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歴史、ミリタリー、ウォーゲーム/歴史ゲーム/ボードゲーム

ASL Starter Kit Expansion Pack #2 (MMP)入手する

アドバンスド・スコードリーダー・スターターキット(以降、ASLSK)の追加シナリオ集である「Advanced Squad Leader Starter Kit Expansion Pack #2」が到着しました。

 

昨年発売された太平洋戦域を題材にしたASLSKシリーズの4作目(以降、ASLSK #4)の追加シナリオ集になります。
今回は、追加された8シナリオのうち7シナリオまでが1942年までの太平洋戦争前半まで、もっと言えばガダルカナル以前の戦いを扱っているため、ガダルカナル戦以降でほぼすべて日本軍対アメリカ軍という設定ばかりであったASLSK #4のシナリオとは雰囲気がかなり変わっています。シナリオ設定(マップ、登場ユニット、設定、・・)によってここまで雰囲気を変えることができるというのもASLの素晴らしいところです。

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コンポーネント

  • 追加マップ2枚(マップk、マップl)
  • 地形オーバーレイ 1枚
  • カウンター(252枚)
  • 追加ルール/兵器データ 4ページ分
  • 戦闘結果表等のチャート類 4ページ分
  • シナリオ8個

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追加カウンター/中国軍ルール

当方は「Gun-Ho」も「Rising Sun」*1も持ってないので中国軍は初めてです。

中国軍(中国国民党軍)ユニットはドイツ軍ユニットの色に似た青地に、ソ連のユニットに似た黄土色で縁取りがしてあります。
一部のエリート部隊は自動小銃装備のようで日本軍の一線級分隊やエリート分隊よりも火力に勝れるなど性能が良いです。ただし通常の一線級部隊は日本の一線級部隊よりも劣ります。
なお今回は登場しませんが、中国共産党軍はソ連軍のパルチザンユニットを用いるとされています。

中国軍のためのルールがいくつか用意されています。

  • 人海戦術を発動できます
  • 決死隊を指定できます
    初期配置の10%のユニットを秘密裏に指定しておき、敵が一定距離内にはいった際に自発的に狂暴化できる

マップ

今回追加マップが2枚ついています。
1枚は市街地マップ。もう1枚は平坦な郊外を表したマップです。
市街地マップにしろ野外マップにしろデザインにおいて太平洋戦域の特徴を表すようなものではなく、従来からのマップと同様に汎用的なデザインになっています。

シナリオ

S74 IRON FIST

第二次上海事変(1937) 中国国民党日本海軍特別陸戦隊

第二次上海事変初期、まだ陸軍部隊は派兵されず海軍陸戦隊のみで日本人街を守備していた時期を扱うシナリオです。
ドイツの軍事顧問により訓練された中国軍エリート部隊が日本軍の前線に浸透戦術を用いて攻撃してきます。日本軍は中央の建物を守り切れるか。

海軍陸戦隊は、通常の日本軍ユニットを用います。
日本軍側に92式重装甲車が登場します。武装は砲塔に軽機関銃クラス、車体に重機関銃クラスの機銃を装備しています。ただ武装軽機関銃クラスで装甲は無きに等しいです。特別陸戦隊はエリート分隊です。
中国軍も一部はエリート分隊です。分隊数では中国側が日本の2.5倍います。
今回付属の市街地マップとSK #2に付属のマップから1.5枚分のエリアを用います。

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S75  THEY ALWAYS RETURNED

第二次上海事変(1937)。中国国民党日本陸軍

第二次上海事変に陸軍が本格的に部隊を送り込んだ時期を扱います。
今度は中国側にヴィッカースMk.6という軽戦車が登場します。47ミリ砲搭載。
日本軍は例によって爆薬以外に対戦車兵器を保有していませんが、砲兵器としてホ式十三粍高射機関砲(12.7ミリクラスの連装機関砲です)を持っています。ただしこれは特別ルールで登場する中国軍側の対地航空支援に対する防御兵器になりますので、日本軍は対戦車攻撃手段のメインは爆弾を用いた近接攻撃になります。
今回付属の市街地マップを使用します。
市街地マップの半分だけを使い、ユニット数も多いシナリオですのでかなりの市街戦になるのではという印象です。

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S76 A LESS PEACEFUL CHRISTMAS

フィリピン戦(1941)フィリピン軍台湾軍日本軍

日本軍の上陸後4日目の戦闘です。フィリピン軍は有効な防御線を張れないまま後退していますが、そこへ日本軍の先遣部隊が攻撃を開始してきます。日本軍の攻撃に対処しながら部隊を脱出させるというフィリピン軍の撤退戦を描いたシナリオです。

フィリピン軍はもともとアメリカ軍ユニットの中の初期アメリカ軍とされているユニット群を使用します。
今回付属の野外マップの半分を利用。マップも広くなく、双方とも歩兵とその支援火器のみが登場しますので、歩兵ルールだけでプレイできます。
今回製品付属の野外マップを使用します。

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S77 DUTCH TRUCK

ジャワ島の戦い(1942)日本軍対オランダ軍(植民地部隊)

ジャワ島に上陸した日本軍に対して、オランダ軍は手持ちの戦車・装甲車からなる部隊を持って反撃をしてきます。日本軍の対戦車戦闘手段は、日本軍の戦記を読むと必ず登場する、連隊砲(山砲)と大隊砲(歩兵砲)です。
オランダ軍は日本軍の防御線を突破して進撃を続けることができるか?

オランダ側に装甲兵器として軽戦車・装甲車それぞれ複数台ずつ登場します。

ヴィッカース軽戦車1936年式(VCL M1936)。中機関銃程度の機銃装備、装甲は無きに等しい車輌です。

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Marmon Herrington CTLS-4 (Combat Tank Light Series)
機銃装備(MMGクラス)、装甲は若干。

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Marmon Herrington Mk.3 装甲車は重機関銃相当の火力を持っていますので、オランダ軍3車輌の中では最も火力が大きいです。さらに装輪車輌のため移動力も大きいので、対戦車兵器を持たない日本軍には結構厄介な印象があります。

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日本軍側は砲兵器として94式37粍速射砲、41年式山砲(75ミリ)が登場します。

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ASKSK #4の野外マップ1枚と今回付属の野外マップ1枚を用いますが、プレイに使うのはその中のハーフマップ程度の広さになります。

S78 NO JAPANESE WITHIN 100 MILES

ジャワ島(1942)オーストラリア軍日本陸軍
オーストラリア軍はイギリス軍ユニットを用います。
歩兵同士の戦闘のため、歩兵ルールだけでプレイできます。
分隊数の比較では日本軍がオーストラリアの1.5倍近く持っています。
ASLSK #4付属の野外マップ1枚を使用します。

S79 POLITICS, LOGISTICS, AND PRIDE

ビルマ(1942)中国国民党軍対日本軍。
日本軍侵攻時(1942年)のビルマに中国軍?と思ったのですが、ビルマ戦初期にはビルマ中国遠征軍というのがいたようです。しかもその総指揮官はアメリカ陸軍から出しています。
マップ中央部に配置された飛行場/滑走路をめぐる戦いになります。
日本軍は火炎放射器と爆薬がある他は、通常の歩兵装備(若干の機関銃、重擲弾筒)です。中国軍には75ミリの榴弾砲が1門有る以外は歩兵部隊です。
ASKSK #4付属の野外マップ1枚を使用します。

S80 SPRING AND SUMMER

ニューギニア(1942)オーストラリア軍対日本軍。
ジャングル戦です。
隠匿配置されるオーストラリア軍に対し、数に勝る日本軍が迫る展開の模様。
日本軍にはお馴染み92式歩兵砲(大隊砲、70ミリ)がありますが、ジャングル戦で有効に使えるでしょうか?可搬性に優れる重擲弾筒のほうがまだ使い手があるような印象はあります。
ASLSK #4付属のジャングルマップを使用します(さすがニューギニア

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S81 NOT A MAN AFRAID

インド(1944)イギリス軍対日本軍。
インパール作戦時の日本軍の最大進出点のあたりの戦いです。
両軍とも歩兵同士の戦いなので、歩兵ルールだけでプレイ可能です。
ASLSK #4付属の野外マップ1枚と今回同梱の野外マップ1枚を使用します。

 

先に書いた通り太平洋戦域の前半戦までの戦いが多い印象で、車輌なども見慣れない初期の軽戦車・装甲車が多いため興味深いです。
歩兵同士の戦闘を扱うシナリオも多いため、ゲーム会などでの対戦にも使いやすいという印象を受けました。ぜひとも対戦に活用したいところです。

 

*1:「Gun-Ho」はアバロンヒル社がASLのコアモジュールとしてかつて販売していた作品。中国軍ユニットがはいっていたという。「Rising Sun」はアバロンヒル社からASLの権利を引き継いだMMP社が太平洋戦域を題材にして販売したASLのコアモジュールのひとつ。これにも中国軍ユニットがあった模様。「Rising Sun」は現在絶版中で再販が期待される製品。