落札した商品が思いのほか状態が良かった事から勢いで書いた前日の記事に、これまたいくつかレスがあったりしたので、ありゃ、間違いを書いてしまったかも、と思いながらタクテクス誌のバックナンバーを引っ張り出したり確認をしました。レスで返せる範囲でもないので、追補として書きます。
前記事と書いている事が異なる点は本記事のほうが正しいです。
タイトル
レオパルド、と書いていましたが、「レオパルト」が正しいです。
英語読みではレパードなのですが、ドイツ語では濁らないようです。
「パンサー」と「パンター」の違いのようなものでしょうね。
発売時期について
タクテクスNO.29(1986年4月号)の新商品レビューにて本作は紹介されています。前年9月に発売されたNo.24よりタクテクス誌は月刊化されていますので、この時期はシミュレーションゲームの黄昏期どころか絶頂期といっていい時期ですね。大変失礼しました。
レビューでは興味深い表現がされていました。
・・・従来の移動/射撃のスケールにあった索敵システムを開発したことは大いに評価するべきでしょう。しかし、移動/射撃の再現がスローモーションの画像であるのと同時に、索敵もスローモーションになっているため、若干の面倒さはつきまといます。まぁ、これはこのスケールのゲームの宿命ですから、大した問題ではないのかもしれません。そんなことよりも・・・
レビュー記事では柔らかく書いていますが、「索敵」ルールが加わった事による面倒さはおそらく”若干”というレベルではないように思います。「パットン」の記事に書いたように移動から接敵の過程だけでも面倒でしたから、それにスローモーションによる「索敵」の手順が加わると思うだけで、想像ができてしまいます。このあたりは別途確認しましょう。
本作の後継作について
本作の後継作は「コンバインドアームズ」ではないか、という話があって、調べたのですが、現代機甲戦を戦術レベルで扱っているというくくりでは同じなのですが、タンクコンバットシリーズの特徴である車輌単位のデータカードや、エンドレスフェイズシステムなどを引き継いでいる訳ではないので、直接の後継作ではないようです。
「コンバインドアームズ」は1986年末発売の戦術級ゲーム。
車輌1両単位というスケールで、戦闘車輌の他、歩兵(分隊単位)、攻撃ヘリ等が登場します。ゲーム進行は移動フェイズ、射撃フェイズなどが分かれている方式。ルールは初級・上級・選択の3段階に分かれており、上級ルールになると制圧射撃やイニシアティブの概念などもはいってくるようです。”ようです”と書いているのは現物が手元にないからで、コンバインドアームズのルールはタクテクス等の記事内容から書いています。
システムの特徴として指揮ルールがあり、指揮官のランクや指揮範囲の概念、また指揮による命令がなければ行動ができないといったルールになっているようです。
ゲームシステムとして「レオパルトⅡ」までのタンクコンバットシリーズの片鱗は全く見えないように感じました。
前記事で書いたように、タンクコンバットシリーズを現代戦に適用する中で「索敵」の概念が必要で、「索敵」をルール化するには「歩兵」の存在は無視できない(おそらくヘリの存在も)。ではエンドレスフェイズシステムに「歩兵」を適用させるとすると、もはやプレイ不可能という結論になったのではないか、ついてはいったんゲームシステムをリセットして、新たに現代戦の機甲戦を扱う戦術級ゲームをデザインしたのではないかという、推測です。
「コンバインドアームズ」を記事で追っていくと、「レオパルトⅡ」について言及する記述があり、推測が多少なりとも裏付けられました。
・・・戦車戦闘の究極を目的としてデザインされた「レオパルトⅡ」があまりにもアンプレイアブルで、難易度が高くなってしまったことの反省に・・・
・・・「レオパルトⅡ」は同時進行性の追求のため、エンドレスフェイズシステムを使用し、索敵をメインとしたために使用するマーカーが多く、非常に手間がかかるものとなってしまっていたのだ。
戦車の性能について
「レオパルトⅡ」の中で複合装甲がどう扱われているか、という質問がありました。
第2世代車輌を扱った「パットン」から「レオパルトⅡ」に変わるにあたって、車輌単位に用意されたデータカードの中のデータとして、戦闘関係では2種類のデータ群(!)が追加されました。
スタンドオフ効果を表すデータと、DCP(ダメージコントロールポイント)というデータです。
詳しくはルール読みの上で書きますが、次のような改変になっています。
- HEAT弾系の砲弾の射撃による貫通力はAP弾系のものと異なる解決をする(スタンドオフ効果の反映)
- 砲弾が命中した際の「損害判定」において、「装甲厚」という概念に加え、「DCP」という概念が追加され、判定処理がかなり複雑になった!
前者はいまさらHEAT弾かという印象もありますが、ルールを精緻化する中で、シリーズのここまでの作品では捨象していた要素を入れざる得なくなってきたのではないかと推測されます。
このルールを追加すると、第2次大戦での戦車戦を扱ったこれまでの作品にも登場させて、シュルツェンによる防御効果を本体の装甲とは別に、シュルツェン付き車輌ト、シュルツェン無し車輌との相違など、表現したいところじゃないかなぁ・・などと想像してしまいますね。
質問にあった複合装甲の採用や性能差を表現しているのが後者のDCPのようです。
シュルツェンの例。砲塔の周りをぐるりと囲った装甲板や、車体脇のエプロンが該当します。
「タイガーⅠ」や「パンサー」では装甲厚値として車体や砲塔の装甲値の中であわせて表現されているのでしょうか・・。
謎のT74
「パットン」にもソ連軍の車輌としてT72に加え、T80が登場していたのですが、「レオパルトⅡ」ではT74という車輌が登場していることを書きました(「レオパルトⅡ」にはT80のカードはありません。ちなみに「パットン」にはT74は登場しません)。
当時は冷戦真っ只中ですので、ソ連側の最新兵器は西側諸国にとって謎の存在だったのだろうと思われますので、どのような性能を推測していたのかは興味深いところです。
T74について言えば、実際はT72のバリエーションを西側はT74と別車輌と分類していたようです。
システム名称について
前記事で「タイムスライスシステム」ともっともらしく書いていましたが、正確には「エンドレスフェイズシステム」でした。同システムの詳細は「パットン」の紹介記事を参照ください。なお「タイムスライスシステム」は別ゲームのシステムです。
ご指摘・情報提供等いただきましたみなさまありがとうございました。