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「THE PUNIC WARS ポエニ戦争」(BONSAI GAMES)を対戦する(2/2)

「THE PUNIC WARS ポエニ戦争」(BONSAI GAMES)を対戦しました。周囲ではすこぶる評判が良い作品です。コンパクトなゲームながら、大胆なデザインにより見事にポエニ戦争を描き出しています。

 

 

 


 

 

 

ダイスの目によりローマを担当しました。
以下は内容が正確でない部分もあります。

 

第1次戦争/第1ターン

スタート時点ではローマは支配しているエリアが少ないため、第1ターンを開始するには前記事で紹介した「Recource Point」(RP)を消費しなければなりません。RP3ポイントのうち2ポイントで2個軍団を動員し、残る1ポイントを第1ターンを開始します。
またローマは劣勢状態にあるタイミングでは、カード2枚を手札に選ぶことができます。カルタゴは1枚です。カードを多く持つということは、それだけ多くの打ち手を持っているということですので、塩野七生の「ローマ人の物語」の中で描かれる危機に強いローマを表した状態と言えましょう。

先攻はローマ。
イタリア半島のかかと部分にあるタラントゥムに集結したローマ軍は海上輸送でイオニア海に出撃します。イオニア海はいずれの国にも支配されていませんので1回海上で過ごし、次のインパルスで目的地に上陸することになります。
すかさずカルタゴは「艦隊カード」により迎撃を行いますが、ローマもリアクションとして「艦隊」カードを使いカルタゴ海軍の迎撃を無効化します。
続くインパルスでシチリア島の東側にある中立状態にあるシラクサに上陸。シラクサを占領したことにより、イオニア海に面した陸上エリア3カ所中、2カ所をローマが支配したことになり、同海域はローマの支配下になります。

イオニア海を支配したことにより、ローマはそのままカルタゴ支配下北アフリカ(今のリビアあたり)に上陸することも可能になる一方、シチリア島の西側にあるカルタゴ支配下のパノルムスを窺うこともできる状態になります。
シラクサに対して、パノルムスのカルタゴ軍が攻撃をかけますが、シラクサは城塞エリアであるため野戦ではなく攻城戦扱いとなります。野戦の戦闘解決が同時解決であるのに対し、攻城戦では防御側が先攻として攻撃側を迎撃します。カルタゴ軍は規模が大きくないこともあり、撃退されました。
その後、第1ターンは両軍とも軍団の動員をかけることで終了します。

ターンが終了するとそこで両国は支配状態にあるエリア(陸上・海域)のVPを合算し、その差額がVP差額となります。
ローマがイオニア海を獲得し、カルタゴシチリアの「部分支配」状態を失ったため、1ポイント差でローマが勝っている状態になります。
第2ターンを開始するには、負けているカルタゴはRPを使う必要があります。カルタゴは1ポイントのRPを使用し、第2ターンが開始されます。


第1次戦争/第2ターン

ローマはローマに集結していた2個軍団をティレニア海に出撃させます。カルタゴ本国がガラ空きだっためカルタゴは急ぎ本国に軍団を動員します。その間、海上にあったローマ軍は、サルデーニャ島に上陸し占領します。ティレニア海はローマの支配下になります。

カルタゴはカードによりシラクサをローマから独立させます。ローマはシラクサを失うとイオニア海の支配も失うことになります。ローマは軍を集めシラクサに上陸、「攻城兵器」のカードによりシラクサの城塞としての機能を無効化させ、シラクサカルタゴ軍を撃滅します。

ここでターンは終了したのですが、VPで負けているカルタゴが新しいターンを開始するためのRPを保有していなかったため戦争は終了します。

戦後処理によりローマはイオニア海ティレニア海サルデーニャ島(ただしポイントはない)、シラクサを得ます。膨れ上がった両国の軍隊は動員を解かれ最低限の規模にまで数を減らします。

 

第1次戦争終結時の状況
戦争終結時にシチリア島に両軍とも軍団を配置したが、戦闘がはじまるよりも戦争が終結した。終戦後処理でこれらの軍団は解散させられる。

 


第2次戦争

第2次戦争から戦場が広がり、ヒスパニア(スペイン)と西地中海海域が利用できるようになります。
勝利ポイントで負けているカルタゴがRPを支払い第1ターンが開始されます。

 

第2次戦争/第1ターン

両軍とも動員。カルタゴハンニバルのカードを出すと、ヒスパニアに集結した4個軍団を東に進軍させます。アルプス越えです。
軍団毎にダイスを振り、1/3の確率で除去されますが、生き残った場合は親衛軍団(黒のユニット)にレベルアップです。戦闘時のダイスの目修正が+1つきます。

ローマにとっては運がよくカルタゴ軍は2個軍団が除去され、2個軍団のみがアルプスを越えてきます。待ち受けるローマ軍は5個軍団。*1

 

ハンニバル率いるカルタゴ軍はアルプスを越え、北イタリアに侵攻した。
黒いユニットがカルタゴの親衛軍団(戦闘解決時のダイスに+1の修正がつく)。

 

両軍は北イタリアの平原で激突します。ハンニバルカードが場に出ているため、カルタゴの戦術値は+2され4なのですが、軍団ユニットが2個しかないため振ることができるダイスは2個です。戦術値が軍団の数を上回っていること、親衛軍団が参加していることからダイスの目修正は+2です。
数回の激突後、ローマ軍は4個軍団を除去され、カルタゴ軍は1個除去、1個戦闘不能となり、退却を選びます。土俵際のところでカルタゴ軍のイタリア乱入は阻止されたのでした。

ローマはシラクサに駐屯していた軍団をシチリア島西側のパノルムスに差し向けます。戦力差から快勝と思われた戦闘(ローマ3個軍団に対し、カルタゴ1個軍団)は、ハンニバルカードによる効果もあってか、パノルムス守備隊の奮闘により大損害を受け、撤退することになります。
一方でローマはティレニア海制海権を保持していることから、カルタゴ本国への侵攻をちらつかせます。カルタゴは母国守備を増強させざるをえません。そのすきにローマは北アフリカに上陸(ただし戦力は1個軍団にすぎませんのでいくらのものでもありません)。

ここでインパルスの終了チェックによりターンが終了することになりましたが、ローマはシチリアの完全支配を望んでいました。もう1回インパルスがあれば、パノルムスを攻略することが可能ではないか。パノルムスを攻略できれば、シチリアはローマの完全支配になるのです。
ローマは手札1枚を捨て、インパルスの延長を宣言します。

 

ターン終了の結果となった時点の状況。ローマはシチリア完全支配を目指しインパルスの延長を決断したが・・

 

ところが延長されたインパルスで先に動いたのはカルタゴ軍、しかもガリアの地にいったん退却し再編成を行っていたハンニバル親衛軍団を含む軍だったのです。
カルタゴ軍は、2回目のアルプスを難なく越えます(2回目以降、アルプス越えのダイスチェックは不要)。1個親衛軍団を含む3個軍団のカルタゴ軍が北イタリアに再び現れたのです。

迎撃に向かったローマ軍団はあっという間に蹴散らされます。しかも第2次戦争でのここまでの損害が大きく、これ以上、追加で動員することができないことがわかったのです。
カルタゴ軍は史実と同様にイタリア半島に侵入し、南下します。
ローマの本国軍は兵力を集めることができず、カルタゴ軍に対抗することができません。黙ってカルタゴ軍の跳梁を見守ることしかできなくなってしまいました。

ローマ軍は代わりにシラクサに集結していた軍団により、パノルムスを攻撃します。同地は陥落し、シチリアはローマの手に落ちます。
ここで終了チェックによりターンの終了となります。

カルタゴ軍はカルタゴ本国の部分支配、ヒスパニアの完全支配により2VP、ローマ軍はイタリア部分支配、シチリア完全支配、2つの海域の支配により4VPとなり、ローマ優勢。
ここでカルタゴがRPをまかなえないことが判明し、第2ターンは開始できず戦争は終了です。

2回の戦争でローマが勝利したためゲームもここで終了となりました。

 

第2次戦争終了時。ハンニバルの2回目のアルプス越えによりイタリア半島が蹂躙されかかったが、カルタゴ本国に継戦能力がなく戦争は終結した。
シチリアを完全支配状態にしたこと。牽制とはいえ北アフリカに上陸し、カルタゴによるアフリカの完全支配を妨げたことでかろうじてローマがVPで勝利する。
インパルスを追加したことでハンニバルの蹂躙を呼び込んでしまい、一歩間違うと敗北しかねなかった(ちょうど、カルタゴのRPが切れてよかった)。

 

 

感想戦

プレイ時間120分強。ゲームとして小ぶりな分、作戦研究をしやすそうだ。
動員能力、初期の手札枚数が多い分、ローマのほうが動きやすく感じたがどうだろうか。次回はカルタゴをプレイしてみよう。
カードは手札枚数が少なく、自分で選ぶことができる分、選ぶカードが固定化しそう。海域の支配によって表現された「制海権」の扱いが印象的。

コンポーネントが美しく、コンパクトな分、ボードゲーム側からのアプローチもありそうな印象を受けた。

(了)

 

 

 

 

*1:史実でハンニバルは兵力50,000を連れアルプスに挑み、13、000を失ったという。