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OLD SCHOOL TACTICAL(Flyingpig Games)のルールを精読する / 私製和訳マニュアルをつくる

つい先日メーカー在庫切れがアナウンスされていた「OLD SCHOOL TACTICAL Vol.2」ですが、再販にむけてKickstarterで募集がはじまりそうです。

www.kickstarter.com

「OLD SCHOOL TACTICAL」がどんなゲームかというのは次の記事あたりを参照してください。 

yuishika.hatenablog.com

これまた先日発売された太平洋戦域を扱ったVol.3については次の記事をあげています。

yuishika.hatenablog.com

 

というところでここからが本文。

複数回にわたって対戦まで行っている「OLD SCHOOL TACTICAL」ですが、英文マニュアルの泥縄式斜め読みではダメだと反省し、最初から精読し、私製和訳マニュアルを作りました。

きちんと読んでいくと取りこぼしや間違えた解釈をしていた点が見えてきたので備忘を兼ねて記載します。

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OST Vol.2のエキスパンションキット1作目「AIRBORN」。空挺作戦というのでマーケットガーデン作戦テーマかと思っていると、ノルマンディー作戦の中でもサント=メール=エグリーズへの降下作戦を扱っている模様。本作もそのうちやっていくことになるだろうと思います。

 

■ イニシアティブとインパルスポイントとターンの進め方

イニシアティブとポイントを使ったインパルスシステムはこのゲームを特徴づけるゲームシステムですので、丁寧に読んでいるつもりだったのですが、文章の見落としがあり、重大な間違いをしていることに気づきました。

何を間違えていたのかを説明すると煩雑になるので、正しい手順を記載します。(行頭の番号はルール番号)

 

  1. (61-1)双方のプレイヤーは、各ターン イニシアティブフェイズに2D6により、そのターンのイニシアティブ数値を決める
  2. (62-4)双方のプレイヤーは、シナリオで指定されたインパルスポイントの決め方(”ダイス数+修正値”)に従い、そのターンに使うことができるインパルスポイント合計を決める
  3. (61-2)イニシアティブ数値が大きいプレイヤーがイニシアティブを獲得する。
     イニシアティブを獲得したプレイヤーはこのターンの先攻(先にアクションを行う)となる
    (61-3)ただし、イニシアティブを獲得したプレイヤーのインパルスポイント合計が相手より小さい場合、イニシアティブを相手方に譲ることができる(譲らなくてもよい)。
  4. (62-1)先攻プレイヤーはアクションを行うことで、インパルスポイントを1または2使うアクションを行い、その後、後攻プレイヤーに交代する。
    その後も、インパルスポイントを1または2使う毎に交互にアクションを行いプレイをすすめる
  5. (62-6)その時点でのインパルスポイント合計が相手より小さい場合、パスをすることができる(=アクションを行わずに相手の手番に変更することができる)
  6. (62-7)その時点でのインパルスポイント合計が相手と同じか大きい場合で、かつ実施するアクションがない場合、プレイヤーはアクションを行わなくとも、1インパルスポイントを減らすことができる(その後、相手の手番に変更になる)
  7. (62-8)両方のプレイヤーがすべてのインパルスポイントを使用するとそのターンは終了する。
    次のターンに進み、1.に戻る

要点は4.に記載した「インパルスポイントを使いながら交互にアクションを実施しあっていくこと。」という点。

実際のプレイを想定すると、インパルスポイントを相手よりも早く使い切ってしまうと、当然そのターン中はそれ以上動けなくなります。相手のアクションに即応できなくなります。そうなると相手のなすがままになってしまいます。
よって、インパルスポイントの消費は計画的に行う、こちらのポイントのほうが少ない場合は早く使い切ってしまう懸念があるため特にそうです。ターンの中でのポイントの使い方が相手との駆け引きになってきます。

若干例外的な処理になるのが「機会射撃/臨機射撃」の際の対応になります。
相手方の移動アクションの中で行われる「機会射撃/臨機射撃」の場合は、機会射撃/臨機射撃を行った側は射撃を宣言したタイミングでポイントを使うことになりますが、射撃結果によって、その後のインパルスをどちらが持つのかが変わってきます。

  • (100.6)機会射撃/臨機射撃の結果、相手に損害を与えなかった場合は、移動側の移動が終わった次のインパルスは、機会射撃/臨機射撃を行った側になる。
  • (100.7)機会射撃/臨機射撃の結果、相手に損害を与えた場合は、移動自体はそこで終わり、次のインパルスは移動を行っていた側になる。

特にこの100.7項のルールは混同しやすいように思います。

 

 

■ 地形効果、LOS関係

地形の種類や効果はASLと似ているのですが、微妙に異なる部分があり、これもまた煩雑な部分です。今回の整理の中で気づいた点を記載します。

  • 地形にはLOSを遮断する地形(LOSを通さない)と、劣化させる地形(地形効果に修正)がある。LOSを遮断する地形……建物、林、ボカージュ、丘陵LOSを劣化させる地形……繁み、果樹園、石垣/生垣、墓地、瓦礫、廃墟、障害物、残骸、煙幕
  • LOSの劣化は2個分まで重複する。LOSの劣化が3重になる場合はそのLOSは遮断される
  • 建物や林のヘックスでは、ヘックスに記述された建物や林の絵はLOSを遮断する(この点はASLと同じ)。建物や林があるヘックスを通るLOSは、建物や林の絵にはかからない場合もLOSの劣化が発生する。
  • 「麦畑」はLOSを遮断も劣化もさせない。地形効果として+1防御効果がある

特に3番目のルールはASLに慣れていると注意が必要と思われるルールです。
他にも地形関係では次の点もASLにはない解釈なので留意でしょう。

  • 2階建て以上の複数階建物のヘックスにいるユニットは同時にすべての階層を専有しているものとみなす(除く:地上階にしか設置できない砲兵器)。よって複数階建物のヘックスにいるユニット(除く:地上階にしか設置できない砲兵器)は最上階にいるものとしてLOSチェックが可能となる
  • 建物と道路が共存するヘックスにいるユニットはどちらの地形に存在するのかを宣言する必要がある

他にもボカージュのルールは少々特色があるように思います。

LOS関係でいうと、LOSの確認にコストや制約がない、という点もASLとは扱いが異なります。

 

■ 支援火器関係

機関銃や対戦車兵器、爆薬などはASLと同様に別ユニット扱いになっています。今回の精読により誤った運用を行ったり、また不明確だった点が明確になったので記載します。 

  • (18.7)火炎放射器、爆薬、手榴弾、火炎瓶は隣接するヘックスの車両に対して1/2火力(端数切り下げ)により攻撃を行うことができる。車両に対してその攻撃は自動的に命中するが、分隊火力との合算はできない。攻撃は車輌戦闘表(VCT)上で解決される
  • (18.9)(18.11)ユニットは1個の支援火器を使用できる。ユニットは1個の支援火器のみ運搬できる。(支援火器はスタック制限はない。)
  • (18.12)支援火器は同じヘックスにいる活動を行っているユニットによって、追加コスト無しに拾い上げ装備することができる。また破壊することができる
  • (18.13)支援火器は各ターン最初の兵器フェイズにおいて同じスタック内にあるユニット間で受け渡しをすることができる
  • (18.15)ユニットが動揺(Shaken)状態にある際の火力計算においては、支援火器の火力を分隊火力に合算した数値を半分(切り下げ)にする。
  • (18.17)携帯対戦車兵器(バズーカ等)は建物・陣地壕(Bunker)・銃座(Pillbox)に対して射撃を行うことができ、その際は分隊火力に同兵器のHE火力を合算できる
  • (18.19)携帯対戦車兵器は、敵側に車輌が含まれる白兵戦において使用できる。その際、2火力を用いる。

ASLとの相違点を中心に書くと、(18.15)の火力半減の際の計算方法が異なります。

重機関銃以上の銃や対戦車砲などの砲兵器はASLとは異なり、兵器を表すユニットに操作を行う要員が含まれている(軽機関銃や歩兵携帯対戦車兵器と扱いが異なる)。

  • (16.14)砲は同じヘックス内で旋回を行うことにより射界を変更することができる。射界を変えた砲が射撃を行う場合、移動後射撃としてのペナルティ修正を行う。砲の旋回とその後の射撃は個別の2つのアクションとなる。

     

 

■ その他

  • (11.3)狙撃兵と分隊に随伴していない指揮官は、白兵戦から脱出することができる(脱出チェック:1D6 5or6の場合脱出成功)
  • (12.5)狙撃兵は、指揮官・戦車指揮官また他の狙撃兵を目標とする場合、火力を2倍にすることができる
  • (13.5)白兵戦の際、指揮官は火力1、防御力1を用いる。指揮官は白兵戦時の+2の火力修正をもいることはできない。指揮官しかいない場合は、指揮官の指揮能力による+1の火力修正を用いることはできない
  • (13.6)指揮官は支援火器を運搬できないし使用することはできない。
  • (14.11)複数の指揮官が存在した場合も、指揮官によるダイス修正の最大値は+1となる
  • (15.8)戦車指揮官が除去された場合、損害ポイントには計上されない
  • (15.9)戦車指揮官は指揮官負傷判定(Leader Casualty Check)は行わない
  • (15.10)戦車指揮官は狙撃兵からの攻撃を受ける場合、5防御力として判定する(狙撃兵以外からの直接の攻撃を受けることはない)