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歴史、ミリタリー、ウォーゲーム

OLD SCHOOL TACTICAL(Flyingpig Games)を対戦する(3)シナリオ5「Patton's Ghosts」

1月に続き今月もOLD SCHOOL TACTICALを対戦しました。

シナリオ5「Patton's Ghosts」

シチュエーション・勝利条件

1戦目はシナリオ5「Patton's Ghosts」を取り上げます。
1944年8月6日、パットン第3軍がル=マンに進行する中、先遣部隊である第106騎兵連隊はドイツ軍第9装甲師団の偵察大隊と遭遇し戦闘に発展した…。
Ghostと言っているのは、ノルマンディー作戦の際にドイツ軍に対しての欺瞞・牽制としてパットン配下に書類上だけの幻の部隊が配置され、イギリス本土に後置され続けていたことを指すのでしょう。その後、8月1日にパットンと実際に編成された部隊は北フランスに展開していますので本シナリオはその直後の話です。

なぜこのシナリオを選んだのかというと双方とも偵察部隊ということで装甲車や軽戦車が多数登場したからです。ドイツ軍には重武装と快速で知られる重装甲車Sdkfz234/2 通称”プーマ”が3両、アメリカ軍側にも似たコンセプトの装甲車M8が2両、軽戦車M5”スチュアート”3両が登場します。

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ASLでもプーマやM8といったそこそこの武装と大きな移動力をもった戦闘車輌のユニットは登場しますが、シナリオの中でそれらの偵察車・装甲車が本来の偵察や捜索の任務にあたるようなゲームは少ないですよね。

OSTに話を戻すと、シチュエーションは街道筋を守るドイツ軍の小規模の守備隊とアメリカ軍のM8、M5を擁する自動車化歩兵部隊が接触。そこへドイツ軍のSdkfz234/2の部隊が増援でかけつけるというもの。戦闘車輌の台数では5対3でアメリカ軍が勝っているものの、ドイツ軍には隠匿配置で75ミリ対戦車砲Pak40が登場します。

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M8装甲車

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M5 Stuart

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Pak40。主力戦車にも十分対抗できる対戦車砲のため、軽戦車・装甲車相手では圧倒的な威力を発揮したのでした。

勝利条件は、敵ユニットを除去する毎に入手できる”Casualty Point”の他に、街道筋の指定された2ヘックスを占拠している間、毎ターンにはいるポイントとの合計値が大きいほうになります。
希望によりNYさんがアメリカ軍、当方はドイツ軍を担当しました。

第1ターン

第1ターンのドイツ軍は十分な準備がない状態で戦闘が始まったということでシナリオ特別ルールによりインパルスポイントのダイスが1D6に限定されます(2ターン目以降は2D6+2、アメリカ軍のインパルスポイントは1イニング目から3D6です)。ドイツ軍の出た目は1。1ポイントということはユニット1個が1回撃つか、移動すれば終わりということになります。

”コントロールヘックス”は盤の中央部(写真内の緑円部分)にあり、ドイツ軍の配置はその中央部から左半分に行われます。
このゲームの場合、狙撃兵や今回の対戦車砲のように指定されたユニット以外の隠蔽配置はありませんので、ASLスターターキットのように盤上に配置された状態ではじまります。さらにASLと異なり、スタックしたユニットについてもすべて確認することができるため、相手側の配置はほぼ全て把握されてしまうのです。*1
マップ中央部が争奪のポイントということでドイツ軍の配置もコントロールヘックスを中心とした場所になります。

プレイ開始によりマップ右端より進入してきたアメリカ軍の車輛はドイツ軍ユニットより少し離れた場所まで移動してきます。
歩兵にあまり接近しすぎると前回プレイのように白兵戦(近接攻撃)を挑まれる懸念があります。また今回はパンツァーファウストとパンツァーシュレックが1門ずつ装備しています。両兵器も距離が2ヘックスを超えると命中率がかなり落ちますので、接近しなければ大丈夫だろうといった判断でしょう。
1ターン目はアメリカ軍がインパルスポイントを使い切ったところでようやくドイツ軍に手番が移ります。ドイツ軍は唯一与えられた1ポイントで隠匿されていた対戦車砲(マップ写真内の赤円部分に配置)を盤上に登場させ、先頭を走るM8を射撃します。
戦車砲にとって距離300メートルは至近距離といってよいでしょう。またシャーマンなどの主力戦車を破壊するだけの威力を持つPak40 にとって装甲車の装甲などとるに足りません。即撃破しました。

第2ターン

イニシアティブはドイツ軍、さらにインパルスポイントでもがんばり、アメリカ軍をリードします。
戦車砲が2両目の車両を撃破し、歩兵分隊が少しずつ前進します。

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第2ターン、イニシアティブをとったドイツ軍は続けざまにアメリカ軍の装甲車輌を撃破します。

アメリカ軍は対戦車砲の排除に努めますが、M8 やM5が搭載している37ミリ砲では対歩兵火力が小さく(2火力ということで、通常の歩兵分隊の火力の半分に相当)、副武装の機関銃とあわせても十分な効果を上げられません。ハーフトラックに積載されて移動してきた迫撃砲チームも攻撃に参加しますが、掩蔽状態(Cover、+1の地形効果)の対戦車砲をなかなか排除できません。シナリオを通して最終的に対戦車砲チームは戦力半減まで損害を受けるもののシナリオの最後まで壊滅することなく、しぶとく射撃を続け、周囲にアメリカ軍車輌の残骸の山を作ったのでした。*2

2ターン目にはドイツ軍側にSdkfz234/2が3両登場します。
うち1両はアメリカ軍側の機会射撃により登場早々撃破されるものの、他の2両はアメリカ軍車輌との射撃戦をはじめます。M8、M5の37ミリ砲に対して、プーマは50ミリ砲を搭載しており若干ですが有利です。

第3ターン以降

その後もPak40は火を吐き続け4両の装甲車・軽戦車を破壊します。
装甲車・軽戦車の5両目がプーマにより破壊された後は、ほぼ非武装のハーフトラックだけとなってしまいます。
歩兵分隊も、麦畑の中に陣取った分隊が粘り、2分隊とLMGを擁する”キラースタック”チームが着実にアメリカ軍分隊を除去していきます。

アメリカ軍側は歩兵分隊がハーフトラックで移動してきたせいでかバラバラのままでまた対戦車砲のため有効な位置まで進行できないままで各個撃破されました。

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戦車砲がしぶとく残ったことにより、アメリカ軍の車輌の残骸だらけという凄惨な状況になってしまいました。中央のコントロールヘックスもドイツ軍の鉄十字マーカーが乗っているとおりドイツ軍占拠下になっています。

感想戦

前回プレイの反省や見落としを踏まえてプレイをすることができました。ただ細部はいちいちルールブック首っ引き状態なのでもう少し勉強が必要です。
まだまだいろいろ見落としや有効に活用できていないルールがありそうです。

さてOST、ユニットの規模(1ユニット=1個分隊、1両単位)、ヘックスのスケール(1ヘックス50メートル)がASLとほぼ同じなのに対し、プレイした感覚はけっこう違った印象を受けます。いくつか上げてみると・・・

マップ範囲が狭い、戦闘がこじんまりとした印象

シナリオでのマップ範囲が広くなく両軍の戦闘正面は大きくありません。
今回のマップでの戦闘正面は10ヘックスの幅(500メートル)です。展開の中では迂回や翼攻撃なども発生せず、こじんまりとした印象を受けます。

車輛の対歩兵火力が弱い

前回もM4A1シャーマンからの射撃が、特に林や建物といった遮蔽物にいる歩兵には威力がない印象を受けましたが、今回のM8やM5の37ミリ砲からの射撃は前回以上に非力でした。車輛単体では遮蔽地形にいる歩兵や今回の掩蔽状態の砲チームの排除はなかなか難しいです。前回書いた通り対歩兵戦のためには戦闘車輌は歩兵分隊との協同が必要なようです。

ハイスタックができがち

ASLではひとつのヘックスに兵力を集めたスタックをキラースタックと呼んだりしますが、一方でASLのルールでは1ヘックスに兵力を集めるデメリット*3もあるため、必ずしも1箇所にユニットを集めるのが得策とは言えないという側面もあります。

OSTの場合、1箇所にユニットを集めるゲームシステム上のデメリットがないことと、射撃の威力が全体に弱いため有効な攻撃を行うために、ユニットを集めてスタックをつくってグループ射撃を行う必要性が高いような印象です。
ひとつのシナリオに登場する分隊の数もそんなに多くはないので、自然にスタックで固まってしまうのも、最初に書いた”こじんまり”とした印象につながっているかも。
ただスタック制限がASLよりも小さいためスタックの山とまではならない印象もあります。

それにしても、いろいろ車輌や砲などの兵器が出てくるシナリオは盛り上がりますね。

*1:ASLの場合、相手側のスタックされたユニットについては、一番上のユニットを除き、2番目以降に配置されたユニットを見ることは禁止されています。一番上に見られても不具合のないユニットや、または「?」マークを置き相手を攪乱することは基本テクになっています。

*2:このゲームにはASLのルールにあるROF(Rate of Fire:複数射撃の可能性)の概念はありませんが、個々のユニットは移動をしなければ1ターンに2回射撃ができます。

*3:例えば指揮官がスタックの中にいる際に指揮官が戦闘不能になった際の追加モラルチェックの実施。開発地移動時にマイナス修正があるため、また移動時に敵の機会射撃を引き出すため、移動を分散して実施する