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歴史、ミリタリー、ウォーゲーム

OLD SCHOOL TACTICAL(Flyingpig Games)を対戦する(4) シナリオ9「Abbey」~ゲームに慣れてきたところでそろそろ戦術にも目を向けてみようか

恒例となった「OLD SCHOOL TACTICAL」対戦です。
別の記事に書いた通り(別途記事にします)、インパルスポイントの処理をはじめルールの明確化があったためそれらを取り入れたプレイになります。
とりあげたのはシナリオ9「Abbey」。マップ中央にある大きな石造の建物=修道院(Abbey)を守るアメリカ軍とドイツ軍の攻防を扱っています。
OST Vol.2は1944年西部戦線を舞台にしている事から考えるとドイツ軍が主導権を握るシナリオは珍しいです。

当方はドイツ軍、ynさんがアメリカ軍を担当します。

 

yuishika.hatenablog.com

シナリオ背景

1944年6月18日、フランス、モンテブール(Montebourg)。*1
アメリカ陸軍第4歩兵師団はユタ・ビーチ上陸後、6月18日コタンタン半島への進撃を開始、シェルブールへ向かう途上にある町が今回の舞台です。

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もしやと思い確認すると往年のタクテクス第2号付録の「シェルブール攻防戦」にもモンテブールは登場しています。*2

※ 追記(2020/4/30): いろいろノルマンディー上陸作戦関係のゲーム見ているとモンテブールが地図上で表記されているゲームは少なくないですね。
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Google Mapで調べると一番にこの写真が出てくる町のシンボルと思われる聖ヤコブ(サンジャック)教会。規模的には今回のマップ上の建物に似ているように思います。f:id:yuishika:20200317011522p:plain
もう少しネットを調べているとこういう写真も出てきました。説明文がフランス語で破壊された経緯は書かれていないので詳細不明ですが、1944年6月14日、モンテブールとあります。
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現在の写真の建物と形状が違う、戦時側の写真にはあるが現在の建物周辺の様子では街路樹があるようには見えない等、相違点はあるので定かではありませんがシナリオで描かれたような教会を巡る戦いが実際にあって戦禍により教会は崩壊、現在のものは再建された建物なのかもしれません。

 

シナリオ概要

マップ中央部にある大きな石造建物*3が勝利条件に関係するコントロールヘックスになります。
アメリカ軍は歩兵中心の11個分隊修道院周囲に配置されます。対戦車兵器はバズーカ砲が3門。分隊の一部と狙撃兵は隠蔽配置が認められています。
2ターン目にオープントップの駆逐戦車M-10が1両増援として駆けつけます。

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オープントップの駆逐戦車M-10です。砲塔内部の様子が覗えて良い写真なのですが、こうして見るとこれで戦車戦に行ってこいと言われるのは少々遠慮したい感じです。ひょいと顔をあげると吹きさらし状態だし、爆風や上からの破片などに無防備ではないか!

 

対するドイツ軍第91歩兵師団。コタンタン半島に配備されていた部隊です。
マップ南端より侵入します*4。8個分隊、これに150ミリ榴弾砲搭載のブルムベア2両が加わります。さらには3ターン目に歩兵分隊3個、さらに4ターン目にハーフトラックSdKfz251に75ミリ対戦車砲Pak40を搭載したSdKfz251/22が1両加わります。合計11個分隊+武装車輌3両とかなり豪勢です。

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150ミリ榴弾砲を搭載したブルムベアです。ブルムベアという名称自体はアメリカ軍による名称のようですが、往年の「スコードリーダー」にも、並み居るドイツ戦車をすっ飛ばして登場していました(「スコードリーダー」1作目に登場していたドイツ軍戦闘車両は、Ⅳ号戦車F2型とⅢ号突撃砲G型とコレだったような)。こうしてOSTにも収録されていることからすると、連合軍側からすると印象深い車両だったのかもしれません。当方もブルムベアを知ったのは「スコードリーダー」からでした。

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傑作ハーフトラックSdKfz251に75ミリ対戦車砲Pak40(前シナリオでもお世話になりました)を搭載したという派生車両SdKfz251/22です。Wikiによると、”あらゆる車両にPak40を搭載せよ”という総統命令により開発された車両とのことです。史実での登場時期は1944年12月ということなので、実際にはこのシナリオの時期には間に合っていないということですね。登場時期が遅いためかネットで探してもあまり写真が出てこないです(プラモデルの写真ばかりあがってくる)。

 

勝利条件は修道院内のコントロールヘックスを専有していたことによって得られるポイントと、相手に与えた損害を累積したポイントで比較します。
ターン数は9。

 

ドイツ軍の作戦

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なんといっても150ミリ榴弾砲を搭載したブルムベア2両が強力です。
150ミリ砲の対歩兵火力は7火力で、歩兵分隊2個弱分相当の火力にあたります。*5ブルムベアの防御はⅣ号戦車相当ですので防御のほうは安心です。動く砲台として使えます。アメリカ軍のバズーカの射程は4ヘックスなので4ヘックス以内に接近しなければ気にすることはありません。恐るるはM-10だけです。ドイツ軍の作戦はブルムベア2両による力押し作戦です。

一方この時点で危惧していたのがターン数の短さです。
徒歩ユニットは道路移動が使えずASLでいうところの”急速歩移動”*6といった移動力を増加させる手段がないためマップ南端から進入した歩兵分隊が射撃位置につくまで3~4ターン要します。また毎ターン、インパルスポイントの範囲でしかアクションを行わせることができないことを考えると、全ての徒歩ユニットがそれなりの攻撃位置に移動できるまでそれ以上のターン数が必要になることも考えられます。

初期兵力8個分隊のうちの2個を占める工兵分隊は装備の問題からか、さらに足が遅く3移動力しかありません。煙幕を張れる、爆薬を使える、白兵戦が強いといったこのシナリオ向きの機能を持っているにもかかわらず、鈍足なユニットは展開が後回しにされがちですので問題です。

OSTに戦車と歩兵を同時に移動させて攻撃するという”協同攻撃”(Rolling Cover)*7という概念があるので、それの利用も考えたのですが、移動力の差でブルムベア側が歩兵分隊に移動力をあわせる必要があるため取りやめ。
後から考えるとブルムベアに歩兵を跨乗させて前線に送り込むということもできたなぁと。

プレイ

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初期配置はアメリカ軍。狙撃兵と2個分隊は隠匿配置が認められていますが、それ以外のユニットはオープン状態です。またASLと異なり、相手のスタックの中身を見ることは禁じられていませんので、隠匿配置されたユニットを除けば、兵力配置を確認することができます。*8f:id:yuishika:20200330103718j:plain
アメリカ軍初期配置時点(プレイ後にVASLにて再現したものですので実プレイ時と異なるところがあるかもしれません)。ドイツ軍はマップ下からはいってきます。

第1ターン

インパルスポイントはシナリオの指定により、アメリカ軍2D+3、ドイツ軍3D。*9
そのターンの中での活動を行える数値になるためインパルスポイントは重要です。

第1ターンのインパルスポイントはアメリカ軍9、ドイツ軍4といきなりドイツ軍がスカを出します。時間との戦いのはずなのにこれでは先行きが危ぶまれます。
盤上にドイツ軍が登場する前のタイミングではアメリカ軍は何もすることはありません。アメリカ軍、仕方なく冒頭から”パス”が連続します。
ドイツ軍は少ないポイントを使い、2台のブルムベアを1台ずつ移動、続いて左翼で足が遅い工兵1個分隊を前進、右翼のブルムベアは停止位置からアメリカ軍の前衛がいる建物に向け発砲します。(これで4アクションとなりこのターン終了です)。

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進入したブルムベアが、アメリカ軍の前衛陣地を攻撃。このゲームでは榴弾(HE弾)攻撃は、射程内で自動的に命中する仕様のため、攻撃する側からすると目標から離れていても安心です。こんな距離から撃たれるとバズーカ程度では手がでないです。このプレイを通して2台のブルムベアは絶えず攻撃を行うなど大活躍でした。

第2ターン

2ターン目、ドイツ軍がイニシアティブまたインパルスポイントとも獲り、本格的に侵攻開始します。
このターンよりアメリカ軍にM-10が登場します。
対戦車戦闘ではブルムベアのほうが不利ですのでブルムベアの活動はM-10のアクションをうかがいながらになります。

1ターン目に登場できなかった歩兵分隊を盤上に登場させつつ、ブルムベアは修道院の手前の林や建物にこもるアメリカ軍に砲撃します。
修道院手前の陣地にこもるアメリカ軍は陣地に固執せずドイツ軍歩兵が集合する前に段階的に撤収し、修道院側に後退していきます。

第3ターン以降

ドイツ軍に3個分隊の増援。マップ右端から進入させます。OSTでは1ヘックス最大2分隊までスタックできますので3個分隊はけっこう強力な増援です。
ブルムベアはアメリカ軍陣地から距離をとりつつ継続的に攻撃できる位置に移動し、修道院やその周辺のアメリカ軍に対して攻撃をはじめます。

 

アメリカ軍は修道院のヘックスやその周辺にいくつかのスタックを置き、接近してくるドイツ歩兵に痛撃を与えます。ドイツ軍としてはブルムベアである程度の損害を与えた上で、歩兵分隊スタックに接近させるという方法を取りたかったのですが、リズムは作れないまま。残り2ターンとなったところで、修道院にとりつけてもいないという状態だったため、ドイツ軍投了で終了しました。 

感想戦

しっかり準備をしてきたつもりだった割には反省点が多いプレイでした。

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ブルムベアが建物に対して射撃を行うと、「建物の崩壊」チェックを行う必要があり、1/6の確率で建物が廃墟になります。廃墟になったヘックスにいたユニットは崩壊による損害をチェックするのですが、この崩壊チェックの手順をほとんどすっ飛ばしていました。建物の崩壊にともなう損害チェックは大した損害にはならないと思われますが、それでも防御拠点がじょじょに廃墟になっていくのはやっておくべきだったなと思います。
逆にアメリカ軍側も修道院やその周辺の一部の石造建物は複数階建物だったので、LOSや戦闘修正において優位にあったのですが適用を漏らしていました。
ブルムベアの車体機銃の射撃も有効につかえていませんでした。これはルールの理解不足です。

アメリカ軍側もM-10が奥まった位置に居続けていたため、ブルムベアに対してあまり脅威にならなかったなという印象です。ただしこの点は、アメリカ軍にとってM-10は唯一の対戦車戦闘ができる兵器であったため、喪失したことを考えると前面に出しにくかっったのかもしれません。
同じ理由でドイツ軍もハーフトラック上の75ミリ砲をうまく活用できませんでした。建物の中の歩兵に対しては大した威力にならないため、インパルスポイントの使いみちとしては優先度は落ちてしまうという事情ですね。

プレイ全体ではアメリカ軍が段階的に防御線を後退させていき、最終的には勝利条件に関係する修道院の建物とその周辺に立てこもり、それらの防御陣地に対してドイツ軍は攻めあぐねてしまいました。

歩兵分隊のスタックを射撃位置への占位を狙って接近させていったのですが、移動途中で開豁地など身をさらすタイミングで的確な射撃が行われ細かい損害を重ねてしまいました。

せっかくのブルムベアも有効打にはなりえず単調な攻撃に終始してしまいました。歩兵分隊ももっと異なるアプローチができたのではないかという印象です。

一方のアメリカ軍は士気を落とした状態である、”動揺(Shaken)”や”士気阻喪(Broken)”を起こしたユニットをこまめに回復を図っていたのが印象的です。

全体には、歴戦の戦術級プレイヤーのynさんの遅滞戦術に、単調な攻めに終始したドイツ軍が攻めあぐねてしまったといった印象です。

 

今日の教訓:
ルールにも慣れてきたところで、そろそろ作戦や戦術にも目を向けてみようか

 

 

 

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*1:Google Map上の日本語表記はモンテブール、ネット上の情報によってはモントブールとしているものもあります。

*2:マップのやや右側の南側盤端に一番近い場所に位置する町として登場します

*3:ASL風に石造と書いていますが、OSTの中の正確な用語としてはHeavy Structureです。

*4:史実からするとここは北端から登場するのが筋でしょうが、このゲームの場合、マップの東西南北の方位は最初から固定なので仕方ないですね。

*5:OSTにおける火砲の対歩兵戦での火力は正直弱いです。ASL(アドバンスドスコードリーダー)で150ミリ砲と言えばかなり強力な砲なのですが、OSTではたいしたことはありません。感覚的にはASLの砲の半分くらいの威力というイメージです。OSTでは榴弾による攻撃は命中判定が不要で自動的に命中になる分、威力を弱めているということかもしれませんが、ブルムベアの主砲ともなると命中判定を行って、命中すると歓声をあげるといった演出のほうが快感だったりしたのではないかなと考えます。

*6:ASLにおける徒歩移動のユニットが次のターン疲弊することをペナルティに通常の1.5倍の距離を移動できる移動方法。戦線から離れた場所での移動などで多用される。

*7:”協同攻撃”を宣言し、装甲車両と徒歩の歩兵ユニットを同時移動を行うルール。歩兵は装甲車両により+1の防御効果を得る

*8:ASLでもスターターキットでは隠匿配置はできませんので、プレイ感覚はスターターキットに近いですね。裸になっている気分。ただし今回は攻撃側ですのでそれほどのヒリヒリ感はありませんでした。

*9:最初ダイスの数だけでドイツ軍有利かと思ったのですがほぼ同一ですね。最低値がアメリカ軍5である一方、ドイツ軍は3なのでその点ではアメリカ軍の方が良いかもしれない。