Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム

大河ドラマ「太平記」23話「凱旋」:共通の敵がいなくなった途端に新たな波乱の兆しを見せる・・

前回のあらすじ

挙兵からわずか半月弱で急速に勢力を得た新田義貞根津甚八)率いる謀叛軍は勢いのまま北条氏の本拠地鎌倉を囲んだ。

執権赤橋守時勝野洋)は裏切り者の汚名を濯ぐため死を決した突撃を繰り返し、最後は自害する。北条家内では得宗北条高時片岡鶴太郎)が鎌倉脱出を拒否したため、北条一族は鎌倉に残り死守することを決める。

北条軍の必死の抵抗にせめあぐねる中、新田義貞は海にせり出した稲村ヶ崎を、越える作戦を行う。新田軍が夜半に一斉攻撃を掛けた中、潮が引いたタイミングで自ら率いた一隊は岬を越え、鎌倉市街に突入した。
市街地での戦いは乱戦となり、浮足立った北条軍は追い詰められていった。

最期を悟った北条一族は東勝寺の広間に集まる。
高時が一人、舞う中、戦闘で深手を負っていた長崎高資西岡徳馬)が自害する。
やがて火が迫り、外で戦いの喚声が聞こえるようになる中、高時が腹を切り、愛妾顕子(小田茜)が後に続いた。あとは広間に集まっていた武将、局、女房たちが次々と自害していく。金沢貞顕児玉清)は嫡子貞将に脇差で胸を刺させることで果てた。ひととおり人々が折り伏したことを見届けた後で、長崎円喜フランキー堺)は自ら腹を切り、最期に自分の首に刃をあてた。二百数十人が死を選んだという。ここに北条一族は滅亡した。

鎌倉と北条一族の滅亡を知らせる右馬介の手紙を読んだ足利高氏真田広之)は、勝利よりもこれからのことに思いを馳せていた。

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後醍醐帝の凱旋

六波羅陥落の報せを受け伯耆国船上山から出た後醍醐帝(片岡仁左衛門)は、5月末、摂津国福厳寺に到着したところで鎌倉幕府と北条一族の滅亡の報せを受ける。

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自然と笑みが漏れやがて哄笑する後醍醐帝。

「新しき世じゃ。・・隠岐の1年、無駄ではなかった。」

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後醍醐帝の還幸の列には道すがら、宮方として戦った御家人・豪族達が合流していく。西宮では楠木正成武田鉄矢)が自軍を率いて駆けつけていた。

「正成、近う」
輿の御簾の奥から後醍醐帝が声をかける。
刀を杖のようにつきながら片足を引き摺り歩く正成。
「正成か、笠置以来じゃのう」懐かしげに声をかける帝に正成が答える
「・・半年余りの囲みが解けたのが20日前。とるものもとりあえず馳せ参じ候・・」
言上を述べる正成。
負けぬ戦が実ったのぅ?・・・そちの言葉、忘れた事はない。・・・そちなくば、今日の朕はあるまい
帝は上機嫌に気さくに声を掛ける。
「かたじけなきお言葉。身に余る光栄に存じ奉りまする。」
「・・戦はもうよい。都に戻れば、公家一統の新しい世じゃ。・・いずれ恩賞は望みに任す。・・正成の軍は列の先に立ち、都入りの先陣を務めよ。」
後醍醐帝は、きらびやかさの欠片もない傷だらけの装束の楠木正成とその部下達に、自ら京に戻る行列の先頭を担わせることで最高の名誉を与えた。

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京・東寺では足利高氏真田広之)と佐々木道誉陣内孝則)が陣幕を引いて、帝を迎え入れる準備中。

「・・あれから色々と迷うたからのぅ。ははは」といつもの高笑いを見せる道誉。
道誉が”あれから”というのは、隠岐島流しになった後醍醐帝を佐々木道誉が護衛した件。道誉は後醍醐帝に色々と心尽くしを行い、最後には後醍醐帝から「公家に生まれ直せ」とまで言われた。罪人であるはずの帝に対する厚遇の件は長崎円喜・高資父子の耳にも入り、道誉は高資に怒鳴られ脅されることとなった。最後は後醍醐帝暗殺まで使嗾された。

御辺だけではない、みんな迷うた。迷うた結果がこれじゃ。
高氏の表情もいつになく晴れ晴れとしている。

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武士の束ね

東寺で引見する後醍醐帝。
後醍醐帝の御座の前で名乗る高氏。
「・・その方が足利高氏か。」
「はっ」おそるおそる帝を仰ぎ見る高氏
六波羅攻め、真に見事であった。」
「都はすでに静謐。帝を平らかにお迎えすべく、万端整えてござりまする。何事もご懸念無き様。」
「長い旅であった。都へ戻るが楽しみぞ。この後も頼りに思うぞ。」
「身に余るお言葉かたじけのう存じたてまつりまする」
そちが動けば、国中の武士が動くそうじゃのう?
「はっ・・。それがしにいかほどの力がござりましょうや。さりながら、北条殿に代わる新しい世を待ち望んでいた者には、すこしく響いたやも知れませぬ。」
「新しい世とな?」
「帝のまつりごとをお助けし、帝の元に作る世でござりまする。」
じっと高氏を見つめる後醍醐帝だったが、高氏の傍らに佐々木道誉が居るのを見つけると声を掛ける。
「そこは佐々木か?」
「はっ、佐渡の判官にござりまする」いつもの芝居じみた大仰な動作で伏する道誉。
帝も笑いながら、「まだ公家には生まれ直しておらぬようじゃのう?」と訊ねる。
「そこも六波羅攻めには功をあげたか?」
足利勢と共に駆け回っていた、と答える道誉に、帝は「似合わぬことよのぅ」と笑う。

足利治部太夫、武士の束ねがその方に任せる」後醍醐帝は最後にそう告げた。

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二条河原

隠れ住んでいた伊賀から、北条氏の追手を逃れるため、一色右馬介の勧めにより三河に避難。だがその三河一色村も戦火で焼かれたと藤夜叉(宮沢りえ)と不知哉丸は京に出ていた。二条河原で琵琶湖で取れた鰻を商っていた。

河原の住人、河原者ということなので当時多く発生していた流民となっていたのであろう。伊賀を逃れたのは、足利高氏の縁故者ということで北条家の束縛から逃れるためであったが、直接元弘の乱に関係なさそうな三河にも戦火が及んでいたとなると、単に鎌倉や京都だけが戦場ではなく、全国規模で戦が起こっていたということなのかもしれない。

一刀差しで烏帽子に直垂姿の武士に不知哉丸がぶつかる。先に気づいたのは不知哉丸の方、声をかけられた”石”(柳葉敏郎)は驚いて、不知哉丸に案内されるまま藤夜叉と再会した。
武士姿は、楠木正季の手の者となっているからだと説明する”石”。
”石”は藤夜叉に対して、かつて日野俊基からもらった「土地を譲る」という書付けを元に和泉に移り住んでそこで暮らそう、と誘う。
「この土地さえ手に入れば、苦労しなくて済む」

かつて元弘の乱の初期において、”石”が反幕府の活動家であった日野俊基を助けた際、日野俊基から、この土地をお前にやろうと書付けをもらっていたもの。”石”はその書付けを、後生大事に懐に持ったまま、隠岐の帝脱出の手伝いや、赤坂上の籠城戦を戦っていたらしい。

最初の頃に比べると宮沢りえ柳葉敏郎も上手になったものだ。ドラマとして見れるようになった。最初はひどかったからなぁ・・・。

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功のあった公家・武家が集まった宴に、大塔宮護良親王だけは参加していなかった。

高氏の座の元に千種忠顕本木雅弘)が酒を持って現れる。
「まこと、足利殿は強い。西国の武士とは戦ぶりが違うておる。」
漏れ聞こえた千種忠顕の言葉に顔をしかめる西国の武士代表の赤松則村(渡辺哲)と名和長年小松方正)。

阿野廉子原田美枝子)の元には佐々木道誉が張り付いていた。
「判官殿には騙されまいぞ」と阿野廉子
「これはしたり」と笑うのは道誉。こうした社交性では道誉の右に出るものはいない。

奥から姿を表す勾当内侍宮崎萬純)。
「さても美しきお方よのぅ」と早速に目をつける道誉。
「これ、内侍に手出しはなりませぬぞ。あれは思いを寄せても詮無き女性じゃ。以前より西園寺殿やら近衛の中将やらのきらめく殿方に想いを寄せられても一向に知らぬ顔。嫁に行かぬのか、と訊けば、行かぬ、と申す。殿方はまるで木のようなおなごじゃ、とお嘆きじゃ・・」阿野廉子が言う。

そうこうする中、高氏の元、楠木正成が現れる。
「ご挨拶が遅れ申した。それがし楠木正成でござりまする。」
足利高氏にござりまする。」
互いに杯を交わす。
「それがし、2年前伊賀を通りました時、白拍子一座に会い申した。その折、ひとつ舞を覚え申した。お近づきのしるしに披露いたそう。」
酔ったのか高氏。立ち上がるとかの艶笑譚の夜這いの踊りも舞始める。
「足利殿が、珍しや、はやせはやせ」と道誉がすかさず声をあげる。

佐々木道誉という男、こういう周囲の空気を読むことに長けている。
ここはいまや盟友といってよい高氏のため、場を盛り上げようとしたといったところだろう。

〽冠者は妻設けに来にけるや 冠者は妻設けに来にけるや
〽構えて二夜は寝にけるは・・構えて二夜は寝にけるは・・
〽三夜という夜の真夜中に、袴どりして逃げけるわ・・

座が盛り上がる中、一人退出する男、北畠親房近藤正臣)。

 

その後、庭で月を見上げながら語り合う高氏と正成。
「都の月は良いものでござるな。」
「ああ、ほんと雲ひとつなく、都の月はいつもかくありたいもの」
「楠木殿に礼を申さねばならぬと思うておりました。」
「なんと申される。それがしのほうこそ。」
あの折、それがしは迷うておりました。その迷いを断ち切ってくれたのが、御辺の文でござった。
大事なもののために死するは、負けとは申さぬものなり。
照れたようにひげを触る正成。
「それがしは左様な文は書きませぬぞ。そは車引きの文でござりましょう。」
「いや、あ、左様でござった。・・・我らにとって、戦は勝たねばならぬものでござった。戦とはそのようなものだ、と教わってまいった。」
御辺はそれがしの如き田舎武士とは背負うておるものが違いまするからのう。足利殿がいついかに動くか、国中の武士は、耳をそばだて目を注いでおる。辛い立場にござりましょう。迷うで当たり前でござりまする。」
「されどようやく、楠木殿と同じ月を同じ場所で眺めることがかのうた。車引き殿に感謝せねばならぬ」
足利殿は、まことに無垢なお方じゃ。帝はほんに力強い味方を得たものようのぅ。都の月がいつまでも陰らぬように祈りましょうぞ。」
陰りまするか?
陰らせてはなりますまい。のぅ?

当世最強の武将二人の会話は含蓄があってそのやり取りは注目であった。
二人ともなにかしらの予感めいたものをすでに感じていたのか、月の陰りが語られる。

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密談

宴を先に抜け帰宅したのは北畠親房
玄関では嫡子北畠顕家後藤久美子)が出迎え、宴を欠席していた宮将軍こと護良親王堤大二郎)が来訪している旨を伝える。

「宴はいかがであった?」親王が訊ねる。
「いたって退屈なものにござりまする。無駄な時をすごしてまいりました。」
「そちに宴はあわんと見るなぁ。」
「いえいえ、古の如き、趣のあるものであれば何事のこともござりませぬが、卑しき武士と成り上がりの公家どもがあさましき浮かれようには胸糞が悪うなりまする。

 

なぜ高氏が六波羅にいる?なぜ彼奴に御教書なるものを出すことが許されるのか?
護良親王の怒りの矛先は高氏に向いている。
「不思議なことでござりまするなぁ。誰が認めたものでもござりませぬに。」親房も相槌を打つ。

御教書(みぎょうしょ)とは三位以上の位のものが出した通達文・命令など。
六波羅探題の陥落から1ヶ月近くたつ中、政治的な空白を出さないためにも、足利高氏六波羅に居を構え、御教書を発信していたのだろう。護良親王はそれを誰が許したのか、と怒っている。

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「かの者は天下の形成を見るに敏なるものを備えておるに思われます。なによりもまず六波羅を抑えたるは、兵法家としてもなかなかのものでござりまする。」
と親房。さげずんではいるものの、高氏の力量は認めている様子。
「は、しょせん、東夷(あずまえびす)であろうが」
「さりながら、楠木正成などとはいささか器量が違うようにござりまする。それが武家の頭領としての器量かと、公家の間にも日増しに声望が高まってござりまする。
「ほーぅ、ずいぶんと褒めるものよの。顕家、そなたの父はいつから高氏贔屓になった?」
「いいえ、父は思うたままを申したまででござりまする。」親王に話を振られて答える顕家。
「では、そなたはどう思うた?」
「道理をわきまえたもののように思われまする。」

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「下山なさりませ。心あるものは皆、宮のご上洛をお待ち申し上げておりまする。」
ころあいを見計らって、親房が言う。
されば、高氏はいかにする?
高氏の礎はいまだ盤石とは申せませぬ。鎌倉には新田義貞あり。東夷の頭は二つござりまする。この二つの頭を巧みに操ることこそ肝要かと
親房の思わぬ献策に複雑にうなずく親王

「いまのままでは上洛するわけにはいかんぞ。父帝が高氏とこの護良といずれを取るのかはっきりと見きれぬことには動くわけにはいかぬ。
「比べるものにはござりませぬ」
「さにあらず、父帝の陰にはもうひとり手強いおなごがいる。三位局(阿野廉子のこと)様にござりまするな。あれには三人の王子がいる。あれの狙いはわかっておる。
「宮!」強い言葉で諌める親房。
「しばし粘ってみようぞ。それもまた一計。そう思わぬか、親房?」
「自重なさりませ。血気にはやってはなりませぬぞ。」
親房の言いように笑い出す護良親王

 

足利高氏護良親王

高氏は鎮守府将軍に任じられ、各地の武家からの恩賞の審査に足利家家中で対応している様が描かれる。
鎌倉幕府の各役所の瓦解後、それらが担っていた行政処理機能を引き継ぎ運営できている組織力という点で足利家に並ぶところはなかったのだろうなという印象。大河ドラマといった歴史ドラマではなかなかこういう描写ってないように思う。
足利家中が単な武装集団ではなく、行政処理能力を備えていて、さらには従来は足利家の領地のみを対応していたのを日本全国の行政処理の対応をしているという点で、素晴らしい組織力であるように思われる。
まぁもっとも建武の新政がこの後瓦解する原因のひとつに、訴訟沙汰の処理遅延や処理遅延などから武士階層の支持を失った事があったように思うので、これら裏方の部分がどのようになっているのかも注目したい。

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護良親王が拠点としてた、信貴山中の毘沙門堂に使いとして来たのは後醍醐帝の腹心というべき公家坊門清忠藤木孝)。

何を考えているのかわからない。護良親王からあれだけ怒鳴られると並のものであれば震え上がりそうなところを、顔色ひとつ変えない胆力。これはまたクセのあるキャラが登場した。

護良親王に対して、事が治まったので再び頭を丸めて寺へ帰るようにという帝からの伝言を伝えに来る。
あまりの言いように高笑いをあげる親王
「・・そしてまた乱となりせば、再び髪を伸ばせばよい、とのご沙汰なりと申されるか?」
「これはお戯れを・・」
護良親王の混ぜ返しを顔色も変えずに平然と返す清忠。
「戯れではない!」大声をあげる親王

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「よく聞け、清忠。麿(まろ)が還俗し、天台座主の座を捨てたは、決して遊戯にあらざりしぞ。世を思い、父帝の理想を具現せんと思えばこそ、この手に剣を握ったのじゃ。そがわからぬそちではあるまい!」
「さればこそ北条が滅び、至上のご新政が始められし今、宮には再び沙門にお戻りいただく・・」淡々と返す清忠。
「愚かな!!!」一言一言大仰かつ、声が大きい。
「・・北条は確かに滅んだ。されどはや次なる北条が、洛中に奢っておるではないか。」
「こはいなお言葉・・。次なる北条とは誰を指してのご憤りで?
高氏よ!
「は?」
「驚くには及ぶまい。高氏こそ、獅子身中の虫ぞ。されど帝は、高氏を遇し、この護良には僧に戻れとは・・・なんたる・・・清忠、帝に伝えよ。高氏の誅伐さえ果たされるなら、この護良、山も下りよう、髪も剃ろう、となぁ
「はぁーっつ」間延びした応答でなんとも心のこもらない平伏をする清忠。

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征夷大将軍

信貴山から戻り参代の上、後醍醐帝に報告する清忠。
「・・高氏を誅伐せよ、と申したか・・」後醍醐帝は嘆息し、思うところを述べよ、と控えている者たちに下問した。
「宮はいささか、我らとは思いが違うておられるやに思われます。戦は終わったばかり、苦しき日々を堪え、ようようお上の思いが、かなわんとする今に、無用な混乱を起こしてはなりますまい。」模範的な回答を返したのは千種忠顕
「それがしは異論がござる。帝がおわせなんだ間、諸国に令旨を発し、お味方を口説き回られたのは、宮でござりまする。」と赤松則村
「赤松、そなたの宮への思いはわかりますが、六波羅を落としたのは、そなたの力だけではあるまい。足利殿や千草、あったればこそ。」口を挟んだのは阿野廉子
「足利の軍勢の強きは確かでござる。されど、かやつは最後の寝返り者、しかるに功を一人占めせんと六波羅奉行を自ら称し、諸国の軍勢を集めておりまする。」と赤松則村は言う。

のちに赤松則村は倒幕の論功行賞の中で冷遇された事が原因(?)で、足利高氏の忠実な協力者になるのだが、まだこの時は反高氏派だ。

「民の暮らしを何よりも第一に思いまする。都人は、平穏を望んでおりまする。」
最後に口を開いたのは名和長年

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左から坊門清忠藤木孝)、赤松則村(渡辺哲)、名和長年小松方正)、千種忠顕本木雅弘

「そのとおりですよ。戦を好むものがいずこにおりましょう。宮もせっかく叡山に戻られれば良いものを」ここぞとばかりに反大塔宮の意見を言う阿野廉子
「そはさりながら、このままでは宮はいきりたつばかり。高氏誅伐はもっての他なれど、なんぞ宮のお心を鎮める手をお考えいただかねば・・」第三者的立ち位置を崩さない清忠に、しばらく考えていた帝が答える。
「護良を征夷大将軍とする。ならば上洛を否と申すまい。どうじゃ清忠。」
「はっ、妙案にござりまする。」
「足利殿は?」阿野廉子が帝に訊く?
「都の守りを司る左兵衛督(さひょうへのかみ)、これならどうじゃ?」と帝。
「お上がよろしければ・・」
「護良が申せし事、決して他言するでないぞ。よいな?」
帝が皆に言い渡す。

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これは足利討伐が奏上にあがったという事を、高氏が聞くという伏線なのか?

官位の件、すぐさま足利家にも伝わる。
親王征夷大将軍?」この手の口火を切るのは大方、直義(高嶋政伸)の役目のようだ。
「兄上、なぜでござりまするか?征夷大将軍は頼朝公以来、源氏の頭領が受け継ぐべき職でござりましょうぞ。」
「直義、申すな。ご新政は始まったばかり、帝のご深慮の結論じゃ。我らがいきりたってはご新政が実らぬ。」
「さりながら殿、我らは帝のために戦ったのでござりましょうや。我らが北条殿に背いたのは、足利一族や武家の行く末を慮ってのことではござりませぬか。北条殿を倒すためなれば、今の帝にあらずとも、担げる帝であれば、いかなる帝であってもよろしかったのでは。たとえ、木の帝であれ、金の帝であれ・・
淡々と話しだしたのは高師直柄本明)。あわてて高氏、直義とも止める。
「師直!!そなた」
「これは師直一人の考えでござる。殿に押し付ける考えは毛頭ござりませぬ。されど、一族の願い、殿には重々おわかりのことと存じます。

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長崎円喜に続く現実主義者高師直の面目躍如。淡々と爆弾を申し述べた。

「攻めるばかりが兵法にあらざるぞ。時には退いて、力を貯めることもまた、大事なことぞ。そう思わぬか?
・・それに何よりも、帝のご新政を見てみたいのじゃ。北条とは違う、新しいまつりごとを見たいのじゃ。」

 

感想

北条氏という共通の敵がいなくなった後での各人各様が描かれる回。新政篇の第1回。

六波羅奉行所を任され直義や高師直といった家中のもの総出で行政処理の実務に邁進する高氏らに対して、新たな敵方となるキャラが続々と登場、または本性を表し始めた。

高氏に対していきなり対立モードで対応するのが、護良親王
その熱量・熱血気質なキャラは今までのキャラとも違っていてユニーク。強いて言うなら大声をあげて相手を威圧しようとする点で、長崎高資に似ていなくもないが、さらに中身がない。さらにその身振り、声音、セリフ内容などなどから勧善懲悪系時代劇の主人公にも見えなくもない。

その傍らになるのか、近藤正臣演じる北畠親房、さらに今回初登場の坊門清忠藤木孝)の二人、いずれも声音が独特。本心を表さない。少なくとも足利高氏の味方にはなりそうもないところも共通。

武家の中でも、名和長年赤松則村の二人はワレこそは、という野心を隠していない点で油断はできない。

新政組ばかりの活躍が目立ったエピソードだったが、最後に高師直が爆弾を放った。

いずれも建武の新政篇の導入となるエピソードなのでこれらの伏線が今度どのように展開されていくのか楽しみである。

 

 

 

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北畠顕家を主人公とした小説。
このドラマでは美少年伝説を元に後藤久美子を配役するという変化球になっているため逆になかなかキャラに迫りにくい状況(演技力の点でも、またシナリオの中でのキャラ造形としても)になっているのが残念。北方謙三はどこまでいっても北方謙三なのだが、ドラマでは見えてこない部分を見る上ではよいかも。