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OLD SCHOOL TACTICAL(Flyingpig Games)を対戦する(2)シナリオ8~ 戦車ルールもシンプル

シナリオ8「Chaos」

2戦目は戦車が出てくるシナリオを選びましょう、ということで選定。

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シチュエーション

1944年12月14日。ドイツーベルギー国境のヒュルトゲンの森。時期的にはアルデンヌ攻勢が開始される少し前。
4個分隊規模の歩兵と戦車1両を擁する部隊同士の遭遇戦。街道筋の村落の中心部にある教会などの建物を巡る戦い。
おもしろいのは2ターン目*1からダイスを振ってシナリオ特別ルールで定められたテーブルが示す増援が両軍にバラバラと五月雨式に登場すること。分隊や戦車が1ユニットずつ登場します。中には増援ではなく1個分隊が撤退するというのもあるので、まさに運任せ。1ターン目を除く毎ターン判定するので、合計7回増援が登場することになります。
両軍で登場する車輌は、ドイツ軍が初期配置・増援ともⅣ号戦車H型、アメリカ軍が初期配置時点でM4A1、増援は76ミリ砲を搭載したM4A3(76)W *2になります。OSTの中での評価としては、攻撃力の点でⅣ号戦車H型に対してM4A1は2レベルほど格下、M4A3(76)Wでもやや劣るといったところ。防御力の点ではⅣ号戦車H型が優れているとデザインされています。
またアメリカ軍側歩兵は対戦車装備であるバズーカを保有していますが、ドイツ軍歩兵は対戦車装備を有していません。
なお本シナリオでは「Luck Card」は使いません。

 

はじめに

ドイツ軍の初期配置位置が正しくないのではないかという話になり、HPなどエラッタを探したのですが見つけらなかったので、それっぽい表記ということで次の通りの解釈としました。*3

シナリオ上の表記:D11   
プレイ時の処理:DD11*4

 

車輌ルール

シンプルです。

装備としては主兵装と副兵装があり、主兵装(主砲)については対装甲車輌に用いるAP火力(徹甲弾)と対非装甲車輌や対歩兵に用いるHE火力(榴弾)があります。副兵装として機関銃を装備していることが多いです。*5

AP火力による攻撃は、命中判定-損害判定の2段階の判定になります。
車輌ごとに用意された兵器カードに、AP弾を用いた攻撃について距離に応じた命中値とAP火力の表が記載されています。命中判定を行い、命中した場合は記載されたAP火力を攻撃力とします。
損害判定には、「車輌戦闘テーブル(Vehicle Combat Table)」を用います。考え方は歩兵戦闘時の解決に似ており、AP火力から防御側の装甲値(防御力)との差を結果判定に用います(攻撃力に対する修正と、ダイスの目に対する修正が加わります)。
命中判定時点で「致命的命中」が発生する可能性があります。ただ致命的という割にはそれほど威力が増すような仕様にはなっていないです。
損害判定結果としては撃破以外に部分的な破壊(武装使用不可、走行不能等)から、乗員の動揺等の結果があります。
HE火力による攻撃の場合は命中判定はなく、そのままHE火力を用いて歩兵戦闘の際の解決に使った「歩兵戦闘テーブル(Infantry Combat Table)」で解決します。

戦車の防御力は前面と後面の2種類になります。

砲塔マーカーは存在せず、砲塔搭載車輌は主砲と副装備(機関銃)を全周に射撃できるという処理になっています。一方、固定砲塔の自走砲突撃砲や、対戦車砲などの砲兵器は旋回を行い目標を射界に入れる必要があります。旋回した上での射撃は、移動後射撃としてペナルティがつきます。

移動力はあまり大きくは設定されていないです。歩兵分隊の移動力が4なのに対し、戦車の移動力が6とか7とかですので、戦闘圏内にはいってからの戦闘速度といった印象です。ただ歩兵と異なり、道路移動の所要移動力が1ヘックスあたり1/2移動力なので道路移動については進行速度が早くなります。

おもしろいところでは車輌も、敵ユニットがいるヘックスに進むことができるAsult Move(突撃移動)が可能で、さらに白兵戦(近接戦闘)ができます。移動したヘックスに敵ユニットが存在した場合、車輌対歩兵、または車輌対車輌の白兵戦(近接戦闘)が発生します。特に戦車対戦車の白兵戦(近接戦闘)については”Tank Duel”というルールが用意されています。

 

プレイ

NYさんの希望でアメリカ軍を担当、当方はドイツ軍を担当します。
初期配置は上述の読み替えを行った上で実施。下に記載した写真の範囲が今回のシナリオが指定するマップ範囲、赤と緑の矢印部分から両軍の増援が登場します。
三叉路の周辺の4つの建物(白いマーカーを置いていてる)が占拠することで勝利ポイントを稼ぐことができる建物です。
インパルスポイントのダイスは、両陣営とも3D6なので潤沢です。

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初期配置。街道筋の三叉路の周囲にある4つの建物の占拠が勝利条件になります。
1ターン

最初のイニシアティブはドイツ軍。
歩兵分隊アメリカ軍が接近してくる村中心の外周になる建物や林に進出させつつ、戦車ルールのお試しということで、Ⅳ号戦車をM4A1の前に突出、開豁地を挟んで障害物もない状態で対峙させます。Ⅳ号戦車の移動に対抗したM4A1からの臨機射撃は外れます。続き、Ⅳ号戦車はM4A1を射撃。半分強の確率で命中のはずが見事に外します。
結局、アメリカ軍の手番の射撃で撃破されてしまいます。さすがに真正面に飛び出すのは無謀だったか・・と。*6
戦車を失い、対戦車装備を持たないドイツ軍はあっという間に不利になります。

2ターン

歩兵部隊同士はそれぞれ4分隊でしかも、指揮官に2個分隊+支援火器によるフルスタック状態となっているため、お互い下手に射線内にはいると射撃を受けるため林を挟んで対峙。
手詰まりになった歩兵部隊に代わり、M4A1がドイツ軍歩兵スタックに対して射撃を行います。戦車からのHE火力を用いた対歩兵射撃は自動的に命中扱いになり、「Infantry Combat Table」にて4火力で解決されます。

結果、「ぜんぜん効かん!」

3ターン

このターンの増援は戦車、両軍に戦車が1両ずつ。
前のターンの移動で村に接近したM4A1。ドイツ軍はイニシアティブを取得したことから、M4A1に対し白兵攻撃を掛けることにします。移動にて隣接ヘックスまで接近。さきほどの対歩兵射撃に懲りたのかM4A1は射撃しません。
続いてドイツ軍は「Assult Move」によりM4A1が存在するヘックスに突入します。白兵戦マーカーが置かれ、戦闘状態に入りました。
車輌対歩兵の近接戦闘も、歩兵対歩兵の近接戦闘と考え方は同一です。解決に使う戦闘テーブルが、「車輌戦闘テーブル(Vehicle Combat Table)」になるだけです。
結果、1個分隊を失うもM4A1を破壊します。

4ターン

増援で到着した2両目のⅣ号戦車は、同じく増援で駆けつけたアメリカ軍のM4A3に慎重に近づきます。砲威力ではほぼ互角のため先に撃たれたほうが撃破される可能性が高いです。Ⅳ号戦車が有利なアウトレンジからの攻撃にしたいところですが、20ヘックス以上の距離で射撃をできる場所などこのシナリオにはありません。

5ターン目以降

その後、バラバラと登場する増援の逐次投入による殴り合いが続きます。
戦車同士は、”先に姿を見せたほうが負け”状況を打破できずその後砲撃戦は発生しませんでした。また戦車から対歩兵への攻撃はあまり効果はなく(2ターン目と同様)、下手に歩兵に近づくとインパルスポイントの連続投下により積極的に近接戦闘に持ち込まれ、車輌を失うという事態に‥。

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ゲーム終了時の図。村中心部に戦車残骸と、全滅して持ち主がいなくなった支援火器がどこかしこに点在する。勝利条件の4つの建物のうち、3つについてアメリカ軍が占拠、または最後に占拠した状態のためアメリカ軍の勝利となった

感想戦

車輌ルールもシンプル!

戦車関係のルールもシンプルでした。ただシンプルな分、”先に動いたほうが負け”的な展開になりがちなのは気になります。
移動力が歩兵とあまり変わらないのも問題。戦闘領域にはいってからは良いのですが、敵が離れた領域でも少しずつしか進めないのは戦車らしくないです。まぁ移動力を大きくしてしまうとそれだけ戦車の自由度が高まり、バランスが取りにくくなるといった事情が推察されますが。

対歩兵戦闘では戦車は役に立たないのか?

M4A1もⅣ号戦車も75ミリクラスの主砲を装備しています。
ASLで70ミリクラスの砲が歩兵に射撃を行った場合、12火力という扱いになり、ASLの中での12火力はライフル装備の歩兵分隊3個分の火力*7に相当します。OSTで同様の比較をすると、M4A1やⅣ号戦車のHE火力は4、OSTの4火力はライフル分隊1個の火力に過ぎません。ASLではHE弾の場合も命中判定が必要など、HE火力は必ず命中(適用)するOSTとのシステムの違いはあるものの、主砲の威力という点で感覚が少々違いました。

近接戦闘(白兵戦)は戦車に有効か?

アメリカ軍の戦車2両は両方とも歩兵の近接攻撃によって破壊されています。インパルスシステムをうまく使えば、戦車への接近もでき白兵戦に持ち込むことが容易だと感じました。このあたりもASLと感覚が違いますね。
逆に車輌側は歩兵の接近を許させないように不用意に敵歩兵に近づくべきではないし、また地形沿いに接近されないような位置を取っていく必要があるのかもしれません。なによりも戦車は単体では行動せず、歩兵と協同するというのが鉄則なのかもしれません。戦車と歩兵ユニットがあわせて行動する「Rolling Cover」*8というルールが1章充てられているくらいですので。 
なお”Tank Duel”のルールを見つけたのはプレイ後だったため、このプレイの時には実現しませんでした。

シナリオとして

部隊数が少なく、マップの広さの割に戦車も含めて移動力が小さいので大きく機動するといった戦法も取りづらいため、正面同士の一本調子の戦闘になってしまった印象です。上に書いたように、戦車単体では対歩兵戦闘においてあまり強くなく、逆に脆弱であることもわかったことから、次回以降はもう少し使い方を考えたほうよいでしょう。
全体としては、最初のプレイと同様に、車輌が加わってもルールの簡易さからサクサクと進む感じはよかったです。 この調子でどんどんシナリオをこなしてみたいものです。

 

追伸

プレイ後、BGGのフォーラムを精査してこのシナリオのドイツ軍の初期配置位置についての記述を探したところ、O11だという投稿がありました。
O11はこのシナリオにおけるマップの西端になることから、アメリカ軍の初期配置位置がマップ南端になっていることと呼応するため、この案の確からしさの確度は高いかなと考えます。
他の記事も読んだ結果として上記の投稿を行った人物は開発側関係者のようなので上記の記述が正しいようです。それにしてもそんなところだけに書かないで、自分のところのエラッタを作ったほうがいいんじゃないの?

 

 

 

*1:全8ターンのシナリオなのでOSTの表記としては7ターン目

*2:いわゆるEasy Eight

*3:前者だとシナリオで使用するマップ外の場所となり、仮にそうだとすると勝利条件の場所まで移動するだけでドイツ軍は一苦労しそう。DD11はまさに勝利条件として指定された4つの建物の隣接ヘックスとなり、これはこれで近すぎるのではないの?という印象もありますが、まぁとりあえずこれでスタートします。

*4:プレイ後、BGGのフォーラムを精査すると、O11ではないかということの記述がありました。このシナリオで使うマップの西端になり、南端に配置するアメリカ軍の配置にも呼応するため、O11の信憑性は高いと思います。

*5:ASLのように機関銃がさらに装備箇所によって分類されているといったことはありません。

*6:後から両者の性能を比較すると主砲の射程の点でⅣ号戦車のほうが優れていたため、近距離ではなくアウトレンジからの射撃などを狙ったほうがよかったかもです。

*7:もう少しいうと3個分隊ということはASLのフルスタックになります。

*8:なんと訳していいのかよくわからないです