Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム/歴史ゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム/歴史ゲーム/ボードゲーム

「THE BATTLE OF ARMAGEDDON」(COMPASS GAMES)を対戦する(2/3)

世界線が異なる世界の中東を舞台に現用兵器を擁した勢力が覇権を巡って争うマルチプレイの表題ウォーゲームを対戦しました(6人プレイ)。

 

 

 

 

ゲームの紹介(承前)

シーケンス

ターンの長さは明らかにされていません。各ターンにおける勢力毎の順番は固定です。

  1. 中国
  2. アラブ
  3. イスラエル
  4. アメリ
  5. 欧州連合
  6. ロシア

 

ゲームシーケンスはシンプルです。

  1. カードのドロー
  2. 増援
  3. 移動
  4. 戦闘

 

その他のルール

  • 勢力間で同盟が可能です。同盟関係になると相手のユニットが存在するヘックスにも進入することができるようになります。同盟はペナルティ無しにいつでも破棄できます。
  • ZOCはありません。他勢力と隣接していても、攻撃は任意です。
  • 戦車ユニット、機動歩兵ユニットについて、二次移動といった能力はありません。
  • プレイヤーは人口ポイントにより補充ポイントを受領します。補充ポイントを用いることで除去されたユニットを復活させることができます。戦車ユニット、航空機ユニットの補充ポイントは3、歩兵ユニットは1です。

 

プレイ

6人プレイ。担当勢力をランダムに決め、当方はアメリカを担当することになりました。

※ 手元のメモを元に書き起こしていますが不正確な部分があるかもしれません。ご容赦ください。

 

 

ゲームスタート時の各勢力の状況

  

アメリカ軍の全ユニット。初期段階で全ユニットが動員済という状態で開始です。

 

アメリカの人口カードは5枚。ランダムに引いたカードの数値を足し合わせると、人口ポイント(=補充ポイント)は13となりました。

中国の人口カードは12枚。人口ポイントの合計は30となります。黙っていても中国は毎ターン、増援として30個の歩兵ユニットを受け取ることができることになります。

 

恐怖の人口カードです。戦略核、または黙示録による無慈悲なイベントによってカードが1枚ずつ除去されていきます。
ちなみに人口ポイント4のこのカードは2億人を表しています。

 

6人ゲームの際の開始状態を指定したカード。中国はマップ東端から侵入、ロシアは北端から侵入します。アメリカと欧州連合は、地中海側から海上輸送を用いて空いている港に揚陸するか、強襲上陸・空挺降下することで登場します。

 

イスラエルとアラブの初期配置状況。イスラエルは自国の都市が固まっているのですが、アラブはダマスカス、アンマンの他、バグダッドとカイロとマップの東西に離れています。マップの東端から中国軍の大軍がくることはわかっていますので、バグダッドの扱いは迷うところです。

 

パレスチナへの介入タイミングを計るアメリカ軍と欧州連合軍。ボックス名に「AT SEA」とあるように地中海の海上に待機しているのでしょう。が、後にこれは地獄を見ることになります。

 

第1ターン

最初のプレイヤーである中国軍がマップ東端に現れます。彼らがパレスチナの地に到着した日にはどれだけの血を見ることでしょう!

 

マップ東端に現れてはじめた中国軍。1ターンだけでは全てを登場させることができないため、次ターンに繰り越されます。

マップ上に現れた中国軍はバグダッドに攻撃を加えるのですが、ほとんど損害を与えることができずに終わります。歩兵ユニットは1/6の確率でしか攻撃がヒットしません。

防御する立場では、1個でもヘックスにユニットが残れば、補充ポイントの範囲内でそのヘックスにユニットを補充することができるのです。アラブ軍バグダッドの損害を補充し、フルスタック状態に戻します。

イスラエルはダマスカスを攻撃し、占拠します。

アメリは後続の欧州連合やロシアの出方がわからないためいきなりパレスチナの鉄火場に手を突っ込むのは避け、陸上ユニットの出兵は様子見です。代わりに中国軍の赤い波を少しでも防げないかと、航空機ユニットの一部により、中国軍に対し空爆を加えました。損害を与えることができるのですが(2/3の確率で攻撃がヒットします)、ただ膨大な数と無尽蔵と言って良い補充能力(補充ポイント=30)の中国軍の全体からすると微々たる戦果にすぎません。

陸上ユニットは航空ユニットに対して攻撃ができないのですが、航空ユニットはヘックスを確保する能力はないため他勢力の陸上ユニットがヘックスに進入してくると強制的に後退しなければなりません。中国軍の歩兵ユニットがアメリカ軍の航空機ユニットを攻撃はできませんが、包囲してしまうことで航空ユニットが後退できる余地をなくしてしまうと、ユニットを除去できるのです。

アメリカとしてはここで多少の損害が出ても、補充ポイントを使うことですぐに復帰できると計算していたのですが、結果的にこれらの空爆による打撃は限定的な結果に終わりました。

また空爆への出動にあたりアメリカはアラブと同盟を締結、この同盟には後に欧州連合が加わります。

 

アメリカ(緑色ユニット)に続き、ロシア(黄土色)も対中国攻撃に参加した。

 

第2ターン

イベントカードで強制イベント「第1のラッパ」が発生しました。

第一の御使ラッパを吹きしに、血の混りたる雹と火とありて、地にふりくだり、地の三分の一燒け失せ、樹の三分の一燒け失せ、もろもろの青草燒け失せたり。

砂漠を移動していたユニットについて次のイベントが発生するまで移動できなくなります。実際、この時点で砂漠地帯にいたのは中国軍だけでしたので、影響は限定的でした。

中国軍は第二陣もマップに進入。アメリカ軍の航空部隊の後退を阻むように機動して、数個の航空機ユニットが除去されます。バクダッドに対しても包囲の上、2回目の総攻撃をかけたのですが、再びバグダッドは持ちこたえます。

 

中国プレイヤーターン終了時の東部戦線の状況。
波を押し留めるのは無理と、この後、アメリカ軍は航空機ユニットの撤退を決める。

 

アメリは東部戦線から航空部隊を引き上げ、代わりにハイファの北方の港に陸上部隊を揚陸します。あわせてアラブとの同盟を用いて、スエズ運河を通り紅海に面した港にも陸上部隊を揚陸させます。

続く欧州連合も同様にパレスチナに拠点を設けるべく、空挺部隊に降下させ、マップ西端のアレクサンドリア陸上部隊を揚陸させます。

ロシアイラク北東部で中国軍に打撃を与えつつ、及び腰のアメリカ、欧州連合と異なり、パレスチナにも大規模かつ積極的な介入を行います。

 

第2ターン終了時の状況。マップ東側を埋める中国軍がパレスチナに到着した時点が実質的にタイムリミットになることは容易に想像できた。

 

第3ターン

中国軍はバグダッドに対して、12ユニットによるスタック2個分による人海戦術を発動させます。24回もダイスを振るとさすがに耐えきれず、バグダッドは陥落しました。

「第5のラッパ」が鳴らされます。

第五の御使ラッパを吹きしに、われ一つの星の天より地に隕ちたるを見たり。この星は底なき坑の鍵を與へられたり。かくて底なき坑を開きたれば、大なる爐の煙のごとき煙、坑より立ちのぼり、日も空も坑の煙にて暗くなれり。煙の中より蝗地上に出でて、五月のあひだ苦しむる

地面に開いた穴からイナゴが湧き出ることにより、空を飛んでいたものが飛べなくなってしまいます。全勢力が保有する全ての航空機ユニットが除去されます(再動員は可能)。空軍力が差別化要素であったアメリカ、欧州連合、それに準じてロシアは大打撃を被ります。歩兵ユニットしか存在しない中国は全く問題ありません。

続けざまに、「最後の7つの災い」を巻き起こす、「鉢(Vial)」の厄災も発生します(黙示録のイベントがそれぞれカード化されているのですが、発生順はランダムです)。

まずは「第6の鉢」です。

第六の者その鉢を大なる河ユウフラテの上に傾けたれば、河の水涸れたり。これ日の出づる方より來る王たちの途を備へん爲なり。

マップ上の河川が全て干上がってしまいます。以後、河川の地形効果は考慮不要となります。あわせてスエズ運河も干上がってしまいます。ルールやカードへ明記されていませんが、紅海への海上移動ができなくなると見たほうがよいでしょう。アメリカ軍の紅海派遣部隊が孤軍になってしまいました(このゲームは補給の概念がないので損害はでないのですが)。

続けて「第1の鉢」

我また聖所より大なる聲ありて、七人の御使に『往きて神の憤恚の七つの鉢を地の上に傾けよ』と言ふを聞けり。
かくて第一の者ゆきて其の鉢を地の上に傾けたれば、獸の徽章を有てる人々とその像を拜する人々との身に、惡しき苦しき腫物生じたり

全ての勢力でこの1ターンに渡って増援の取得ができなくなります。先程、航空ユニットに大損害を被ったアメリカ・欧州連合・ロシアは再動員の貴重なタイミングを失います。

災厄が次々と降りかかり始めた世界にもかかわらず、地上では激しい争いが発生します。ロシアイスラエルが陣取るエルサレムに戦域核攻撃を実施、ユニットを除去した後のエルサレムに入城します。

 

第4ターン

厄災はとどまるところを知りません。

「第2の鉢」

第二の者その鉢を海の上に傾けたれば、海は死人の血の如くなりて、海にある生物ことごとく死にたり。

海上にいるユニットは全て除去されます。海上にユニットを持っている勢力はアメリ欧州連合です。上陸するタイミングを伺っていた両勢力のそれぞれ10数ユニットはあっさりと除去されます。前ターンの航空ユニットの除去に続き大打撃です。躊躇せずにさっさとどこかに上陸させていたほうがよいようです(次戦への教訓)。

アラブが戦術核を使うとエルサレムに入城しますが、続けてイスラエルも核を使い奪還します。

先に上陸していたアメリ軍の部隊が豊富な航空支援もあわせて攻撃を実施、ハイファを占拠します。これでイスラエルの人口カードは1枚のみになってしまいます。

「第6のラッパ」

ラッパを持てる第六の御使に『大なるユウフラテ川の邊に繋がれをる四人の御使を解放て』と言ふを聞けり。かくてその時その日その月その年に至りて、人の三分の一を殺さん爲に備へられたる四人の御使は解放たれたり。

4人の天使が解き放たれ人を殺しまくります。アラブとイスラエル以外の勢力は人口カードが1枚任意に除去されます。

「第3のラッパ」

第三の御使ラッパを吹きしに、燈火のごとく燃ゆる大なる星、天より隕ちきたり、川の三分の一と水の源泉との上におちたり。この星の名は「ニガヨモギ」といふ。水の三分の一は「ニガヨモギ」となり、水の苦くなりしに因りて多くの人死にたり。

再び各勢力の人口カードが1枚ずつ失われます。これでアメリカ、欧州連合は人口カードの残りが3枚になります。補充能力がそれだけ損なわれたことになります。

ここにきても強大な戦力をパレスチナに移動させつつある中国軍を止めるべく、中国以外の勢力による中国本国への核攻撃が画策されます。

口火を切ったのはアラブ。まず1発の戦略核ミサイルが中国に対して行われます。防空戦闘部隊や対空ミサイル防御を持っていない(カードを保持していなかった)中国は対抗するすべもなく、人口カード1枚を失います。続けてイスラエル戦略核カード4枚による攻撃を実施。イスラエルはこの時、ロシアに対しても1枚の戦略核カードを使います。

続けてアメリカもこの戦略核攻撃に参加するつもりだったのですがここで「第4のラッパ」のカードを引いてしまい、アメリカのプレイヤーターンは強制終了となります。

第四の御使ラッパを吹きしに、日の三分の一と月の三分の一と星の三分の一と撃たれて、その三分の一は暗くなり、晝も三分の一は光なく、夜も亦おなじ。

光が失われ暗くなったということのようです。

最後に欧州連合とロシアが中国に対して戦略核カードを1枚ずつ使います。一連の攻撃により当初12枚あった中国の人口カードは、一連の戦略核攻撃により7枚、厄災により2枚減じられたので残り3枚となります。ところが強運の中国は3枚となった時点で補充能力9をまだ維持していたのです。

 

第5ターン

カードの残りも少なくなってきました。世界の終末をもたらす「第7の鉢」のカードがいつ引かれてもおかしくない状況です。
こうした中、中国軍の先鋒がパレスチナに到着。大きく補充能力を失った後にもかかわらず大規模な人海戦術による攻撃を行います。

ダマスカス、アンマンに接するところまでたどりついた中国軍はすかさず補充によりスタックの山をつくり、そのまま人海戦術による攻撃を実施します。
青いポーンが置かれたヘックスがエルサレムです。

 

アラブと同盟関係を結びつつも穏健な振る舞いを見せていた欧州連合がここにきて、イスラエルを攻撃。エルサレムに戦術核を投下し、イスラエル軍ユニットを除去すると同地に進出します。欧州連合は紫のユニットです。

 

ここで勝利するためには世界の終末の時点でエルサレムを占拠しておく必要があります。ただエルサレムへの入城はすかさず他勢力からの攻撃(核攻撃含む)をうけることになるため、どの時点でエルサレムへ進出するかの有言無言の駆け引きになります。

アメリカは戦術核カードがあったため、エルサレムに投下、他勢力ユニットを除去した後、空挺部隊により占拠、あわせてテルアビブへの強襲上陸、優勢な航空ユニットにより周囲を固めてしまうという作戦を検討していました。

 

第6ターン以降(最終局面)

もはやかつての補充能力を失った中国軍ですが、エルサレムに隣接する地点を得、人海戦術による攻撃をかけます。
ここで欧州連合は、同勢力だけが使えるカードにより人海戦術を無効化、エルサレムを死守したのです。

エルサレムのユニットが1つだけ、アメリカは作戦発動を企図します。
が、プレイ順でひとつ前のイスラエルが「第7の鉢」カードをドローしました。

第七の者その鉢を空中に傾けたれば、聖所より御座より大なる聲いでて『事すでに成れり』と言ふ。かくて數多の電光と聲と雷霆とあり、また大なる地震おこれり、人の地の上に在りし以來かかる大なる地震なかりき。
大なる都は三つに裂かれ、諸國の町々は倒れ、大なるバビロンは神の前におもひ出されて、劇しき御怒の葡萄酒を盛りたる酒杯を與へられたり。凡ての島は逃げさり、山は見えずなれり。また天より百斤ほどの大なる雹、人々の上に降りしかば、人々雹の苦難によりて神を涜せり。是その苦難甚だしく大なればなり。

ここに世界は滅亡します。
滅亡時点でエルサレムを占拠していた欧州連合が勝者になります。

 

(つづく)