学研が発刊していたムック「【歴史群像】第二次欧州戦史シリーズ」約20巻が、メルカリでまとめて安価で出品されていたので購入しました。気が向いた巻から読んでいるのですが、この2冊が予想外に面白かったので紹介します。
「歴史群像」のムックというと、雑誌に掲載された膨大な記事からテーマごとにまとめたものという印象があるのですが*1、本書はムック用に新たに書き起こされた記事から構成されているようです。

構成と内容
1巻目は「萌芽・台頭編」として、成立から第二次世界大戦開戦後1942年頃までの戦歴、2巻目は「膨張・壊滅編」として1942年から滅亡までを扱っています。主要な関係者――政治家クラスから将官、士官、さらには傑出した活躍を行った兵士クラスのプロフィール、また編成された各SS師団・軍団の紹介は1・2巻に分けて記載されています。他にも主に軍装を中心とした装備品、戦争犯罪、特別行動隊、思想など、記事内容は多岐に渡ります。
ウォーゲーマーの視点から
ウォーゲーマーとしては、どうしても戦歴や部隊の来歴などに興味をそそられます。おそらくこの2冊の半分程度はそうした記述になっているのですが、一方で親衛隊という政治的な意味合いをもった軍事組織――他国には例を見ない組織という側面が非常に興味深いものでした。
特に注目した点:
- ナチス党内におけるSA(突撃隊)との関係 — 既存組織であったSAから、準軍事組織の主体がどのようにしてSS(親衛隊)に交替していったのか(SAは弱体化されたものの、組織としては終戦時まで残っている)
- 国防軍との関係 — 国家制度の公式部門として存在した国防軍に対し、徴兵された国民は国防軍に入隊していたにもかかわらず、SSは国防軍とどう共存したのか。他国では類を見ない「二重軍事組織」はどのように生まれ、扱われたのか*2
- ドイツ国内の警察組織とゲシュタポ(ドイツ国家秘密警察)との関係
本書の核心
本書の主題はあくまで「親衛隊」で、さらには「武装親衛隊」に主眼が置かれているのですが、ヒトラーが首相になってから国家指導の全権を掌握して独裁体制を整える中で、親衛隊が単なる軍事組織としてだけではなく、政治的な組織として国家警察を乗っ取り、さらには軍事組織として巨大化していった過程がありありと描かれています。
1943年以降、ドイツ軍の敗色が濃くなっていく過程でさまざまな武装親衛隊の組織が編成されていったことがわかり、最終的には国防軍すらも指揮系統の中に組み込んでいく様が紹介されます。
ウォーゲーマーとしては、ゲームのテーマとして扱われる各種作戦や戦役の中で彼らの活動を見る訳ですが、戦史を見ていく切り口として「武装親衛隊」という視点で描かれた本書の内容は新鮮で、非常に読み応えがありました。


