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歴史、ミリタリー、ウォーゲーム

「ミリタリークラシックス 70号」(イカロス出版)を読む

季刊のミリタリー雑誌「ミリタリークラシックス70号」です。

 

yuishika.hatenablog.com

 

第1特集は「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳

軍縮条約の関係でいったん潜水母艦として建造されその後、航空母艦に改造された艦艇。過去号で「隼鷹」「飛鷹」、「千歳」「千代田」と2隻ずつ特集されていたのでそろそろ来るかとは思っていましたが、鳳チームでまとめて3隻の登場です。

迫力のイラストに始まり、装備、艤装、建造経緯、運用と編成、艦上機運用、戦歴とあり、仮想戦記、関係人物、図解イラストページ等と続く本誌得意の手慣れたアプローチにより解き明かしていきます。他にも、細かな情報として、米軍からの評価、日本また他国における改造空母の状況等にも触れています。

他ではあまり見ることがない情報として、今回特に興味深かったのは次のような点です

  • 改装前の潜水母艦時代がどのような艦であったのか
  • 航空母艦への改造を前提として建造検討時からどのような考慮がされていたのか
  • 航空母艦改造後の各種装備(例えば、搭載機の着艦時に用いる装備や、噴進砲、電探等)
  • 小型空母ならではの艦上機運用、空地分離後の航空隊運用
  • 甲板上に艦橋等を持たない「平甲板型空母」の運用への影響(珊瑚海海戦での「祥鳳」の喪失につながったのではないかと示唆されている)
  • 唯一残った「龍鳳」の活動

第2特集はイタリア戦闘機

第2特集はイタリア空軍の主力の単座戦闘機3機種、マッキ社のMC.200/202/205です。
正直言うとイタリア機については全く知識がありません。本誌でもイタリア機を特集として取り上げるのは初めてではないかと思います。
今回の3機種、200と202/205とでは機体形状などを見てもかなり違うのですが、実際は同一の機体をベースにエンジンを空冷から液冷に換装させたシリーズとのことで、機体サイズはほぼ同一です。

  • MC200は空冷式エンジンを搭載、胴太の鈍重な印象。エンジン配置の関係で操縦席はやや後方に寄っている。操縦席を後ろに寄せた関係で視界が悪化したため、改善のため操縦席の高さを上げたら、機体形状がクラシカルな胴太なスタイルになったとのこと。
    機首エンジンのカバーになるカウリングの周囲を囲うように涙滴型の張り出しがボコボコと出ていて個人的には非常に気持ち悪い形状をしている(エンジン径を小さくするためにこのような形状にしたのだろうか?複雑な形状故、生産時の手間がかかりそう)。
    最大速度毎時500キロ。航続距離870キロ。武装12.7ミリ機銃2丁。1939年より本格生産開始。総生産機数約1100機。
  • MC202はMC200からエンジンをドイツ製の液冷エンジンに換装させた機体。液冷エンジン機らしくスマートなスタイルでMC.200とはかなり異なる。違い過ぎて、むしろ202/205のほうはドイツのメッサーシュミットBF109の親戚かと思うくらい。
    最大速度毎時600キロ。航続距離765キロ。武装12.7ミリ2丁、7.7ミリ2丁。1941年より本格生産開始。総生産機数約1100機。
  • MC205は202のエンジンを高性能なものに換装したもの。スタイルはほぼ202と区別がつかない。
    最大速度毎時650キロ。後続距離855キロ。武装20ミリ2門、12.7ミリ2丁。1942年待つより本格生産開始。総生産機数約260機。

スペックだけを見ると液冷エンジン機は高速ですが、全体には武装が貧弱に見えます。総生産機数等は他国の主力クラスの機体に比べると1桁少ないですね。
茶系統のベース等、イタリア空軍の迷彩塗装パターンは目新しいものがありました。他にも、開戦時のイタリア空軍戦闘序列、地中海から東部戦線まで広がったイタリア空軍の戦歴記事など読ませます。戦後も中東戦争で使われたりしたというエピソードもユニークですね。
他にも本誌の特集記事のパターンとして、著名パイロット、他国の同種機体との性能比較などもあります。

特集記事以外では

連載記事「海外から見た日本艦」では特型駆逐艦が取り上げられています。世界的に見ても近代的な艦隊型駆逐艦として同時代の全世界の駆逐艦設計を牽引し、大戦初期には英米駆逐艦では対向困難とされた、といった評価だそうです。まぁ対空能力・対潜能力は低いとされていますが。

四発攻撃機の「連山」、またASLで日本軍が非常にお世話になる「八九式重擲弾筒」などの記事も目を引きました。

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Advanced Squad Leader に登場する「八九式重擲弾筒」(Type 89 Heavy Granade Laucher)
50ミリ迫撃砲。射程が640メートルと実際の射程距離と同等に設定されている。またゲーム内の他国の迫撃砲と異なり隣接ヘックスにも射撃できるので、歩兵の支援火器としては有用に設定されている。
榴弾と煙幕弾を射撃可能。可搬性は重機関銃クラス。このクラスの迫撃砲は単体ではそれほどの火力ではないものの、射撃頻度があるため相手方からは”うざい”兵器になる。また日本軍は全体に火力が不足するため有力な支援火器となる。
日本軍の歩兵部隊の編成にあわせて、シナリオでの登場も重機関銃あたりよりもよく登場するため、日本軍プレイヤーはお世話になることが多い。

次号は「鍾馗」と「ISスターリン重戦車」が特集とのこと。

 

MILITARY CLASSICS (ミリタリー クラシックス) 2020年9月号
 
MILITARY CLASSICS (ミリタリー クラシックス) 2020年6月号