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「DUNE」(Gale Force Nine)を対戦する

ゲームの紹介

2020年最後の千葉会は「DUNE」(Gale Force Nine)の対戦となりました。
「DUNE」はアメリカの作家、フランク・ハーバート原作のSFシリーズ。
ウイキによる紹介文では次のように書かれています。

砂に覆われ、巨大な砂虫(サンドワーム)が支配する荒涼の惑星アラキス、通称デューンを舞台に、宇宙を支配する力を持つメランジと呼ばれるスパイスを巡る争いと、救世主一族の革命と世界の混沌を軸にした壮大なドラマが展開される・・。

元のゲームは1980年代にアバロンヒルから発売していた製品で、本作はその再販リメイク版ということになります。旧作とのルールの違いは大きな変更はない模様ですが、何点かは値や細かいルールの変更などはあるようです(旧作経験者談)。

 

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  • 舞台は遥か未来、宇宙は皇帝が治める”帝国”による封建社会支配下にあるものの、実際は「皇帝」と星々を統治する事業主一族である”大公家連合”、さらに宇宙旅行、星間輸送、国際間銀行業務を独占する「宇宙協会(ギルド)」の三勢力の均衡の上にあった。
    (このゲームには、大公家連合から、「アトレイデ家」と「ハルコンネン家」が登場)
  • メランジとはアラキスでのみ産出するスパイス(麻薬)で主要な作用は抗老化だが、ギルドが牛耳る航宙ナビゲート能力をはじめとして様々な超能力の引き金になる宇宙的に重要な産品となっている。
  • 砂虫(サンドワーム)は、アラキスの砂漠に生息する巨大な体節生物。振動を感知して現れる。メランジの生成に関わっている。

  

とここまでがゲーム設定上の背景知識です。

ゲーム内に登場するのは6勢力。最大6人プレイになります。

プレイヤーが操作する勢力

皇帝:

カードを競り落とすフェイズの際に他のプレイヤーが競り落としたカードの代金を全て自分の収入にできるというルールにより(税金のようなもの?)、ゲーム初期段階では裕福になります。一部戦闘力の高い部隊を有しています。
初期時点でアラキス地表には軍備を持たないため、全て衛星軌道上から降下してきます。この際、マップ上のどこにでも降下できるのですが、初期状態のままでは降下した後の移動力が弱いです(1エリアのみ)。

アトレイデ家:

大公家連合の中でアラキスにおけるメランジの採掘権をもっている、原作では主人公が属する一族です。限定的な予知能力を持っているということでカードのビットの際や戦闘時に相手が出すカードを直前に確認することができます。
援軍は他惑星からくるので衛星軌道上からマップ上のどこへども降下できます。また開始時点でオーニソプター(鳥型飛行機)を使うことができ、大気圏内での移動距離が長いです(3エリア)。
収入源が砂漠内で湧出したメランジだけなので、争奪戦になります。

ハルコンネン家:

大公家連合の中の一族で、裏切りを得意とします。このため裏切り者カードや手札を他のプレイヤーより多く持つことができるという手練手管に長じた勢力といえます。
援軍は他惑星からくるので衛星軌道上からマップ上のどこへども降下できます。また開始時点でオーニソプター(鳥型飛行機)を使うことができ、大気圏内での移動距離が長いです(3エリア)。
収入源が砂漠内で湧出したメランジだけなので、争奪戦になります。

フレーメン:

アラキンの原住民、砂漠の民です。砂漠の上を多く移動できる(2エリア)、砂嵐にあっても全滅しない、砂虫にも大丈夫といった特徴があります。また砂虫の出現位置を操作できるという話もあります。
一部の戦闘力が高いエリート部隊を擁しています。またゲームに登場する中で最も高い戦闘力をもったリーダーがいるのもフレーメンになります(戦闘力が高いと裏切りの際に狙われがちなので、注意が必要という一面もあります)。
収入源が砂漠内で湧出したメランジだけなので、争奪戦になります。

ギルド:

宇宙船の操作や星間航行を独占しているため、アラキスに援軍を送る勢力は必ずギルドに輸送料を支払う必要があります。このためゲーム中、常に収入の道があるため、裕福です。
援軍はマップ上のどこにでも降下できるのですが、初期状態のままでは降下した後の移動力が弱いです(1エリアのみ)。
他のどの勢力も勝利条件に到達しない場合は、ギルドの勝利となりますので、実はそれを狙って行動するのがよいかも・・。

ベネ・ゲセリット:

最もトリッキーな勢力です。
宇宙に勢力を伸ばす女子修道会ということで、マインドコントロールや予知能力を持ちます。各勢力に付き従う宗教家という一面もあるため、各勢力がアラキンに軍勢を送り込む際に、ベネ・ゲセリットもユニットを1個つけていくことが可能です。宗教家でいる間は他勢力より攻撃を受けません(代わりに、通常の部隊ユニットのような行動はできない)。ある時点で軍勢として姿を変えることができます。
収入源としては、他勢力と同様にメランジの湧出点を押さえて収穫するという手法はとれるのですが、いかんせん軍事力が弱いため難しいです。代わりに喜捨を得ているということか、最低限の収入はあります。その程度ですので、始終貧乏にならざるをえない印象です。
予知能力としては、ゲーム開始前にそのゲームの勝者と終了ターンを予想しておき、ゲーム終了時にその内容があたっていると勝者になるというルールがあります(若干、なんだ、それは?という感がなきにもしもあらずですが)。
宗教家としては、各勢力の指導者層の軍師か相談役といった地位にあるということで、プレイヤーに対して”ささやき”をすることで、使うカードや攻撃方法などを変えさせることができます。

 ゲームの進行は、一連の手順(フェイズ)を実施していき、1ターン終了というオーソドックスなものです。
全10ターン。ルール難易度は高くないので慣れるとスムーズに進行するでしょう。

勝利条件

ゲームの勝利条件は、アラキンのマップ上に全部で5ヶ所にある砦(砂嵐などの影響を受けない居住地のようなもの)のうち3個を占拠することになります。6人のプレイヤーがいて、マップ上に5ヶ所しかない砦のうち3箇所を占拠するというのはかなりハードルが高いなという印象です。ただこれは同盟を結べた場合は同盟を結んだ2つの勢力で4ヶ所の砦の占拠が勝利条件となります(よって各々が2つの砦を占拠すればよい)。
なお勢力の紹介に書いたとおり、誰も砦の占拠による勝利条件を満たせなかった場合はギルドの勝利になります。

コンポーネント

コンポーネントは美しいです。アラキンの北極から見た北半球を現したマップになっています。
アバロンヒル版に比べるとこのマップの色調は落ち着いたものになっています。ただカードや各種イラストなどは旧版に比べるとよくなっているように感じました。砂嵐と砂虫はプラスティック製の立体模型で表されます。
他にも各種カード類や手元を隠すスクリーン、戦闘解決時に使う”バトルホイール”というツールなどコンポーネントが最近のボードゲーム風に豪華です。

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アバロンヒルの旧版ではマップにも赤や緑などのカラーリングもあったので結構派手だったのですが、新版は茶色系のモノトーンで統一されています。高級感はあるのですが、ユニットもそれほどでしゃばりではないこともあって、写真を見ると結構地味に見えます。

戦闘時に使うバトルホイール。
小さなメンコのようなリーダーチップをはめこみ、損害許容値(その戦闘に投下した戦力を最大値として指定)を数字で指定するようになっています。リーダーの戦闘力+損害許容値が戦闘力となり、敗者は全滅、勝者側は指定した損害許容値分の戦力を失います。実際の戦闘解決にはこれに複数のカードを組み合わせて解決するため、単純な戦闘力比較だけでは終わりません。
”バトルホイール”自体は面白いアイテムですが、カードもあわせて、せいのドン、と提示することを考えるといまひとつ使い勝手が・・という印象でした。

 

裏切り

各勢力5人ずつリーダーが登場します。リーダーは戦闘の際の指揮ができ戦闘力修整ができるなど重要な役割があるのですが、この「デューン」の世界は裏切りが横行しているため(忠誠心とかそういうモラルが高くない社会ということなのでしょう)、ゲーム開始時に”裏切り者”を決めるという手順があります。裏切りを仕掛けられた側は戦闘が起こるまで誰が裏切るのかはわかりません。

 

プレイ!

インスト後、都合3回プレイしました(いずれも途中まででしたが)。
勢力の担当と席次はランダムに決定。

1回戦: 5人プレイ、皇帝を担当

カードのビット毎に各プレイヤーがビットした代金が皇帝の懐にはいってくるため、前半富裕です(後半になると各プレイヤーが手持ちカードがいっぱいになるため、ビット自体が発生しなくなり、皇帝のその分の収入もなくなっていくということです)。
この時点で裕福なのは、皇帝と、星間飛行の輸送費が収入になるギルドくらいのもの。
砂の民フレーメンは、メランジ(スパイス)が湧き出したエリアに出兵して懸命に収集します(このゲームではスパイスがそのままお金の役割を果たすのです)。
皇帝は、衛星軌道上から5ヶ所の砦のうち唯一空いている砦に部隊の半数近くを降下、占拠します。この時点で、各勢力が1ヶ所ずつ砦を占拠している状態。皇帝はオーニソプター(鳥型飛行機)などを有していないので、いったんアラキス上に降下してしまうと移動に困ります。砦の外に出ている時に砂嵐や砂虫に襲われると全滅してしまうので、下手に外にでていると損害を受ける懸念があるのです(砂嵐の場所は基本ランダムなのですが、「天候操作」というカードを用いることで、場所を変更させることができます。他プレイヤーに使われて砂嵐を導かれたときには、フレーメン以外の軍勢は全滅してしまいます)。

カードにより砂虫が発生。発生位置はいずれのプレイヤーからも離れた場所だったので影響はありませんが、砂虫が発生すると同盟を締結できることができるようになります。同盟は1対1の二人のプレイヤー間で締結され、砂虫が発生したタイミングで締結または破棄ができます。同盟締結のメリットは

  1. 勝利条件が1プレイヤー=砦3ヶ所の占拠から、1プレイヤー2ヶ所×2人の計4ヶ所になること
  2. お互いの特殊能力を相手が行う戦闘などで発揮できるようになることの2点でしょう。

ここで動きが・・。
なんと宿敵であるはずのアトレイデ家とハルコンネン家が同盟を締結します。
「根拠地が近すぎてお互い動けないので、”同盟”締結は妥当」とアトレイデ家担当T氏。
アトレイデ家、ハルコンネン家、またフレーメンの収入はスパイスの湧出地点を押さえてスパイスを収穫することに依存するため、その争奪が発生します。
フレーメンに対して、ハルコンネン家が軍勢を差し向けます。

ここで皇帝(自分)はスケベ心を出し、手薄となっていたアトレイデ家の本拠地である砦を急襲、衛星軌道上から軍勢を差し向けました。
こちらのリーダーは自陣営として最高の戦闘力6(最高の戦闘力を持つのはフレーメンに7というリーダーが一人いる)、防御カードもあるため防御も万全、差し向けたユニット数も相手を上回っているため、必勝を期した状態だったのです。
”せいのドン”で出したバトルホイールとカードの結果は、アトレイデ家が毒殺のカードを出して、皇帝軍の最優秀のリーダーはあっさり死亡、差し向けた部隊は全滅と相成ります。
えー、そもそも、そういうカードがあったのかよ、という唖然とした状態だったのですが、かすかに覚えている原作でも毒殺の話がでていたので、それかぁ、と。

次ターン、さすがの皇帝もさきほど全滅した部隊を全てをを復活させるだけの財力はありません。次ターン、”アトレイデーハルコンネン”同盟は「電撃作戦!」と言うなり、皇帝の砦エリアと、フレーメンの根拠地になっている砦エリアに軍勢を差し向けます。
両方のエリアでアトレイデーハルコンネン同盟側が勝利すると、占拠している砦が4ヶ所になり、そこで終了です。
このままでは同盟が勝利条件を満たしてしまうということで、ギルドがあわてて動きます。今度はハルコンネン家の本拠地にギルドの軍勢が降下したのです。

アトレイデ-ハルコンネン同盟は、順当に皇帝とフレーメンの砦を占拠。この時点で皇帝の部隊は軌道上のものを除き一掃され壊滅状態。ハルコンネン家の砦エリアでのギルド対ハルコンネン家の戦闘というところで時間切れ終了。

 

2回戦: 5人プレイ、ハルコンネン家を担当

2回戦は裏切りの代名詞で呼ばれているハルコンネン家です。ハルコンネン家は裏切り者カードやその他の手札を他のプレイヤーの倍を所有することができます。
さきほどの皇帝は資金の点で裕福だったのですが、ハルコンネン家のカードをたくさん持つことができるというのもなかなか魅力的です。
ところが問題は資金がないのです、初期費用はそこそこなのですが、その後の収入はスパイスの湧出点を押さえて、湧いてきたスパイスを収穫する必要があるのです。
当然、他プレイヤーもスパイスが湧いてくるところには軍勢を送り込んできますし、そもそも本拠地の砦を手薄にするとさきほどの皇帝よろしく、衛星軌道上からの降下作戦を仕掛けられる懸念もありますので、うかうか本拠地を空けるわけにもいきません、というジレンマを抱えています。

というところでゲームがスタート直後のタイミングで、6人目の候補者(プレイヤー)が登場したため、ゲームは仕切り直し。

 

3回戦: 6人プレイ、ベネ・ゲセリットを担当

6人プレイの場合に追加されるベネ・ゲセリットは上で紹介したようにトリッキーな勢力です。初期勢力・資金とも最低レベル。各ユニットは宗教家モードと通常モードがあり、宗教家モードの際にはどの勢力とも敵対できなくなります。それどころか、ある勢力がアラキス上に降下すると、ベネ・ゲセリットのユニット1個を資金の負担無しに帯同させることができるのです。
いやいや、そういう状態でどうなるの?という話ですが、小判サメのようについてまわって、ある時点で通常モードになって、空っぽになった砦を奪ったり、スパイスの湧出点を押さえるといったことかな。

少なくとも前半は能動的に動けるシーンはあまりなく、他プレイヤーの展開を見ているだけ状態。
途中、アトレイデ家と同盟関係にはなるものの、これも双方あまり旨味もないまま・・。
そうそう、皇帝とギルド間で同盟が結ばれていました。

そうこうするうちに時間切れで終了。

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感想戦

ここまで書いたようにいずれも途中までしかやっていない(終了に最も近かったのは1回戦目)のでわかったようなことは言えないのですが、いくつか。

  • ゲームシステムはオーソドックスなターン-フェイズシステムで安心感がある(進行上でのケレン味があるシステムではなかった)
  • ルールの難易度は高くないため、その場インストでも対応可能
  • 1プレイ3時間もあれば大丈夫か
  • 勝利条件になる砦が全5ヶ所しかなく、また勝利条件としては内3ヶ所の占拠ということなので、早々に詰まる。
    各勢力は能力的には特色はあるものの、動員できる兵力という点では最大値は同じなので、あちらを立てればこちらが立たずな状態になる、また圧倒的兵力差といった状況は打ち出しにくい。
    損害の回復個数が勢力によって異なるのと、資金が必要となることから、どちらかというと傷ついた勢力に追い打ちをかけるような情勢であれば差をつけやすいか。
    戦闘自体は飛び道具的なカードの利用で決まるのかもしれない(その点、戦闘時に相手カードを覗けるアトレイデ家の能力が生かされる)
  • 衛星軌道上から降下するということで部隊を展開できるため、部隊展開に前線や後方が存在しない(ZOCのような移動妨害をすることもない)。軍隊を移動・展開することを考えると結構面倒。ましてフレーメン以外は砂嵐や砂虫の心配もしないといけない、といった状況。
    いずれも打開のためには「同盟」を駆使することになるのだろう、というところまでは読めた。ということは勢力間でもっと活発な外交交渉が行われる(例えば、有償/賄賂が絡む対等ではない関係の同盟含む)ことになるのだろうな。 

 

来年、リメイクされた映画が公開されるということのようなので、またその頃にやりたくなるとチャレンジしてもよいかな、と思う。

 

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