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ASL SK#4 PTOを対戦する(1) シナリオS69「Stovepipe Funeral」

お世話になっている千葉会で3つのシナリオをプレイしました。
インストはじめお相手いただきましたみなさまありがとうございました。

 

シナリオ69「Stovepipe Funeral」

■ 前段情報

1944年6月15日、サイパン島が舞台。

同日上陸したばかりのアメリ海兵隊第2海兵師団に対して行われた日本軍第43師団歩兵第136連隊と戦車第9連隊からなる諸兵科連合による逆襲を扱ったシナリオ。
97式中戦車チハ車2輌を有する日本軍が、上陸直後で戦備が整っていないアメリカ軍の拠点に迫る展開です。勝利条件はアメリカ軍拠点(おそらく連隊司令部ということでしょう)の占拠。 

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■ プレイ状況

当方は防御側のアメリカ軍を担当。日本軍の担当はyagi会長。
日本軍は、チハ車2輌に重擲弾筒(50ミリ迫撃砲)、中機関銃などを有する歩兵からなります。
アメリ海兵隊はMMG(中機関銃)2丁にバズーカ2門を有する歩兵部隊。
チハ車に直接対抗できる兵器はこのバズーカ砲のみです。機関銃についても日本兵を押しとどめるには位置を考慮する必要があります。
日本軍の進撃路になる2本の道路それぞれに対応できるように、MMGとバズーカ分隊をそれぞれ配置します。
が、あっさり配置は推測されて見破られてしまいました。
まぁユニット数も少ないし、地形も難しくないのでわかっちゃいますよね。

 

アメリカ軍が保有する対戦車装備は1944年式バズーカ。
最大射程は4ヘックスなのですが、命中率を考えると射っても3ヘックスまでが現実的です。バズーカの位置をおおよそ推測している日本軍はバズーカの射程にはいらないような位置まででチハ車を接近させます。歩兵は平地に位置するアメリカ軍からLOSが通っていない丘を駆けてきます。

 

火力と射程に優れるアメリカ軍分隊は迫る日本軍に対して遠距離からの迎撃を行い、着実に損害を与えます。
が、ここで、日本軍の重擲弾筒分隊アメリカ軍の射撃拠点となっていたキラースタックがいるヘックスに対して煙幕弾を撃ち込み、成功します。
アメリカ軍の目をつぶしたうえで、日本軍は「バンザイ突撃」を宣言します。丘のたもとまで来ていた複数ヘックスの日本軍が、喊声をあげて移動を始めます。
通常時、分隊は4移動力(指揮官と同時移動する場合は6移動力)のところバンザイ突撃になると倍の8移動力になり、しかも目標に指定されたヘックスに向かってまっすぐ向かってきます。平地だろうが構わず突っ込んでくるのです。
アメリカ軍も迎撃し、そこそこの損害を与えますが、数が多くまた精神力に優れる日本兵は倒れません。あっという間に間合いを詰められ、アメリカ軍一線は近接させられ破られます。後述するように、バンザイ突撃は、彼我間の間合いを詰めるのと前線への浸透に有効なのです。
前線は錯綜し手練の日本軍は米軍の射撃拠点を一時的に射撃不能な状態にしたところで、またもや「バンザイ突撃」を宣言、2度目のバンザイ突撃が終わったとき、勝利条件のアメリカ軍連隊司令部を守るは1個分隊のみ、生存している他分隊は遠く、ここでアメリカ軍は投了しました。

 

■ 感想戦

yagi会長からは、

  • 遅滞戦術のため、犠牲になる可能性が高いが、もっと前方に前衛を置いたほうがよかったのでは。進撃路が限定される以上、なにか配置されていれば止まらざるを得ない。特に丘の上に分隊を置いていれば、日本軍は単純に丘を駆けることができなくなったはず。
  • 防御側は手数を増やすために、スタックを崩して分散配置したほうがよかったのでは

の2点のアドバイスを受けました。
後者はバズーカ位置を隠すためにハイスタックになってしまったという面もあるのですが、もう少しSKでの隠蔽ルールを読んでおけばよかったかな、と思います。

それ以外にも教訓です

 

チハ車は攻撃力も弱い

バズーカの射程外から盛んに撃ちかけてきたチハ車ですが、アメリカ軍の後退路が遮断されるといった影響はあったものの、火力による直接的な損害はほとんどでませんでした。
この程度の脅威であれば、それほど神経質に戦車撃破を目指す必要もなかったかな。バズーカ分隊もむやみに右往左往せずに、バズーカは戦車除け程度に要所に配置している程度でよかったかと思いました

 

小型迫撃砲の使い勝手の良さよ

小型迫撃砲はMMG/HMG程度の重さで歩兵運搬ができ、ROFが3で、しかも煙幕弾が撃ててしまう。
今回も日本軍の重擲弾筒から放たれた煙幕弾によりアメリカ軍のキラースタックの射撃が妨害されたことが、バンザイ突撃のきっかけになるなど、歩兵を制圧できるまでの火力はないものの、いやらしい攻撃を仕掛けることができる意味で優秀な兵器と実感できました。(特に日本軍担当の場合は、支援火器が少ない中、非常に心強い兵器といえます)。

 

バンザイ突撃!

バンザイ突撃というと白兵戦を目指した前進という印象だったのですが、ASLのなかの描き方では、目標に向かっての距離を詰め、最後は突撃フェイズにより敵前線への浸透手段として有効である点です。
開豁地をちまちま隠れたり匍匐しながら前進するのではなく、一挙に詰めるのです。移動力もあがり、他ヘックス・スタックも同時に移動するため少なくとも防御側もどこに反撃するのか迷うかもしれません。

 

■ 後段情報

史実では、戦車第9連隊の攻撃は海兵隊隊司令部まで75ヤードのところまで迫るものの撃退されます(ここまでが本シナリオ部分)。
同連隊はその後も出撃を繰り返し、翌々17日深夜に行われた総攻撃で97式中戦車、95式軽戦車あわせて30両に歩兵を跨乗させたタンクデサントで夜襲に参加しますが、上陸部隊の反撃により壊滅します。この頃にはすでに対戦車砲や戦車なども揚陸し、組織的な反撃が可能になっていた。
日本軍側は参加する歩兵部隊の集結が予定より遅れたため、攻撃発動が10時間遅れ、その間にアメリカ軍側が防御を整えることができたのではないかといった話があるようです(先日届いたばかりの”ミリタリー・クラシックス”で読みました)。
Wikiによればさらに、戦車第9連隊単独での突入を早いタイミング(本シナリオで描かれた15日の夜~16日で実施していれば上陸軍を追い落とせた、という生き残った兵士の話も記載されていますが、でもまぁ、(ゲーム内で描かれた)チハ車の攻撃力から推察するに歩兵を伴わない戦車部隊での攻撃は限界がありますよね・・。