場合とで修正値が異なる。
戦闘解決はファイアパワー方式
各ユニットの防御力というパラメーターはないが、先の地形効果表の中で、兵種・地形・モードさらに攻撃種類によって細かく修正値が設定されているため、それらの設定値の中にユニットの特性にあわせた防御力のファクターは考慮されているということだろう。
さらには高地からの射撃・高地への射撃、防御陣地への射撃、相手が装甲ユニットは攻撃側の対戦車能力の有無、戦闘工兵による修正など細かな修正値が用意されている。
ここまで書いたように個々のルールは複雑ではないのだが、各ルールやパラメータが組み合わされて、実際のプレイの中で運用されるととたんに複雑に作用し合うというのがこのゲームの特徴。
マップ全景。イギリス第30軍団は、マップ左側から進入し右側(東)に突破を図る。
マップ左側の青い丸印から順に、アメリカ第101空挺師団が降下したアイントホーフェン、第82空挺師団が降下したナイメーヘン、さらにイギリス第1空挺師団が降下したアルンヘムとなる。
マップ内にある赤い実線が幹線道路。それ以外に黒い筋のようなのが2線級道路。地図上の南北(写真の上下方向)に何本も大河川・小河川・運河が走っており、それぞれ細かく橋梁が存在する。また一部の河川には渡し船(フェリー)が使える船着き場がある。橋梁にしても、船着き場にしても連合軍が接近するとドイツ軍は爆破を試みることができる。
(つづく)
ミリタリー・クラシックスの最新号(2021年6月号)の第2特集ではくしくも「マーケット・ガーデン作戦」がとりあげられている。個々の戦闘の詳細は多くはないが、1944年の西部戦線の状況から始まる概況、両軍の使用した兵器や人物などをフィーチャーした記事は入門版として面白い。
戦史の知識がないと何が起こっているのかさっぱりわからない、という話も聞く映画ですが、逆に詳しい人が見ると、実際のエピソードに基づいた場面がかなり描かれているらしいです。
アマプラで冒頭のノルマンディー作戦のエピソードだけを見てそのままになっていたら、いつの間にかアマプラ無料作から無くなっていて、マーケットガーデンまでたどりついていないです。